
プレスから飲み込んだ歴史的逆転勝利
10月は南米シリーズとなっている日本代表。大阪から東京に戦いの舞台を移して相対するのは南米勢の総大将と言っても差し支えないブラジルだ。
試合はブラジルのポゼッションからスタート。日本は無闇にバックラインから追いかけ回すのではなく、ミドルゾーンに構えながらの立ち上がりに。上田はカゼミーロを監視し、シャドーは絞りながらブラジルのIHにボールが入らないように駆け引きを行っていく。ブラジルはギマランイスが下がって浮いたり、トップのヴィニシウスがフリーマンになったりなど日本に対して穴を開けにいく。
対する日本もポゼッションはゆったりと。この日はCHに入った鎌田は仕切る形でポゼッション。降りることで鈴木淳之介を解放して、左サイドからボールを運ぶ。ブラジルは高い位置からプレスに来てはいたが、即時奪回に対しては日本は抵抗を見せられたようだった。
ブラジルは2-3-5的なポゼッションから徐々に主導権。構造的に浮きやすかったSBのところをきっちり噛ませることで、日本のプレスを5-2-3から5-4-1のような形に。
バックスにプレスをかけにくくなった日本に対して、ブラジルはフリーとなったホルダーからチャンスメイク。ポストで日本のバックラインを食いつかせると、3人目となったパウロ・エンヒキが抜け出してゴール。ブラジルは先制ゴールを奪う。
2点目も似たような形。パケタの柔らかいパスに対して3人目として抜け出したマルティネッリが冷静に流し込んでリードを広げる。
中盤が柔軟にポジションを入れ替えるブラジルに対して、プレスのきっかけを掴むことができない日本。折を見てハイプレスに出ていくところから巻き返しに図る。しかし、ブラジルは左右の大外からの陣地回復から日本のハイプレスをひっくり返して行った。
後半、ポゼッションから日本はリカバリーを図っていく。久保と堂安の右サイドはキレを増しており、ここからのクロスで南野と鎌田がシュートでゴールに迫る。ブラジルはサイドをきっちり締めにかかるが、数的優位があまり生かされた守り方になっておらず防戦一方に。
流れに乗った日本はハイプレスから追撃弾。追い込むところからブルーノが致命的なパスミスを犯してしまい、南野がその隙をついてゴールを決める。
このプレスの勢いを止めたくない日本は右サイドに伊東を投入。奪いにいく走力+奪った後の縦への鋭さを強化する。ブラジルもサイドの裏から反撃。61分のカゼミーロの裏抜けなどはまさに狙っていた形だったと言えるだろう。
しかし、後半に優位だったのは日本。伊東と堂安の2枚で確実に右サイドから裏を狙っていく。すると、その伊東からの正確なファークロスを中村が仕留めてゴール。日本は同点に追いつく。
このゴールで勢いに乗った日本はCKから追加点。マーカーを引きちぎった上田がゴールを仕留める。
やや、終盤は苦しんだ感があった日本だが、田中の投入で攻守ともに試合を引き締める。クローズ役で入った望月は少しバタバタしていたが、左右からひたすらクロスを上げていくブラジルをなんとか回避。リシャルリソンはマークを外せたシーンはあったが、最後まで仕留めることはできず。
日本は歴史的な勝利を達成。東京の地でブラジルに初勝利という劇的な結果を手繰り寄せた。
ひとこと
この結果を経て、親善試合なんでと言えちゃう鎌田はとても頼もしい。
試合結果
2025.10.14
国際親善試合
日本 3-2 ブラジル
東京スタジアム
【得点者】
JPN:52′ 南野拓実, 62′ 中村敬斗, 71′ 上田綺世
BRA:26′ エンヒキ, 32′ マルティネッリ
主審:キム・ジョンヒョク
