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「裏返った強み」~2026.1.8 プレミアリーグ 第21節 アーセナル×リバプール プレビュー

目次

Fixture

プレミアリーグ 第21節
2026.1.8
アーセナル(1位/15勝13分2敗/勝ち点48/得点40 失点14)
×
リバプール(4位/10勝4分6敗/勝ち点34/得点32 失点28)
@エミレーツ・スタジアム

戦績

過去の対戦成績

 過去5年間の対戦でアーセナルの2勝、リバプールの7勝、引き分けが7つ。

アーセナルホームでの戦績

 直近10試合の対戦でアーセナルの3勝、リバプールの4勝、引き分けが3つ。

Match facts from BBC sport

Match facts
  • リバプール(26敗、マンチェスター・ユナイテッドと同じ)以上にプレミアでアーセナルが敗れている相手はいない。
  • リバプールは勝てばプレミアにおいて21-22以来の8回目のアーセナル戦でのシーズンダブル。アーセナル相手の7回のシーズンダブルはプレミアで最多。
  • 2015年8月のスコアレスドロー以降、アーセナルは直近20回のプレミアでのリバプール戦で失点中。これより長いクリーンシートがない歴史はマンチェスター・ユナイテッド(1953-1968,30回)とトッテナム(1955-1967,24回)だけ。
  • プレミアにおいて木曜日にこの両チームが対戦するのは初めて。直近の木曜日の対戦は1947年12月のアンフィールドで、アーセナルが3-1で勝利している。リバプールはサウサンプトンに次いでプレミアにおいてアーセナルとすべての曜日で対戦した2つ目のチームとなった。
  • アーセナルは直近7試合のホームのプレミアで全勝。ミケル・アルテタ政権下でこれより長い連勝は2022年4月から12月にかけての10連勝だけ。
  • 今季のプレミアで90分以降のスコア変動がリバプール(9点変動、5得点、4失点)より多いのはバーンリー(10点変動)だけ。リバプールがこれより多い変動を記録したのは23-24(13)、08-08(12)、10-11(10)の3シーズンだけ。
  • アーセナルは直近2試合のホームでのプレミア王者とのリーグ戦で全勝。23-24,24-25のシティ戦。3年連続王者相手のホームでの勝利を記録すればスパーズ、イプスウィッチ、エバートン相手に連勝した1961年から1964年以来のこと。
  • ブカヨ・サカは直近3試合のホームのプレミアにおけるリバプール戦で得点。リーグの歴史においてリバプールとのホームゲームで4試合連続得点したアーセナルの選手はいない。
  • 今季のプレミアにおいてドミニク・ショボスライ(103)よりオープンプレーをシュートで終わらせた回数が多い選手はブルーノ・フェルナンデス(116)ただ一人。1000分以上プレーした選手の中で90分換算でショボスライより多いのはジェレミー・ドク(7.2)、ブルーノ・フェルナンデス(7.1)、ブカヨ・サカ(6.4)の3人だけ。
  • コーディ・ガクポは今季のアウェイで3つの得点を決めている。その3つのすべては直近4回のロンドン遠征(チェルシー、ウェストハム、フラム)で生まれている。ガクポはロンドンにおいて初めの18試合で4得点しか決められなかったが、この試合で得点を決めれば異なる4つのロンドンのアウェイゲームで同一シーズンに得点を決めた2人目のリバプールの選手となる。1人目は2017-18,2020-21のモハメド・サラー。

スカッド情報

Arsenal
  • リカルド・カラフィオーリ(?)
  • クリスティアン・モスケラ(足首)
  • マックス・ダウマン(足首)
Liverpool
  • ウーゴ・エキティケ(腿)
  • ジョヴァンニ・レオーニ(膝)
  • モハメド・サラー(AFCON)
  • アレクサンダー・イサク(脚)
  • 遠藤航(膝)

予習

第18節 ウォルバーハンプトン戦

第19節 リーズ戦

第20節 フラム戦

今季ここまでの道のり

予想スタメン

展望

両にらみが一本足打法に

 全勝対決となった第3節ではリバプールがアーセナルを下して連勝継続。不安定だった試合運びを克服した首位攻防戦の勢いをそのままに第5節まで連勝を重ねるロケットスタートを決めた。

