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「開幕までに間に合えば勝ちなんよ」〜川崎フロンターレ 個人レビュー 2025 -GK&DF編

 急げ!開幕は目の前だ!

目次

GK

1 チョン・ソンリョン

まずはありがとう

 恋愛リアリティショー的な書き出しになってしまって恐縮なのだが、真っ先に出てくるのは「まずはありがとう」というコメントだろう。「自動ドア」という恐ろしい前評判もちらほら聞こえてくる中での加入となったが、蓋を開ければそんな心配をよそに長年守護神として君臨。素晴らしい守備者はタイトルをもたらすという格言に基けば、問答無用で川崎史上最高のGKという肩書きを与えるべきである。

 もちろん、彼ほどの選手が2年連続でベンチを温めることはいろんな面で難しいだろうなと思うので、退団はやむなしだろう。出ていた試合のパフォーマンスを見てみると、今季の2nd GKという序列をひっくり返すには不十分。福島が移籍先というのは驚いたが、川崎を離れるという判断は妥当だろう。

 つなぎのパスはなかなか向上しなかったが、それでもトライする姿勢を見せていたことは確か。歳を重ねても新しいことにトライすることができるベテラン選手はそれだけで頭が下がる。2025年シーズンの話よりも今までの話が先立ってしまうのは寂しいが、新天地でも活躍することを祈っている。

21 安藤駿介

立場が変わったとしても

 2025年シーズンは2月のセントラル・コースト戦に出場。9年ぶりの公式戦出場をクリーンシートで飾る活躍を見せた。

 プレーする姿を見られた喜びもあるシーズンではあったが、今季での契約満了と引退を発表という悲しいシーズンでもあった。コメント的にはチームから契約延長の打診をしなかったというように見えるが、コーチとして川崎に残ってくれるということを見ると折り合いはついたのだろう。立場は変わるが来季もチームを支えてくれることを期待したい。お疲れ様でした。

98 山口瑠伊

異なる評価軸における異なる評価

 年間を通して正守護神として君臨。3100分を超えたリーグ戦でのプレータイムはキャリアハイ。プロになってから最も多くのリーグ戦でピッチに立ったシーズンとなった。

 昨季に比べればパフォーマンスは向上したと言えるだろう。特に昨季は硬さが見られた相手のカウンターに対する準備の点では余裕が見られ、チームを救うような試合も少なくはなかった。ゴールマウスを任せる安心感は増していると言えるだろう。

 ただ、それはあくまで彼の個人のパフォーマンスを線で見た時の話。J1上位チームを考えた時に安定感は物足りなく、ハイボールの飛び出し、ニアを抜かれる頻度、ロングボールのキック精度など多方面において足りない部分は目についてしまったのも確かである。

 正守護神を得た分、パフォーマンスは上向いたと言えるが、それが2026年以降の何かを保証するものではないというのが個人的な山口の現在地だと考える。ライバルとなるブローダーセンは特徴が非常にはっきりしている選手。キャンプのコメントを見る限り、ボールを持ちながら守備機会を減らす方向性を目指したいのが2026年の川崎のようなので、長短を含めたパス精度を上げることでブローダーセンとの正守護神争いにも臨みたいところだ。

DF

2 高井幸大

文字通り大黒柱でリーグを代表するCBに

 2024年の日本代表招集は先行投資の要素が強かったが、2025年の川崎時代においてはその肩書きに見合った活躍を見せたと言えるだろう。川崎の主力CBとして完全に定着するどころか文字通りの大黒柱として君臨。チームだけでなく、リーグを代表するCBとして活躍した年だったと言っていいだろう。

 2024年シーズンに見られていた試合ごとの不安定さは消失し、高い水準でパフォーマンスを安定させることに成功。やってみるまでどう転ぶかわからない若さと別れを告げて、CBに最も必要な要素を身につけることができた半年だった。

 相棒の丸山がカバーすることが難しいような無理が効く潰しを一手に引き受けながら、保持面ではキャリーと対角パスから攻撃の組み立てにトライ。さらにはセットプレーにおいては別格の高さで得点源となるなど、他の選手には真似することが難しいスケールの大きさを見せた。

 それだけに退団の影響が大きかった。2025年の川崎が高井の移籍以前、以後で語られることは避けられないところである。具体的に踏み込めば高井が退団してからのDFラインの再構築に時間がかかってしまったことが今季のリーグタイトルを逃した決定的な要因の1つだと言える。

 彼個人の現在地を見るとW杯への道筋は微妙なところ。トッテナム移籍後のプレシーズンの出遅れはギリギリまで日本までプレーしていたこととどういう相関があるのかはわからないが、この半年は正直勿体無いように映る。負傷明けや環境を変えているポジションが多い今の代表のCBの中で抜きん出たものを見せる残りのハーフシーズンを過ごしてほしい。

