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「見えてきたクローズの課題」~2025.12.13 プレミアリーグ 第16節 アーセナル×ウォルバーハンプトン レビュー

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レビュー

結局、サカのタメ次第

 代表ウィークを除くと延々とミッドウィークでの開催が続いてきたアーセナル。この週末を乗り切れば9月以来の中6日というゆとりを持った日程を迎えることができる。連戦の最後を飾るのはウルブス。ここまで勝ち点2と不振を極めている相手との対戦だ。

 序盤からボールを持つのはアーセナル。5-3-2でブロックを組むウルブスはアーセナルの選手たちの移動やローテーションに対して特に動くことなくきっちりとブロックをキープする。よって、アーセナルはスビメンディが非常にフリーになりやすかった。バックラインに落ちるケースはもちろんのこと、ライン間でも管理が甘くなることがあり、アーセナルはここから展開し放題。ウルブスがスビメンディの管理をあいまいにしている段階で、アーセナルは自在にサイドを押し下げることができるフリーパスを手にすることができたといえるだろう。

 サイドへの展開が自在だったアーセナルは右サイドにボールを集約。タメの効くサカを主役として、抜け出すアクションを狙っていく。後方は特にビルドアップで苦戦する様子がないのでホワイトは上がりっぱなし。右サイドからの攻め上がりに対してボックスで突撃ができるようにライスも上がりっぱなし。後方はティンバー、サリバ、インカピエの前にタクト役のスビメンディが待機する形だった。

 右サイドからの攻撃は基本的にはハーフスペースの裏に突撃するような形を意識した組み立てに。サカを追い越すホワイトから速い弾道のクロスを入れていくという形からチャンスを作っていく。

 しかしながら、右の奥を取るというプランに対してウルブスは相当警戒度を高めていたように思う。この位置をケアすべき左のCBのトティ・ゴメスはかなり背後をケアしていたし、例えばスビメンディのような深い位置から一発で背後を狙うアクションをしたとしても、GKのジョンストンが素早く飛び出す関係で簡単にはボールは通らない。

 結局はタメを大外で作り、いったん静止するフェーズを作ってから動き出すという形を作らなければ背後を抜けるアクションを作る必要がある。サカにかかる負荷は大きかったし、抜け出すアクションが巧みなホワイトの負傷交代は手痛いものがあった。

 左サイドでもギャップを作りたいアーセナルだが、こちらはマルティネッリに素早く寄せるドハーティが苦戦。前提となる左の大外のタメは作れなかったし、不確定要素として前線に飛び出すことができるカラフィオーリはおらず、後方から一発で裏に狙撃する形も成立しなかった。結果的には攻撃はサカのタメ次第というのがアーセナルの攻撃だったといえるだろう。

武器であるはずが・・・

 それでもアーセナルが相手を押し下げること自体には意味はあったといえるだろう。それだけウルブスの陣地回復の手段は限られていた。ロングボールとしては左サイドに流れながらターゲットに合わせる形を狙っていたが、ファン・ヒチャンもストランド・ラーセンもアーセナルのDF陣に体を当てながらボールをキープできるほどではなく、陣地回復の特効薬にはならず。

 時折高い位置からアーセナルの左サイドを狙ってハイプレスを突発的に狙う場面もあった。ジョアン・ゴメスのハイプレスでライスをハントしたシーンなどはその1つだろう。だが、ミスをした後のアーセナルの対応は安定。2つエラーが続かなければ決定機を迎えられなそうだったウルブスにとって、1つ目のミスを引き起こすのにも苦労があったし、2つ目のミスを起こすほど慌てる材料を突き付けられなかった。

 ホワイトの負傷に伴い入ったルイス=スケリーは2つ目のエラーを引き起こせるウルブスにとっての狙いどころになりうる存在ではあったが、投入直後にマルティネッリへの縦パスを通して局面をひっくり返すなど落ち着いて試合に入ることに成功。ウルブスにとっての起爆剤にはならなかった。

 逆にアーセナルの計算違いという形でウルブスにチャンスを与えてしまった感があったのはセットプレー。これまではアーセナルの武器であるという認識であったが、11月のバーンリー戦以降はセットプレーでの得点はなし。この試合でもロングスローを含めたセットプレーは不発で、むしろCBがいない状態でウルブスがカウンターを打つための絶好機となっていた。

 もっとも危ないと感じさせた場面はヒチャンの抜け出しの場面だろう。ティンバーのプレスバックによるコースの限定が間に合い、ラヤはなんとかセーブをすることができた。逆に言えばヒチャンのようなスピードが武器のアタッカーが初手であれだけのアドバンテージがあるにも関わらず、切り返しなしで追いつかれてしまうのはつらいところ。スピードの衰えは隠せないところではあったし、あくまで2トップにはチャンスメイクを!ということであれば彼がスターターではない方がこの試合の文脈にはあっていたかもしれない。

 チャンスメイクの位置は限られたところから+頼みのセットプレーは逆噴射。アーセナルにとっては少しつらい状況。それでも右サイドから速いクロスを入れられればチャンスはできるというのが両チーム合わせても最も確実なチャンスの作り方だったのは間違いない。エゼの右サイドへのサポートが増えてきたこともあり、前半の終盤に再びチャンスを増やしたアーセナル。だが、ネットを揺らすところまでには至らず、試合はスコアレスでハーフタイムを迎える。

