■90分間続けた中央のプロテクトでドイツを撃破
3連続の引き分けスタートからようやく前節初勝利を挙げたドイツ。ここからは連勝を重ねてライバルたちから勝ち点を奪いたいところである。
ボールを持ちながら試合を進めることが許されたドイツ。3-4-3のハンガリーはドイツのバックラインにボールを持たせることを許す形でスタートした。
ハンガリーが留意したのはまず中央を固めること。そして、ドイツのSBを逃さないことである。ドイツのボールの動かし方に対しては中盤は横にスライドする。そして、SBには左右対称ながらシャドーのショボスライとWBのフィオラでそれぞれホフマンとラウムをケアする。彼らが高い位置でボールを持てないとなるとドイツの大外の機能性は低下する。
SBが高い位置を取れないドイツは、手前で持つSBから裏の前線にボールを送る形を狙う。表への楔はハンガリーにがっちり咎められている感があったため、裏を狙うというアプローチは非常に素直。前線でもヴェルナーやサネなどこのやり方に適した選手が揃っている。
ドイツが支配的に成りきれなかったのはハンガリーのボール保持を思ったほど阻害できなかったからである。バックラインが深さを作り、4-1-4-1に変形するハンガリーのビルドアップをドイツは捕まえることができない。前線で捕まえられなかった選手を捕まえようとバックラインから選手が出てくると、今度はラインの裏を壊されてしまう。このあたりはスピード不足というスペックによる問題が大きい。
敵陣深くまで忍び込むことができたハンガリーはセットプレーから先制点をゲット。ニアに入り込んだサライがスーパーゴールをゲット。ハンガリーが貴重な得点から先手を奪う。
ドイツはサライへのロングボールを咎めることができない。クリーンにボールを奪うことができないドイツはずるずる陣形を下げられてしまっている。SBが高い位置を取れない展開を解決できないドイツは後半頭に配置変更。3-4-3にシフトチェンジしてWBを押し上げる形を狙っていく。
だが、ハンガリーのベースポジションは3-4-3。シャドーが下がり、CBにはボールを持たせる形でサイドを食い止めることと中央の封鎖という2つの優先事項は変わらない。
結局ドイツはトップの縦への奥行きを使うという前半と同じところに行き着いた感がある。左サイドのラウムも大外から裏に抜けることが増加し、このサイドからクロスを上げる頻度が増えるように。ドイツはエリア内にようやく迫ることができるようになる。
そこに立ちはだかったのはグラーチ。勢いのあるミドルをことごとくセーブし、ドイツに同点弾を許さない。中央のプロテクトの堅さが落ちなかったのもハンガリーにとっては大きい。中盤に穴を開けずに90分戦い抜いたこの試合のハンガリーのパフォーマンスは素晴らしいものだった。
前半のセットプレーを守り切ったハンガリー。ドイツにこのリーグ初めての黒星をつけることに成功した。
試合結果
2022.9.23
UEFAネーションズリーグ
グループA3 第5節
ドイツ 0-1 ハンガリー
レッドブル・アレナ
【得点者】
HUN:17‘ サライ
主審:スラブコ・ブンチッチ