Fixture
UEFAチャンピオンズリーグ
リーグフェーズ 第3節
2025.10.21
アーセナル(5位/2勝0分0敗/勝ち点6/得点4 失点0)
×
アトレティコ・マドリー(10位/1勝0分1敗/勝ち点3/得点7 失点4)
@アーセナル・スタジアム
戦績
過去の対戦成績

過去の対戦でアトレティコの1勝、引き分けが1つ。
Match facts from BBC sport
- 過去の唯一の対戦は2017-18のEL準決勝。アーセナルはシメオネのアトレティコに1-2で敗退。ディエゴ・コスタが決勝点を挙げた。
- アトレティコはCLのリーグフェーズにおけるイングランドでの試合に過去5回勝ったことがない(D2,L3)。そのうちの1つはロンドンでのものも含まれている(2009年のチェルシー戦、0-4)。
- アーセナルは直近6試合のスペイン勢に全勝。異なる4つのチーム(レアル・マドリー×2、セビージャ×2、ジローナ、アスレティック)に勝利している。CLの歴史上、単一チームのスペイン勢に対する連勝記録としては最長。
- アトレティコは直近9試合の欧州コンペにおけるイングランド勢との対戦で1勝のみ(D2,L6)。唯一の勝利は2022年のRound16の2nd legにおけるマンチェスター・ユナイテッド戦。
- アーセナルはインテルと並び、今季のCLで未だに失点がないチーム。被xGは0.85で大会最小。昨季の開幕からリーグフェーズの10試合のうち、7試合で対戦相手のxGを1.0以下に抑えている(今季はアスレティック戦:0.35、オリンピアコス戦:0.5)。
- アトレティコは今季のCLにおいてDFラインを破るパスを22本通しており全チームで最多。そのうち14本を第2節のフランクフルト戦で決めており、今季のCLの単一試合において最も多い数字。
- ブカヨ・サカは19試合のCLの出場で17のゴールに関与(11G,6A)。2023年9月20日のデビュー以降、サカは89分に1回ゴールに関与しておりバルセロナのハフィーニャ(69分)に次いで、2番目に高い数字のウィンガー。
- フリアン・アルバレスは2023-24の開幕以降、11試合のCL出場で13得点を挙げている。この間、アルバレスは大会全体でxG合計を最も大きく上回った選手(+7.6 – xG:5.4に対して13ゴール)。
- 昨季の開幕以降、50分以上の出場で最も高いデュエル成功率を誇るトップ2はガブリエウ・マガリャンイス(69.8%)とマイルズ・ルイス=スケリー(69.1%)。
- コナー・ギャラガーはアトレティコ所属のCLにおいて90分につき2.6回のインターセプトを記録。昨季の開幕以降、10試合に出場した選手として最多。今季もここまで7つのインターセプトを記録しており、大会で最多。
予習
第7節 レアル・マドリー戦

