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「流れを変える期待感」~2026.1.10 FAカップ 3回戦 ポーツマス×アーセナル レビュー

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レビュー

狙い通りの先制点を献上するが…

 年末年始怒涛の4連戦を終えて休む間もなく中2日。アーセナルはFA杯の3回戦に臨むこととなる。ここ数年はアーセナルのFA杯は良くて4回戦という苦しい成績になっているが、ここは戦力を投入するのは難しいところ。

 去年はそれでも強行軍で主力を入れたが、今年は相手が下位カテゴリーということでメンバーはほとんどのポジションを入れ替えることに。出場している選手も本来の適正ポジションとの違いがあってもプレータイムを管理することを優先した。

 序盤は普段プレータイムが少ない選手を置いたデメリットが顕在化したと言えるだろう。ポーツマスのワンサイドカットからの襲撃に苦戦。外に追い込まれるようにCB→SBと袋小路に追いやられ、そこから縦に無理やり蹴ったボールを回収する。

 左右のサイドでこの流れを掴んだポーツマスは勢いに乗って先制。左サイドからのクロスからのシュートのこぼれ球をビショップが仕留めてわずか3分でリードを奪う。

 勢いに乗るポーツマスは前からのチェイシングを敢行する。しかしながら、アーセナルもこれで飲まれているようではプレミアで首位に立っている名が廃るというもの。SBの先にWGの降りるアクションを用意してここからの前進を図る。反転して前を向けるというわけではないけども、そこから中盤が落としをレシーブできれば前に進むことができる。

 ビルドアップ以上にアーセナルは見せつけた違いはセットプレー。左サイドからのエゼのキックからGK周辺にボールを入れると、そこからオウンゴールを誘発。8分には同点ゴールを生み出す。

中盤に降りる選手のコンディション

 このゴールは試合の流れを変えた感がある。ポーツマスのロングボールは不要なコンタクトでファウルを生み出してしまっており、前進の手段にはならず。ビショップはボールが収まりそうではあったが、そうではないところでファウルまがいの競り合いが出てきてしまった感。左サイドにボールをつけることができればブレアからの仕掛けができそうではあったが、そこまでボールを運ぶ手段がなかなか見つからない。

 一方のアーセナルは時間経過とともにかなりポーツマスのプレスをテキパキと片付けていく。特に存在感を発揮していたのはヌワネリ。カメラの画角的に何が要因なのかは分かりにくいのだが、ビルドアップ時に降りるアクションに伴ってフリーになることが多い。

 センターラインはメリーノ、エゼ、ジェズスなども降りるアクションをこなしていたが、その中でもヌワネリは余裕でターンを行うことで前を向いてボールをキャリーすることができていた。サイドでボールが詰まりそうになった時も平行サポートで浮いてボールを受けることでプレスを脱出。以前に比べてボールの引き出し方は上手くなっていた。リリースのタイミングがもう少し図れればより良くなるはず。

 逆にエゼは少しコンディションが気がかり。ビルドアップに関与するのが本分でないのであれば、その分高い位置で輝いてくれればいいのだが、この試合はその部分においても控えめ。序盤戦のハイパフォーマンスから少し落ち着くタイミングに入ってしまったのかもしれない。

 メリーノのアンカーはフリーになれば自由に縦パスを通すことができていたが、そうなるための動きというのはまだこの相手だからなんとかなったかなという感じ。まぁ、いきなりできる方がおかしいのでこの辺りは仕方がない。CFもそうだったし。

 ジェズスは背負った時のプレー選択がとても慣れているので繋ぎの局面においては安定感があった。その一方で、前を向いた時のプレーの精度はもう一つ。リリースのタイミングが少し遅れてしまっている感があった。

 個人個人には課題といい部分がありつつ、チームとしては結構バランスが取れていたのは新鮮。特にレーン割りは互いにバランスを見ながらできている上に、それなりの流動性を乗せることができていた。サイドに対してのクロスの入り方も徹底。左であればマドゥエケ、右であればマルティネッリといったように逆サイドのWGがボックス内に入ることができていた。

