■紺野とアダイウトンのW主演でゴールショーを演じたFC東京
4-3-3と3-5-2。ぱっと見噛み合わなさそうな両チームのフォーメーションだが、実は目の前の相手を捕まえるだけでばっちり捉えられるマッチアップでもある。
よって、両チームとも高い位置からのプレッシングを試みる序盤戦になった。相手につかまる噛み合わせの時は保持側がズレを作れるか？がポイントになる。その活路を先に見出したのはFC東京だった。キーになったのは右のWGの紺野。上下動しながらサイドの裏に走り込み、一気に相手を押し下げる。
これを受けて柏はWBの戸嶋に1列下がっての守備をさせるように。その分、FC東京のSBに対しては柏のIHがスライドしながら対応する。これでひとまず後方の数的優位を確保できたFC東京。紺野の裏抜けの優位を受けて、FC東京がボールをにぎることで大勢の流れは決まることになる。柏が明確に前進のルートを見つけられず、簡単に蹴っ飛ばしてしまったためにFC東京の優位は余計に際立った印象だ。
多少のリトリートを柏がしたとしても、この日の紺野は大暴れだった。FC東京もチームとして彼を生かす意識が高く、配置の上では左WGの渡邊も中央に絞りながらプレーする機会が多かった。
FC東京の崩しは裏抜けを徹底。ただし、よーいドンの裏抜けではなく、抜ける前に一度柏のラインの足止めが出来ていたのがとてもよかった。純粋な足の速さの競争になるよりもスピードに乗った状態で止まったDFラインと対峙するほうがいい。紺野のボールの晒し方はまず柏のバックラインを足止めするのにぴったり。塚川、松木、そして渡邊やオリベイラが裏抜けを行い柏のラインを壊していった。
先制点において抜け出したのはオリベイラ。相手を振り切ってファーの松木まで届けることで先制ゴールをゲットする。
この日のFC東京は明らかに右サイド偏重ではあったが、わかっていても柏には止められず。塚川のタメから今度は抜け出す方に回った紺野が攻撃のスイッチを入れると、渡邊を経由し、逆サイドのバングーナガンデまで流してゴール。右で作って左で壊すことを徹底したFC東京が前半のうちに2点のリードを奪う。
後半は盤面が整わないまま得点の取りあいになる。後半まず先手を取ったのは追う柏。大南のクロスに対して待ち構えていたドッジが点を奪い追撃する。ファーへのクロスを待ち構える形で柏は62分にもドウグラスがゴールを奪う。
柏がクロスならば、FC東京もクロスで応酬。ドッジのゴールの直後に同じようにファーで待ち構えた安部がすぐさま取り返す。
両軍共に点の取り合いになったが、ロングカウンターに精度があったFC東京の方に明らかに分があった。後半から入ったアダイウトンが大暴れ。ロングカウンターから得点を奪うと、上島を退場に追い込んで、さらにダメ押しの追加点までゲット。
新加入のフェリピにまでゴールが生まれたFC東京は合計6得点のゴールショー。整った盤面でもオープンな盤面でも力の差を見せたFC東京が柏を圧倒して見せた。
試合結果
2022.8.27
J1 第27節
柏レイソル 3-6 FC東京
三協フロンティア柏スタジアム
【得点者】
柏:54‘ ドッジ, 62’ ドウグラス
FC東京:40‘ 松木玖生, 45‘ バングーナガンデ佳史扶, 57’ 安部柊斗, 68‘ 89’ アダイウトン, 84‘ ルイス・フェリピ
主審:西村雄一