CL 第2節 フランクフルト戦

第8節 セルタ戦

第9節 オサスナ戦

予想スタメン

展望
失敗の少なさと個性豊かな前線
公式戦は5連勝中で直近3試合はクリーンシートのおまけ付き。CLに関してもここまで2試合いずれもクリーンシートでの勝利と好スタート。そんなアーセナルに立ちはだかるのはCLの猛者であるアトレティコ。今季のここまでのCLの中で最もタフな相手をロンドンに迎えての一戦に臨むこととなる。
マドリード・ダービーとフランクフルト戦という連続5得点が強烈な印象を残しているアトレティコ。チームとしては上昇気流に乗っている印象もあるが、そんな彼らの足枷となっているのがアウェイゲーム。今季、アトレティコはここまで5試合のアウェイでの公式戦は勝ちがない。3分2敗で直近2試合はいずれも退場者を出してしまっている。アウェイでの勝利がリーグでもCKでも順位をジャンプアップさせるための要件となるだろう。
ピッチの内容の話をすれば、個人的にはそこまでの今のアトレティコには停滞感は感じなかった。予習した試合の中での出来で言えば、さすがにシメオネのチームだなという感じを受けた内容がほとんどだった。
基本的には4-4-2ベースの表記になるケースが多いが、片側のSBが位置を下げることで5バック化になるのがデフォルト。ジュリアーノ・シメオネ、ジョレンテなどがこのスペースを埋める役割を果たすことになる。なので受ける場合は5-3-2のフォーメーションがほとんどである。
彼らの守備が優れているところは失敗が少ないところ。もちろん、ボールを奪いきれずも相手に前進をさせていない「引き分け」のパターンもある。その一方で背中を使われるような明らかな負けが少ないことが彼らの強み。むやみやたらに追い回すのではなく、まずは相手を狭いサイドのスペースに追い込み、そこから強度を上げて奪い取るというところを徹底することで相手に前進を許さない。
また周りの選手が穴を開けた場合のリカバリーのスピードも彼らの強みだ。特に最終ラインが釣り出された時の中盤のカバーはさすがだ。人にべったりつくのではなく、間にポジションをとりながらヘルプにいったり挟み込んだりすることで刈りどころを定めている。
非保持のパブリックイメージが強いチームであるが、保持でも優れているのがスペインのチームらしい。CHは大きく動きながらCBのショートパスでのビルドアップをフォロー。個人のスキルも安定しており、相手に間合いを詰められても体の向きを細かく変えながらパスコースを探したり、あるいはドリブルで前に進むことができる。中央で細かく段差をつけながらのポストからの加速など、保持型チームの素養は当たり前のようにインストールされているといっていいだろう。
誰が出ても献身的なスキルを出すことができる中盤と異なり、選手によって異なるキャラクターを持っている前線は非常に個性的だ。プレミアファンにもお馴染みであるアルバレスはすでに欠かせない存在になっている。高い決定力はもちろんのこと、低い位置まで降りたところからドリブルでアシストを決めたり、鋭いラストパスを通したりなどチャンスメーカーとしての素養も抜群。FKの精度も含めて、あらゆるところから得点を結びつけることができる選手だ。グリーズマンもアルバレスと同じように縦方向にフリーランを行うことで、後方からのパスを引き出すことができる。
セルロートはファーサイドに構えながらのクロスで高さ勝負を挑むことができる。クロスの入り方はチームとしてかなり工夫している印象でファーとニアに選手を揃えながら選択肢を多く持っており、飛び込む中盤が非常に厚みをもたらしている。
全体的に完成度は攻守に高いチーム。好調でここまできているアーセナルにとっては難敵をホームに迎えることになると言える。
風穴を空ける1on1
守備はとてもねっとりとしているし、保持においてはまったりと時間を動かすことができるので非常に弱点を探す難易度は高い。弱点と言えるかはわからないが、予習していて気になったのはリーガの試合のテンポ。やや全体的にスローリーなので、その点でアーセナルがプレミアのテンポに巻き込むことができればミスを誘える可能性はある。
アトレティコはチームとして欧州の経験値が高いチームなので、テンポが変わることによって急に持ち味が消え失せてしまう!ということは考えにくい。それでも強みが強みとなりにくいという状況は作れる可能性はある。特に序盤は意識してハイテンポで試合を進めることで相手がどのように受けて立ってくるかを探っていきたい。
もう1つ、少し気になるのはバックラインのタレント。チームとしては非常に強固な守備組織を持っていることに疑いの余地はないのだが、同数でアタッカーを守るような守り方はあまり好まれず、裏を返せば対人のところには不安があるとも取れる。
ただ、先に述べたように中盤のヘルプは非常に早いので、相手を動かしたところから崩し切る形は意識したい。「WBを手前に引き出す」→「ワイドのCBの背後をとり中央のCBを釣り出す」→「ボックス内にクロスを上げる」という形で決定機を作っていたセルタが見せた形は非常に参考になるだろう。斜めのランを増やすことで相手のマークの受け渡しを増やすことは常に意識をしたいところだ。

要はアーセナルとしてはアトレティコの守備のギャップが埋まる前に攻略し切りたい。他の選手のフォローに来させないという観点では守れていると思われているところに穴をあける形が非常に有力と考えられる。1on1の突破で風穴を開ける形が代表例になるだろう。
フラム戦で好調だったサカの存在は非常に心強く、そのサカとの連携が高まっているティンバーの存在も大きい。彼らとセンターラインの選手を絡めることで仕留めにくいアトレティコの守備を壊すきっかけを掴みたいところだ。