4 ジェジエウ

多少戻った兆しはあったが・・

 こちらも今季で退団レジェンド枠。まだ5人しか書いていないのに3人目だし、2人あとの選手もその枠となります。なかなか大変な時期だね。

 個人的には2024年シーズンよりは出ていた試合の内容は良かったかなと思う。スピードとパワーにさすがと思わされるシーンもなくはなかったし、出ていたとしてもあまり凄みを感じることができなかった2024年とは違う部分もあった。

 その一方で全盛期と比べると出ていって潰せないところやそもそも出ていくことができないシーンが少なくなかったのは明らか。負傷の影響も大きいことは側から見ても明らかであり、オフサイドがなければDOGSO間違いなしという場面もあった。

 能力が多少戻ったとしても90分を完走できる頻度の低さはどう考えても看過できないところ。どう見てもナイスガイではあるので、まだまだ残って欲しいという気持ちとは裏腹にここでのお別れは仕方ないなと感じる部分である。

 ソンリョンと同じくあまり得意ではないボールを運んでつけるというアクションについてはとても積極的にトライしていた印象。なかなか結果には結び付かなかった部分もありはしたが、タイトルを取った面々にはこういうところに取り組む姿勢があったということは覚えておきたいところだなと思う今日この頃である。

5 佐々木旭

マルチ性という悩ましい才能

 2年連続でDFラインの要として、そしてチームの要として大車輪の活躍。プレータイムは4000分弱を計上しており、脇坂と並んで今のチームにおける水準を引き上げることができる存在だということができるだろう。海外に活躍の場を求めるよりも川崎でプレーする選択をし続けてくれて圧倒的感謝である。

 上背こそ限られているが、スピードや危機察知能力、ボールキャリー、そしてサイドに出ていった時の仕掛けなど多彩な面で頼りになる存在。CBとしてもSBとしても遜色ない活躍を見せることができており、川崎がどのメンバー、どのフォーメーションを採用しても間違いなくレギュラーを確保できるパフォーマンスだった。

 課題があるとすれば彼というよりは使うチーム側の問題だろう。Transfer marktのポジション別の試合数分布を見るとLSB、RSB、CBが綺麗に三分割されている。どこでもできるという多彩さももちろん佐々木の魅力ではあるのだが、継続性とパフォーマンスレベルの両面で抜きん出ている選手は使い方を固定した方がチームの骨格は定まりやすい。

 おそらくではあるが、長谷部監督もその辺りは意識しているのだろうと思う。今季、CBにシーズン途中でコンバートされたのは丸山の長期離脱という外的要因を無視することができない。これがなければシーズンをSBとして完走できた可能性もあるはずだ。

 来季は継続性をさらに確固たるものにできるか?そしてチームとして佐々木の起用法を固定することができるかがチームとしての大きなポイントになるのかなと思う。

7 車屋紳太郎

否定するのが難しかった引退コメント

 長年在籍退団功労者枠最終章。引退ということもあり4人の中である意味最大のサプライズと言える発表だった車屋である。

 当然寂しさもあるのだけども、基本的には彼の退団時のコメントが全てだと思う。「ここ数シーズン、ピッチでなかなかチームの力になれず苦しい時間が長く続きました。どこかで区切りをつけなければいけない―― その思いが強くなり、この度引退という決断に至りました。」

 引退という結論はともかくとして、ここ数シーズンは試合の戦力という意味ではなかなか貢献することができなかったのは見ている側の実感としてはあった。CBとしてトライする機会が中心だったが、出ていくアクションが遅れてしまい変に穴を開けてしまう形は数年来における彼の課題であったし、ここ2年くらいはそれに加えて単純な競り負けも多かった。

 今季出場した数少ない試合においても、内容の向上は見られずに苦戦。上の彼のコメントを否定することは自分にはなかなか難しかった。日本代表にまで辿り着いたという天井の高さゆえに長年の低迷は本人にとっては苦しいものがあったのかなと思ってしまう。

 彼を始めとしてプレータイムを積むことができなかったベテラン選手たちと別れをするというのはスカッド刷新を今後進めていく中で重要な要素なのは間違いない。決断した以上はそれを正解にすることがチームにとっては大事。車屋は次の章の目標も口にしていた。指導者としてのセカンドキャリアでの活躍も楽しみにしたい。

13 三浦颯太

役割とコンディションの両面で懸念

 開幕直後は勝ち点奪取につながるアシストを量産。3試合で4つのアシストを決めて序盤1ヶ月のMVPといっても差し支えがない活躍を見せていた。しかしながら、そこからのリーグ戦でのアシストは2つ。もちろん、SBの仕事はアシストだけではないので、この数字が全てではない。だが、シーズンを通しての今季の三浦のパフォーマンスのイメージはこのアシスト数の推移と一致しているものだと思う。