「左のサカ」登場

 後半も前半の流れを踏襲する立ち上がり。アーセナルはもう一度右サイドから作っていくスタート。サカがタメを作りつつティンバー、エゼがそれに絡みながら奥を取っていく。あくまで右サイドからチャンスメイクをするという形である。

 左サイドは引き続き苦しさの中にある状態であったが、マルティネッリは交代直前にデハーティとの入れ替わりからサイドをえぐることに成功。最後に意地を見せた。決まっていれば完ぺきだったけども。

 ウルブスは後半からもヒチャンの馬力を生かしたカウンターを狙うが、逆にあわや退場というタックルをかましてしまうなど逆噴射。VARがOFRをレコメンドしなかったのは率直に言って運がいいとしか言いようがないプレーだった。

 アーセナルはトロサールの投入で左サイドを強化。突破だけでなく、止まった時のプレー選択が冴えている最近のトロサールはさしずめ「左のサカ」といったところ。大外で2人を引き付けつつ、ハーフスペース裏へのランで3人目を引き寄せたルイス=スケリーをスルーして、4人目として登場したライスにパスを出してミドルから決定機を作るというシーンはトロサールの投入ありきであった。

 すると、前半は逆噴射をかましてしまったセットプレーからアーセナルは先制。サカのファーサイド側のゴールを直接狙ったCKはポストに当たりながらもジョンストンの背中に当たってゴール。オウンゴールから先制点を生み出して見せた。

 追いかける立場となったウルブスはモスケラが早々にキャリーをするなどスコアレスの時間帯とは異なった馬力の出し方を披露。ハイプレスにも出ていくことでチャンスを作りに行く。

 そのモスケラのキャリーをとがめたライスが逆サイドのトロサールにボールをつけるカウンターなどアーセナルはウルブスのアグレッシブな姿勢をひっくり返してチャンスにつなぐということをはじめはできていた。その一方でトロサールやギョケレシュといった面々はひっくり返す機会をふいにしてしまった感もあり。なかなかアーセナルは追加点までのチャンスを量産という形にはいかなかった。

 ウルブスはアロコダレを投入し、前線のパワーを明確に強化。ロングボールの的として活用していく。さらにはジェズスの背後に立つジョアン・ゴメスにパスを通すところから前進するシーンもしばしば。こうなるとラインは下げざるを得なくなる。

中央をぱっくり割られてしまう4-4-2のブロック精度は最近のアーセナルのあるある。途中交代のジェズスとウーデゴールでもここを手当てしきれなかったのは気になるところではある。

 押し下げたウルブスは左サイドに最後の一手として投入したマネからのクロスをアロコダレが仕留めてゴール。やや事故的ではあったが、本能的に合わせたアロコダレの一撃が得点につながった。

 だが、最後の意地を見せたこの日のアーセナル。右サイドからのサカのクロスでバックラインが1枚減ったウルブスのバックラインを狙うと、ジェズスと競り合ったモスケラがオウンゴール。追加タイムに勝ち越しゴールを挙げた。

 後半は息切れ感があったものの何とか勝ち点3を手にしたアーセナル。首位をキープして連戦を終えることとなった。

あとがき

 内容的には乏しいのは間違いないだろう。アルテタのコメントも報じられているライスをはじめとした選手たちの振る舞いもそれを自分たちで認めている様子だった。

 個人的に不安視しているのは4-4-2でのクローズ。ラインが下がりすぎていることは懸念ではあるし、下げないに越したことはないとは思うが、これまでのアーセナルの強みは「下げても耐えられる」であったはず。昨年であれば逃げ切れないのは10人になったとかわかりやすいエクスキューズがあったが、今年は11人でプレーできているにも関わらず、クロスから決壊するシーンは増えている。

 前から制限して追い込むというスキームは仮にブロックを下げたとしても重要。ラインが下がるとともにそこが適当になってしまうから、サイドにつけた時に相手の景色がよくなり、フリーでクロスを上げられてしまい、不安定な体勢で対応した結果、跳ね返りを相手に拾われて波状攻撃という流れが多い。

 この試合で言えばジェズスの背後でボールを受けたジョアン・ゴメスがそのきっかけとなったのは間違いない。彼は優秀な選手ではあるが、試合終盤にこうしたギャップができればより強いチームは間違いなく見逃してはくれない。ガブリエウが帰ってくればより跳ね返しは強力になるが、受ける手前の段階は今の陣容でも整備したいところ。ジェズスとウーデゴールにはその点ではむしろチームをけん引してほしいし、CHは交代人員も含めたプランの確認を浮いた1週間でしてほしいところだ。

試合結果

2025.12.13
プレミアリーグ
第16節
アーセナル 2-1 ウォルバーハンプトン
エミレーツ・スタジアム
【得点者】
ARS:70‘ ジョンストン(OG), 90+4‘ モスケラ(OG)
WOL:90’ アロコダレ
主審:ロベルト・ジョーンズ

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