 しかし、そこからリバプールは失速。以降の7つのリーグ戦で6敗を喫して一気にテーブルの中位に。現状は8試合負けなしでCL圏内に復帰はしたものの、上3つとは勝ち点差がついている状況となっている。

 失速の要因は簡単に言えば主力のパフォーマンス低下とピーキーなスカッド構成だろう。サラー、コナテなど昨季の優勝の立役者たちが不安定さを隠せず。この2人ほどではないにせよ、ファン・ダイクも引っ張られるようにパフォーマンスを下げてしまった印象だ。

 この想定外の事態によってリバプールのゲームモデルの根幹が一気に不安定に。外で勝負できるポイントを作りつつ、インサイドにギャップを作ったところから侵攻していくというリバプールの両にらみのプランはサラーの不調によってインサイドの一本足打法になった。

こうなるとヴィルツのフィットを待つ余裕はなく、インサイドにはおなじみの3人をまとめておくことで中央の連携を強引に構築したりする試合も。サラーの不調は副次的にほかのポジションにも影響を及ぼしてしまった感がある。

 CBの不調もあり、前に人数をかけるというプランの尻ぬぐいが効かなかったのもつらいところ。アリソンの負傷の影響も少なくなかった。代役のママルダシュヴィリも極端に悪いパフォーマンスをしなかったものの、試合の流れを捻じ曲げるような凄みが欲しくなるチーム状況だったこともあり、その点で物足りなさを感じたのも事実だ。

 コアにきっちり契約を提示しているというプランの関係もあり、1人の不振は大きなダメージとなってスカッドにはねかえってくる。昨夏の補強方針は質量をともに多かったが、放出も伴っていた分、数は足りなくなってしまった感。ピーキーな構成となったスカッドにおいてはCBやWG、RSBなどショートしているポジションを抱えたまま進むことになっている。

 そうした中で光になっているのは新戦力だろう。イサク狂騒曲の流れの中で獲得した感もあったエキティケは蓋を開けてみれば「ここを逃していたらどうなっていたのだろう」と青ざめるくらいには活躍。スタミナという課題はありつつも、しなやかさがある抜け出しや安定したポストプレー、そして豪快なフィニッシュとストライカーとしての総合力を感じる。

 ヴィルツは当初の期待通りというプロットには乗れていないが、ライン間で時間をもらえた時の鋭さに関してはさすがというものを感じる。高さを味方と調整しながらライン間に入っていく連携も少しずつ板についており、少しずつ得点に関与するプレーも出てきている。負傷はしてしまったが、イサクも含めた新戦力が今の彼らの伸びしろである。

 ただ、彼らが持ち味を発揮しても結局足りないポジションは少なくない。連勝していたころから懸念されていた層の薄さとピーキーさはやはり跳ね返ってきてしまっており、大型の追加投資に踏み切るわけでもなさそう(とOrnsteinが言っていた)な冬の市場を踏まえると、春以降も厳しい戦いが続くのは間違いないはずだ。サラーやコナテが昨季の輝きを思い出せない限り、解決しない問題はそこに存在してしまっている。

 仮にここから全部リーグ戦を勝ったとしても最大勝ち点は88。届くかは上のチーム次第となる。まとまった失速を複数チームが引き起こす可能性もなくはないが、当面は何とかCL出場権を死守しつつ、CLで上を目指すのが落としどころになるだろうか。

インサイドを浮かせる手段をつぶせるか

 大きな戦力の入れ替えと転換点があったリバプールだが、基本的にリバプールが強みを発揮する方向性は昨シーズンと変化はないように思う。アウトサイドとインサイドを両にらみしつつ、叩けそうなところで叩く。外でサラーが牽制になっていたからこそ、グラフェンベルフやマック=アリスターが入り込む攻撃が効いていたし、ヴィルツのフィットも算段が立つと踏んだのだろうなと思う。

