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「ロンドン三部作開幕」~2025.11.23 プレミアリーグ 第12節 アーセナル×トッテナム プレビュー

目次

Fixture

プレミアリーグ 第12節
2025.11.23
アーセナル(1位/8勝2分1敗/勝ち点26/得点20 失点5)
×
トッテナム(5位/5勝3分3敗/勝ち点18/得点19 失点10)
@エミレーツ・スタジアム

戦績

過去の対戦成績

 過去の対戦でアーセナルの7勝、トッテナムの2勝、引き分けが1つ。

アーセナルホームでの戦績

 直近10試合の対戦でアーセナルの6勝、トッテナムの1勝、引き分けが3つ。

Match facts from BBC sport

Match facts
  • アーセナルは直近6試合のプレミアにおけるトッテナム戦のうち、5試合で勝利。直近3試合は連勝中で1987-1989年にかけての5連勝以来の最長連勝記録。
  • トッテナムは直近9試合のプレミアのアーセナル戦のうち、7試合で敗戦。それ以前の25試合の敗戦数と同じ(W9,D9)。
  • アーセナルは直近32試合のトッテナムとのホームゲームで敗戦は1つだけ(W19,D12)。2010年11月に2-3で敗れた試合が唯一。
  • アーセナルはプレミアのトッテナム戦とのホームゲームで直近26試合で連続得点を記録。直近8試合ではいずれも2得点以上を挙げており、これはプレミアリーグでのホームでの得点のチームの相手に対する最も長いストロークで、これを超えるのは1997-2016年のレスター戦(9)だけ。
  • アーセナルは直近8試合のホームでの今季の公式戦で失点は1つだけ。9月のシティ戦におけるハーランドが唯一。アーセナルは直近5試合のホームで全勝しており、6試合連続無失点となれば2008年の以来のこと。
  • トッテナムは今季のプレミアにおいてアウェイで負けていない唯一のチーム(W4,D1)。アウェイでの勝ち点最多タイ(13)、得点最多タイ(12)、失点最小(3)を記録している。
  • アーセナルはセットプレーからのゴール数(10)と割合(50%)がリーグ最多。一方でトッテナムは今季セットプレーからの失点が最も少ないチーム(2)。
  • トーマス・フランクは初のプレミアの試合となった2021年8月のアーセナル戦で勝利。しかし、それ以降は7試合アーセナル戦で勝てていない(D2,L5)。
  • 2014年9月のエミレーツでの1-1のドロー以降、初めてのハリー・ケインとソン・フンミンのどちらもいないノース・ロンドン・ダービー。この間、ケイン(14)とソン(8)はアーセナル相手のトッテナムのプレミアのゴールのうち、27%を記録している。
  • マルティン・スビメンディは今季のプレミアにおいてプレッシャー下で445本のパスを成功させており、これより多いのはエリオット・アンダーソン(492)のみ。

スカッド情報

Arsenal
  • ヴィクトル・ギョケレシュ(筋肉?)
  • リカルド・カラフィオーリ(鼠蹊部)
  • マルティン・ウーデゴール(MCL)
  • ガブリエル・マルティネッリ(筋肉?)
  • ノニ・マドゥエケ(膝)
  • ガブリエル・ジェズス(ACL)
  • カイ・ハヴァーツ(膝)
  • ガブリエウ・マガリャンイス(筋肉)
Tottenham
  • ベン・デイビス(もも)
  • ラドゥ・ドラグシン(膝)
  • アーチー・グレイ(脚)
  • ジェームズ・マディソン(ACL)
  • ドミニク・ソランケ(足首)
  • 高井幸大(もも)
  • デヤン・クルゼフスキ(膝)
  • イブ・ビスマ(足首)

予習

第9節 エバートン戦

第10節 チェルシー戦

CL 第4節 コペンハーゲン戦

第11節 マンチェスター・ユナイテッド戦

今季ここまでの道のり

予想スタメン

展望

オーソドックス路線の現在地

 中断明けのアーセナルを待ち受けているのは強豪との連戦。ロンドンでの三部作の一つ目はトッテナムとのノースロンドンダービーだ。

 今季のトッテナムはまだまだ戦い方を模索中という感じ。特に保持の局面においてはマディソン、ソランケ、クルゼフスキと大駒を欠きながらソン・フンミンの退団という一大トピックスに向かい合うことになっており、なかなか苦しい側面があるのは確かだろう。

 基本的なフォーメーションは4-2-3-1か4-3-3ではあるが、保持においては3-2-5にシフト。右のポロが最終ラインに加わった3枚から組み立てを行い、左の大外にはSBのウドジェかスペンスが入る形になっている。

 構造を維持しながら配置を交換することも行っており、ポロが攻撃参加したりファン・デ・フェンが持ち上がったりすると、CHが列を下げて最終ラインは3枚を維持する。相手のプレス隊が噛み合ってしまえば、GKのヴィカーリオを入れて枚数調整を行ってズレを作る。

 前線の5枚は大外がLSBとRSH。インサイドに入る役割とハーフスペースに入る役割は位置交換が可能で、LSHやトップ下がサイドに流れるケースもある。いずれも今の時代の3-2-5のトレンドに忠実であり、ショートパスからの保持基盤を安定させる観点から言えばトーマス・フランクのアプローチは非常にオーソドックスなものだと位置づけることができるだろう。

