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「逆境を強みに変えて」~2025.12.3 プレミアリーグ 第14節 アーセナル×ブレントフォード プレビュー

目次

Fixture

プレミアリーグ 第14節
2025.12.3
アーセナル(1位/9勝3分1敗/勝ち点30/得点25 失点7)
×
ブレントフォード(10位/6勝1分6敗/勝ち点19/得点21 失点20)
@エミレーツ・スタジアム

戦績

過去の対戦成績

 過去の対戦でアーセナルの7勝、ブレントフォードの1勝、引き分けが2つ。

Match facts from BBC sport

Match facts
  • 2021年8月の初対戦での敗戦以降、アーセナルはブレントフォードに7戦負けがない(W5,D2)。
  • ブレントフォードは1938年4月の2-0での勝利以降、アーセナル相手のアウェイゲームでは公式戦7試合勝利がない(D3,L4)。
  • アーセナルは直近12試合の現地時間19:00以降のキックオフの試合で10勝しているが、最後の敗戦はロンドンダービー(2023年12月のウェストハム戦)。
  • ブレントフォードは直近11試合のミッドウィークのリーグ戦で1勝のみ(D3,L7)。最後のアウェイゲームは5月のフォレスト戦の2-0。
  • アーセナルは直近7試合のホームゲームで6勝(D1)で現在3連勝中。4連勝となれば2024年8月以来。
  • ブレントフォードは直近23試合のプレミアのロンドンダービーで4勝(D6,L13)。この4勝はすべてクリスタル・パレス(2024-25の2試合)かウェストハム(2025年2月と10月)相手のもの。
  • ブレントフォードは今季のプレミアのアウェイでの6試合で5敗(W1)。2024-25シーズンも同様に開幕6試合のアウェイゲームで5敗を喫しており、それ以前だと1997-98(D1,L5)が最後となる。
  • 5月の頭以降、ブレントフォードはアウェイでの先制点が7回あり、プレミアのどのチームよりも多い。この7回のうち、はじめ2回は勝利したが、以降の5試合において勝利したのは1回だけ(D1,L3)。
  • エベレチ・エゼはアーセナルでのホーム5試合のプレミアの出場で6得点(4G,2A)に関与。アーセナルの選手としてはじめのホーム5試合で6得点に関与したのはメスト・エジル、アレクシス・サンチェス、ピエール=エメリク・オーバメヤン、ガブリエル・ジェズスに次いで5人目。
  • イゴール・チアゴは今季プレミアで4つのアウェイでのゴールを決めており、そのうち3回は先制点。クリスマス前にプレミアのアウェイで5得点を決めた唯一のブレントフォードの選手は2022-23のイヴァン・トニー。

スカッド情報

Arsenal
  • レアンドロ・トロサール(脚)
  • カイ・ハヴァーツ(膝)
  • ウィリアム・サリバ(打撲)
  • ガブリエウ・マガリャンイス(鼠蹊部)
Brentford
  • ファビオ・カルバーリョ(膝)
  • ジョシュア・ダシルバ(膝)
  • アントニー・ミランボ(膝)
  • リース・ネルソン(出場不可)

予習

第11節 ニューカッスル戦

第12節 ブライトン戦

第13節 バーンリー戦

今季ここまでの道のり

予想スタメン

展望

右肩上がりのチーム力と自信を深めるチアゴ

 炎のロンドン3連戦が終わったアーセナル。だが、連戦自体は終了どころかここからさらに過酷さを極めていく。チェルシー戦を起点としてアーセナルは中2日の2セットがスタート。ビッグ・ロンドン・ダービーは連戦の終わりではなく、日曜の夕方から土曜のランチタイムという非常にタイトな1週間の幕開けでもある。

 ミッドウィークに挟まるブレントフォードは非常に厄介な相手。開幕戦は内容が散々なもので、このままでは降格もあるのでは?と個人的には思っていたが、試合を追うごとにシャープさを取り戻しており、調子は右肩上がりといえるだろう。

 予想外の代表格として挙げられるのは1トップのイゴール・チアゴ。トニー、ムベウモといったこれまでのブレントフォードのエースに比べると正直小粒ではないかなと思っていたが、ここまではなんとリーグ戦で11得点を記録。ウィサよりもムベウモよりもチアゴの方が次のシーズンで得点を重ねると聞いたら、5月の自分はきっと目を丸くしていたに違いない。

 チアゴのボールを収めるスキルは徐々に向上。スキルが上がったというよりは自信を深めていることが好パフォーマンスにつながっているように個人的には見える。特にロングボールの的として猛威を振るっていたマンチェスター・ユナイテッド戦は彼の自信を深めるきっかけとなっている。