 要因としてはまずはACLでのハムストリングの負傷が挙げられるだろう。印象としては今季の彼のパフォーマンスはこの怪我の前後に分かれてしまっている。少し切り口が違う話だが、三浦は今季まとまった負傷をしながらもリーグ戦の出場時間はキャリアハイ。2000分を突破したのは初めて。言い換えればそれだけ毎年足の負傷に悩まされている。1年間無事にリーグを走り切れるか?というのは今後のサッカー選手のキャリアとして重要の要素になるだろう。

 マルシーニョとの連携に関しても少し気になるところがあった。中盤戦以降はマルシーニョを外側から追い越すという三浦のアシストの王道パターンのシチュエーションがそもそも見られず。オーバーラップのシチュエーションが作れなかったのは前がタメを作れなかったのか、そもそも追い越すアクションが減ったのかの切り分けは難しい(個人的にはどっちもかな)が、左足を気持ちよく振れるシーン自体が少なくなったのは確かだろう。

 この辺りは長谷部監督の采配も大きな要因。シーズン途中にやたらと三浦が低い位置でボールを触るような仕組みにビルドアップが変化していた。長い目で見ればビルドアップ関与のタスクを与えることはキャリアにおいて重要かもしれないが、今の段階ではなかなかプラスにならず、低い位置でボールを持っては詰まってロストするシーンがあった。起用法もシーズン終盤の停滞の要因だったのかもしれない。

 ファーのクロス対応も含めてパフォーマンス面での課題は少なくはない。それでもまずは自分の特徴である高い位置での攻撃参加を取り戻すことが2026年に三浦に求められる要素だと考えられる。

15 田邉秀斗

望まれた役割には答えられず

 上背があるCB要素のあるSBということで他のレギュラー核の選手とは違いがある分、期待をされているキャラクターの選手だが、残念ながら期待に応えられるシーズンを過ごすことはできなかった。相手との距離感が測れないまま、危険なファウルを犯してしまったり、すれ違ってしまうシーンはなかなか止まらず、ストッパー役としての存在感を発揮することができなかった。

 10月にはスターターのチャンスももらったが、2試合目となるC大阪戦でハーフタイムで交代させられると次の試合からはベンチに降格。指揮官がなるべくポジションを固定したかったであろう佐々木を再びSBに戻したことを考えれば、この決断はだいぶ重たいものであることは明白だった。

 その次の岡山戦ではクローザーとして入ったものの、逆サイドからのクロス対応が失点に直結。これで次の試合からはベンチからも外れることになった。確かに視野の後ろからの動きに対応するのは難しいのだけども、ここを難しいとして諦めてしまうのであれば、田邉を起用する理由が特になくなってしまうのが辛いところでもある。

 保持でも独特のリズムの攻め上がりは面白いのだが、そういう部分を面白がることができるのはそもそも非保持においての安定感があってこそ。攻撃面でのリズムを面白がる余裕を与えることができるパフォーマンスではなかった。

 来季からは心機一転東京Vに移籍。レギュラー争いに勝利し、スケールの大きさを花開かせたいところだろう。

22 フィリップ・ウレモヴィッチ

触れ込みがフラグに

 高井の後釜という期待される立場で入ってきたシーズン途中加入のクロアチア人CB。代表歴もある十分な実績持ちでキャリアで1回も退場がないという触れ込みでの夏補強となった。

 しかしながら、デビュー戦で15分で一発退場。フラグ回収のような日本でのキャリアスタートとなってしまった。その後、徐々にプレータイムと信頼度を増やしていくも、ルヴァンカップの柏戦で一発退場。逆転負けのきっかけの1つを作ってしまうこととなった。

 基本的にはハードタックルを下地とする潰し屋で、時には激しいファウルで警告も厭わないスタイルなので、それが完全に悪い方向に転がってしまったシーズンだったと言えるだろう。特に柏戦の後はなかなか思い切った潰しに行くことができず、持ち味が完全に消えてしまったように思えた。

 クロスに対するクリアの安定感はおそらく現有戦力の中で一番。クラブとしても彼にある程度賭ける形になっているスカッド構築となっているはず。日本での間合いをきっちり掴み、CBの柱として君臨してほしいところだ。

27 神橋良汰

後天的に伸びる要素の上積みでの大化けを期待

 サイズに恵まれた大型のCBながら開幕からベンチ入り争いに苦戦。大卒という1年目から活躍を望まれる立場でありながらシーズン初めのベンチ入りは7月のG大阪戦とかなり時間がかかってしまった。