 一方でこの形でどのように強みを押し出していくのか?というところは難しいところである。3-2-5であればまず問われるのはWGの質であるが、左のスペンスや右のジョンソンは停滞した局面の1on1で勝負するのではなく、むしろ味方が作ってくれたスペースを生かすタイプ。特に押し込んだ局面においての決め手にはなりにくい。こういう部分は今欠場している戦力が本来埋めることを期待されている部分だろう。

 インサイドに絞るリシャルリソンのSH起用や、トップ下のシャビ・シモンズのフリーマン化といったユナイテッド戦で見られたプランはアタッカーの特性を生かすという方向性にマッチしているとは思うが、基本的には3-4-2-1のミラーが成立しているという前提の中での「ずらし」の一手。4-4-2ベースのアーセナルに対してはやや噛み合う方向にズレているので、アーセナル戦でどのようにこの強みを落とし込むのかは別問題となる。相手の構造を選ぶような一手だったし、リシャルリソンの相棒のコロ・ムアニはあまり機能しなかったり、大外の突破力の問題があったりなど、ユナイテッド戦の効果だけでも微妙さがあったことも付記しておく。

 GKとしてビルドアップに参加するヴィカーリオは安定感と爆発力の両面を兼ね備えた稀代なショットストッパーではあるが、供給役としてはロングキックがベースでショートパスでの組み立てにおいては+1以上の役割を求めるのは少々酷。彼をフリにポロの列上げやファン・デ・フェンのキャリーをどこまで呼び込めるかがカギになる。

 構造的にはオーソドックスな段階での成長を踏んでいる一方でどこで勝負するかがぼやけているのも確か。大駒の負傷というエクスキューズがある中でどこまで状況に抵抗できるかが求められている印象だ。

 守備においては4-4-2が基本線。ミドルプレスが機能するかどうかは高い位置から前線が圧縮できるかにかかっている。コペンハーゲン戦のように強度で布陣のズレを強引に是正できる相手であれば、高い位置から面白いようにプレスで咎められる一方で、モナコやユナイテッドなどそうしたところでアドバンテージを握れる相手でなければ、一気に苦しくなる。

 具体的には後ろでスペースを埋めることに忙殺されて自陣にくぎ付けになるか、もしくはライン間やハーフスペース裏などファジーなポジションへの対応が遅れて失点の危機を迎えたりなど後手後手に回る。ケイン、ソン時代に比べれば重心が下がることがカウンターの土壌が整うということでうま味として帰ってくる時代でもないので単純な苦しさもある。

 基本的には攻守ともにフォーマットとする形の完成度を高めて行っている段階。自分たちの形を落とし込む道筋の中で、現状では攻守ともに彼らが力を発揮できるかは相手の構造や力関係に依存しやすい形になっているというのがトッテナムの現在地と位置付けることができる。

丁寧さが増していくオープンプレー

 代表戦に多くを送り込んでいるアーセナルにとってはFIFAウイルスは避けて通れない問題。今回はガブリエウがよりによってエミレーツで離脱の憂き目に遭うこととなってしまった。既存の負傷離脱者に関しても明白にいいフィーリングなのはウーデゴールくらいで2週間の休みを挟んでもなかなかスカッドは簡単に厚くなってはくれないなという印象。

 もっとも、上で述べたように負傷者はトッテナムにとっても停滞問題。引き続き、上位を狙うチームにとっては手元のメンバーでどれだけ勝負ができるかが求められる形になるだろう。

 トッテナム相手にどのように勝つか?というところに話をうつそう。もっともシンプルなのは単純に強度負けをしないこと。トッテナムが自分たちの形に腰を据えて取り組めるような隙を与えないことが最優先事項ということになるだろう。

 プレッシングに関しては3-2-5に変形する相手にがっちり噛み合わせ切らなくてもいいが、左サイドに対してはどうハンドリングするかを決めておきたい。あらゆる選択肢を消しながら降りるシモンズを潰してカウンターに移行することができれば展開としては理想的。逆にファン・デ・フェンに持ち上がりからの加速を許してしまえば苦しい。彼をタッチライン際に追いやるようなプレスか、もしくはヴィカーリオに戻させてロングキックを蹴らせれば回収する見込みはたつ。

 3-2-5の攻撃のシャープさをきっちりと出せるかどうか?に関してはサイド攻撃の優劣が大きい要素を占める。トッテナムは上で述べた通り、大外を務めるプレイヤーがそこまで1on1型のタイプではないところがある。クドゥスが出てくればここは1人で足りるのかどうかは判断が必要となるだろう。

 攻撃においてはやはり低い位置からのポゼッションからのスタートで相手の守備を間延びさせたいところ。構造のズレに対しては弱い。中盤がサイドの圧縮に失敗すると、そこからはバタバタっと遅れて人基準でついていきながら、穴を開けていくので初手で守備の穴を見つけられるかどうかが肝心な要素になると言えるだろう。ここはアーセナルであればできるはずだ。

 ガブリエウが離脱した以上、セットプレーの得点力が下がることは避けられないのは間違いない。オープンプレーにおいてはこれまでよりもさらに試合を動かす力が求められることになるだろう。手前のフェーズを丁寧にというのはここから対戦が続くチェルシーやバイエルン相手にも重要な要素になってくる。ロンドン三部作の初戦において難しいスケジュールを乗り越えることができる手応えを掴みたいところだ。

【参考】
https://www.bbc.com/sport/football/premier-league

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