 ブレントフォードの復調の要因の1つは速攻の目途が立ったこと。先に挙げたチアゴのロングボールの貢献度もさることながら、ライン間のダムズゴーからの加速も大きな武器。昨季から本格的に主力として定着したMFは左右のWGのスピードをうまく活用。前を向いたダムズゴーからシャーデ、ワッタラのオフザボールをいかした突撃で鋭くゴールに迫っていく。

 縦に速い攻撃のサポート役となるのはもちろんロングスロー。右のWBのカヨーデからのロングスローはブレントフォードだけではなく、今季のプレミアのトレードマークの1つ。往年のデラップと比べると高い弾道で飛距離を出すという観点で異質なロングスローはボックス内への突撃だけでなく、後方からのロングボールの砲台という陣地回復要素としても活用できる。ゲームの前提を変えるカードである。監督のルーツを考えればセットプレーを軽視するわけがない中で、こういったほかのチームにはない武器があるのは大きなメリットがある。

 ここまでの材料を並べると直線的な攻撃が中心となるようにも見えるが、後方のパス回しでは比較的リスクをとる傾向もある。GKを経由しながら、追い込まれない状態でロングボールを蹴る工夫はある。こういった土壌もチアゴを新たな前線の起点として活用する手助けになっている。

 非保持においては4-4-2のメリハリのある守備が特徴。先に挙げた開幕時の「やばいかも」という感覚は遅れて出ていくことが多い中途半端な守備に根付いているものであり、そういう意味ではこの点でも長足の進歩がみられているといえるだろう。

 ただ、Match factsで書いたように先制点をブロック守備で守るカラーのチームではなく、リードを奪ったとてなかなか勝ちきれない展開があるのも確か。手堅さという意味では従来よりもカラーは薄れている。

 それでもブレントフォードが厄介な相手であることは確か。ただし、ここまでの6敗のうち、5試合はアウェイで喫したもの。アーセナル、トッテナムとノースロンドンでのアウェイゲーム行脚となるブレントフォードにとっても今週は大きなチャレンジとなるだろう。

デプス勝負で差をつける12月に

 右肩上がりのブレントフォードは当然対戦相手として怖いが、チェルシー戦では主力の疲労が色濃かったことや、この後に控えるのはビラ・パークと考えればここはできればある程度メンバーの入れ替えは不可避のように思える。

 特に復帰明けのメンバーにはコンディションを整える意味でもプレータイムは必要だ。ジェズスや復帰を控えるハヴァーツといった長期離脱組は慎重にならないといけないが、ウーデゴールやギョケレシュといった面々にはここで機会を与えたいところ。エゼやメリーノにたまっている疲労を踏まえても、ここは先発でのプレーを期待したいところだ。

 サカも休ませたいところではあるが、ティンバー→ホワイトの入れ替えを画策するのであれば、やはり選択肢が多いサカが前に立ち、ウーデゴールとのトライアングルを結成するのが一番いい気もする。早めに下げることで何とかプレータイムの管理ができれば幸運である。

 サイドアタックに対する守備に関してはこれまでのブレントフォードに比べればやや甘い感じはある。サカを軸とした右サイドから活路を見出し、スペースを作りながらボックス攻略をしていきたい。サイドで深さを取れれば、ウーデゴールやスビメンディ(出れば)などがバイタルでミドルやラストパスを出せる状況を作れる。チェルシー戦ではなかなかできなかった部分だが、この試合ではきっちりとそこも見せていきたい。

 守備においてはやはりチアゴとダムズゴーの中央の要人の2人を抑えること。ライン間のダムズゴーの加速以外にも、チアゴを囮に縦関係で抜け出しを狙うシャーデのオフザボールにも気を付けたい。イメージとしてはサンダーランド戦で決められたバラードのゴールに近い形。奥行きをつかったロングボールにも警戒はしたいところ。サリバが復帰できるかは今このテキストを打っている時点ではわからないが、モスケラやインカピエにも対応が求められる部分だ。

 過密日程がきついのは間違いない。しかしながら、今季のアーセナルの強みはスカッドのデプス。同じ条件でライバルが戦っているのであれば、むしろ強みを生かしやすい環境ともいえる。1人故障者が帰ってくれば、誰がベンチから外れるのか?という議論になるのが今のアーセナル。過酷な日程という逆境を強みに変えてライバルに差をつける12月としたいところだ。

【参考】
https://www.bbc.com/sport/football/premier-league

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