 丸山の負傷に伴って投入された名古屋戦ではスクランブル投入という中で見事にその役割を果たしてみせたものの、主にポジショニングやラインコントロールの不安定さも垣間見えて、ここまで苦戦するシーズンになった理由もなんとなくわかる出来となってしまった。

 どんなに優れた選手でもプロ入り以降身長な大幅に伸びることはまずない。後天的に伸びる要素も多いCBというポジションの中で大化けする存在になってほしいところだ。

30 野田裕人

浦和戦で見せた希望

 リーグ戦出場は3試合。特にもうどうにもならなかった浦和戦での出場では希望となるようなプレーを見せることができた。来季はここに山ほど書くことができるようにたくさんプレーを見せてほしいところだ。

31 ファン・ウェルメスケルケン・際

万能性と高い攻撃性能を誇るSB

 ビルドアップと高い位置に出ていった時の両面で活躍が期待できる攻撃性能と左右両方をこなすことができるという万能性を兼ね備えている頼れるSB。

 なかなかビルドアップの仕組みが構築できなかった今季の川崎においてドリブルで相手を置いていけるというアクションができるSBは貴重。インサイドに切り込んでいくドリブルは今の川崎では唯一無二ということができるだろう。

 高い位置では大外からの精度の高いクロスからチャンスメイク。今の川崎のスカッドにおいてリーグタイトルを取ることができた時代に比べて明確に優れている点があるとすれば、間違いなくSBのクロスの精度という項目が真っ先に出てくるはずだ。

 対人守備での甘さや連戦におけるパフォーマンスの上下動の大きさ、イエローカードをもらったあとのプレー選択の危うさなど課題があったのは確か。それでも今季限りでの退団を予期しているファンは多くなく、驚きの退団となったのは間違いない。ともにタイトルを獲得することができなかったのは悔やまれるところ。次のチームでのキャリアが素晴らしいものになることを祈りたい。

35 丸山祐市

プレースタイル次第で決まる貢献度

 序盤戦はまさに大車輪の活躍だったと言っていいだろう。鬼木監督から長谷部監督に移行し、4-4-2ブロックでの守備組織構築にトライした恩恵をもっとも受けた選手と言って差し支えなく、DFリーダーとして組織的な守備を構築。早々に昨シーズンのプレータイムを上回るなど、守備の中軸として君臨した。

 ACLの準優勝も含めて序盤戦の功労者。名古屋戦での負傷離脱で終盤戦を稼働できなかったことを含めても十分にお釣りが来るシーズンだったことは間違いない。

 その一方で4-4-2ゾーンからチームのコンセプトが離れてからは明確に苦戦。守備範囲の狭さを経験で補いきれなくなるシーンも徐々に見えるようになり、高井という高さで頼れる相棒がいなくなってからはボックス内での守備も不安定さが顔を覗かせてしまったところもある。

 言い方は悪いかもしれないけども、丸山のこうした不安定さが先立つような試合運びに終始してしまった時点で今季の川崎は難しくなってしまった感があった。CBのカバー範囲が広がらなければそうしたスタイルの下支えは難しい。

 逆に言えば後方の身体能力に極端に頼らないようなスタイルであれば、頼れるCBであることを証明した2025年だった。来季の復活を期待したいところだ。

39 土屋櫂大

あまりに業が深すぎる

 今季、出場した3つの試合はスクランブルだらけ。アイダルの負傷での出場となった横浜FM戦、残り2分での投入となった天皇杯の相模原戦、そしてウレモヴィッチが退場したルヴァンカップの柏戦。18歳の若者が背負うには業が深すぎるシチュエーションばかり。来季は武者修行となるが、アンダー世代の代表活動も含めて充実したシーズンを過ごしたい。

44 セサル・アイダル

「打つな!」からの「ごめん!」

 チームの編成の関係もあり、今季の頭はやたらと右で使われる格好に。「さすがに左利きに右は厳しいから・・・」という理由で低いパフォーマンスには目を瞑っていたものの、いざ左で使われてみても「あぁ・・・」という出来に終始。あっという間に信頼を失ってしまった感がある。

 長いレンジのキックは届く先がわかりやすく、相手のプレスの刈りどころに。身体能力こそ高いものの、予備動作がマメでないせいで不要なピンチを招くこともあり、トータルで見ればマイナスだったのは正直なところだろう。ミッドウィーク要員を抜け出すことができずにシーズン途中で移籍が決まってしまった。

 それでも横浜FM戦で見せた脈絡なきミドルシュートからの得点は思い出。誰もが「打つな!」と思ったシュートが入って「ごめん!」となった一撃は今季の中でも指折りの印象的なゴールと言えるだろう。

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