 今のリバプールはアウトサイドでのにらみが効いていないので、インサイドでのギャップづくりがシビアとなっている。外の突破は連携というよりは力業前提でフリンポン、ガクポといった面々がボールを受けた状態からできること以上のことはできないように見受けられる。1on1を受け入れられて守備側が彼らを上回れば、相手は気にせず中を固めることができるだろう。

 そういう意味では縦方向に深さを作ることができるエキティケが一番中盤の連携を生かすためのキーマンとなる。ハーフスペースから内側であれば横に動きながら相手の基準点をずらすことができるし、抜けた後のプレーの精度も高い。ヴィルツが生きるスペースを得ることができるかどうかはガブリエウとサリバがエキティケをつぶせるかにかかっている。リバプール側からすればそもそも彼がこの試合に出ることができるかは死活問題となる。

 サイドでの1on1を受け入れることができて、エキティケがいないとなればアーセナル目線での戦い方はだいぶ楽になる。いずれにしてもインサイドで背中を通されるようなウルブス戦のようなプレーをしないことはアーセナルが試合を優位に進める前提条件。ずっと押し込まれることは考えにくいだろうが、相手の戦力と自分の戦力を見極めながら、人を薄くしてもいいところと手厚く埋めるところのコントラストをつけて対応したい。

1on1の優位と癖の活用でバイタルを開ける

 守備に関してリバプールはワンサイドカットをしつつハイプレスを敢行してくる。ただ、ここはアーセナルであれば回避したいところ。FWが前に出ていくアクションに対して、MFが追随するアクションが重たくスビメンディが浮く形は想像しやすい。

 ビックマッチなので、立ち上がりはきっちりと縦方向のスライドをしてくる可能性は十分にある。まずは立ち上がりに深さを作りながらGKまで引き込みつつ、ウーデゴールをおろしてチームとしてのハイプレスをあきらめさせたい。

 あきらめたところからはFWだけをハイプレスで誘発しつつライン間を浮かせてフリーとなったスビメンディからチャンスを作りに行く。これでビルドアップの主導権を握りたい。

 押し込んだ後は右サイドではサカとケルケズorロバートソンの1on1を軸に考えたいところ。本調子であればここでアーセナル側が主導権を握れる公算は強く、サカにダブルチームをつけるのであれば抜けるティンバーか並行サポートするウーデゴールのどちらかはあくはず。ウーデゴールがミドルを決めたブライトンの再現のチャンスはあるはずだ。

 左サイドはシンプルにハーフスペースの奥を取り続けることが重要になると踏んでいる。グラフェンベルフはとりあえず最終ラインを埋めたがる癖があるので、まずはその形を引き起こすために裏へのランを見せつつ、バイタルの管理が甘くなってきたところからライスやスビメンディがミドルを放つというのがいいプランだと思う。

 こうした揺さぶりをかけるにはカラフィオーリが復帰しているかどうかが重要になってきそう。いずれにしてもライスが右サイドからのクロスを仕留めたような直近のボーンマス戦の形を左からも作れる形に持っていきたい。

 同じくファストブレイクにおいても一度奥を取ってからマイナスで入ってくるというパターンは有効になるはず。最終ラインをばたつかせて、フォローに行かせて、その手前を使うというパターンは速攻にしても遅攻にしても狙っていきたい。

 両チームの勝ち点差は開いており、アンフィールドでの対戦とは状況は異なっている。直接の順位のライバルというには現在の勝ち点差は離れており、アーセナルはさらに高みを目指すために勝ち点が欲しい状況だ。

 思えば、前回の対戦はまだ週1でのリーグ戦ができていた時期だった。打点の最大値がスカッドの持ち味となっていたリバプールにとっては持ち味を発揮しやすいシチュエーションだったともいえる。

 翻って今回の対戦はプレミアの過密日程の象徴ともいえる年末年始の連戦の出口。これはスカッドの厚さで勝負できるアーセナルに優位なシチュエーションだ。アンフィールドでリバプールの特徴が出しやすい状況で負けたのだから、エミレーツでアーセナルの強みが問われる試合を逃すわけにはいかない。前回対戦から裏返った強みを見せつけて、年末年始の連戦を勝利で締めくくりたい。

【参考】
https://www.bbc.com/sport/football/premier-league

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