 前進はスムーズに行っていたアーセナルはセットプレーから再びゴール。1得点目はカオスを生み出してこそのゴールという感じだったが、2得点目は設計図の勝利。死角からニアに飛び込んでくるマルティネッリに対してほとんど対策を打つことができなかった。

 さらに右サイドを軸に構成を強めるアーセナル。右サイドからインサイドに入り込んでジェズスのポストの落としを受けたホワイトから大外のマドゥエケにラストパス。ここからの仕掛けでアーセナルはPKを確保。マドゥエケの失敗により、3点目を掴むことができなかったアーセナルだが優勢さをきっちり決定機に繋げた感があった。

 ちなみにこのシーンにおけるホワイトは先に述べたチームとしてバランスの良さを感じるポジショニング。やや位置を下げていたヌワネリの重心をカバーするように高い位置を取り、大外のマドゥエケにエスコートをしてみせた。

 試合を楽に進める3点目を仕留められなかったアーセナルだが、前半のうちに逆転に成功。リードを得た状態でハーフタイムを迎える。

冴えと甘さ

 後半もペースを握ったのはアーセナル。高い位置からのプレスが躍動。前半の終盤から流れをよくインターセプトができていたホワイトが流れよくプレーをすることができていた。

 保持においてはルイス=スケリーがインサイドに絞るアクションを敢行。よりインサイドのマンツーを乱すための要素を上乗せする。この位置にルイス=スケリーが入ったことでCH陣はやや高いポジションを取ることができるように。

 ルイス=スケリーの冴えが見られたのは3点目のゴールシーン。クイックリスタートで右サイドに展開すると、サイドに流れていたジェズスからのクロスをマルティネッリが押し込んで追加点を奪う。逆サイドからのクロスに対してWGがきっちり絞るというこの試合の原則がゴールに繋がったシーンだった。

 素早くプレーを再開したルイス=スケリーは見事であったと同時に、簡単にリスタートを許してしまったポーツマスの甘さが出たシーンだと言えるだろう。さらに失点シーン以降にも同様のクイックリスタートを簡単に許した場面も。結果的にイエローカードが出たことでリスタートは認められなかったが、失点してなおその部分をケアできないのはチームとして注意力が明らかに散漫であるという評価を下さざるを得ない。

 この時点で試合の流れはもう決まってしまったかなという感じ。ビショップはノアゴールを狙い撃ちにするロングボールからボールを収めることもできていたが、得点への近さという意味では難しいところがあった。

 アーセナルは主力の投入と絡めてハヴァーツを復帰させる。非常に滑らかなポゼッションへの関与とオフザボールの動き出しはここまで出ているCFと比べても十分に武器として成立できるもの。裏抜けによる奥行きとポストプレーによる幅の広さによって、この時間以降はさらにアーセナルは攻勢を強めることに。ゴールを決めることができなかったこと以外は完璧な復帰戦だったと言えるだろう。

 もっとも、この日の主役は彼ではなくマルティネッリ。セットプレーで再び簡単にフリーになって3点目を決めてのハットトリックを達成。キャリア初めてのハットトリックで完勝を飾ってみせた。

あとがき

 初めはなかなかうまくいかずとも、チューニングをしながら相手を受け止めてゴールまで進んでいくという試合運びは合格点。チューニングが完了するまでに失点をしなければ、この試合で必要なことは全てやったと言えたはずだ。

 この試合で今後のパフォーマンスに期待が持てたのはヌワネリだろう。ボールを引き出すところからの存在感の出し方はこれまでになかったものであり、今後この要素が絡んでくれば、ウーデゴールの交代枠の1番手は彼になる可能性もある。

 もっとも、まるっと入れ替えた面々の中で力を発揮することと、プレータイムが多い選手の中に入るのとは微妙に勝手が変わるもの。それでも出番がなかった前半戦の流れを変えて、ここから主力に食い込むことを期待したくなるパフォーマンスだった。

試合結果

2026.1.10
FAカップ
3回戦
ポーツマス 1-4 アーセナル
フラットン・パーク
【得点者】
POR:3′ ビショップ
ARS:8′ ドッゼル(OG), 25′ 51′ 72′ マルティネッリ
主審:トニー・ハリントン

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