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「開幕までに間に合えば勝ちなんよ」〜川崎フロンターレ 個人レビュー 2025 -FW編

 ここまではこちら。間に合った!

目次

FW

9 エリソン

スコアリングを重ねて気持ちよく守備に取り組むのが理想

 シーズン当初はクロスの飛び込み方に工夫が見られるなど大黒式の指導効果が出たかのようなパフォーマンスでコンスタントに得点に貢献。夏には負傷で離脱するも、復帰してからは再びスコアを重ねるなど、二桁ゴールにきっちりと乗せるという最低限のノルマは果たしてみせたと言っていいだろう。

 ACLではラポルトを手玉に取ってゴールを生み出すなど、西アジアの助っ人を向こうに回しても優位を生み出す。ポテンシャルは確かだろう。

 だが、後半戦は明らかにトーンダウン。プレスでの穴を開けるシーンが前半よりも目立つようになり、前半戦のようなポストへの取り組みやクロスへの飛び込みが徐々に消えていくように。うまくいかない試合ではフラストレーションを溜めてしまい、イライラをファウルで相手にぶつけることもしばしば。退場のリスクもあるし、シンプルに相手に怪我をさせてしまいかねないのでコントロールできるところは増やさないといけないだろう。

 どんな角度からも強引に枠に持っていくことができる馬力は買うのだが、シュートを打てる位置から逆算した動き出しはもう少し欲しいところ。突き抜けた先でどうシュートを打つかを考える以外の組み方ができればよりスコアは伸びるはず。

 どちらかといえば口酸っぱく守備をやるようにいうよりもいい攻撃の流れで守備のパフォーマンスが上がりそうな選手のように見えるので、気持ちよくスコアリングを重ねることで守備の改善に気持ちよく取り組むことができるような持っていき方をしたいところだろう。

11 小林悠

エクスキューズ解消でベテランとしての存在感を

 プレー面で言えばなかなか難しい側面は増えてきてしまったなというのが正直なところ。駆け引きで出し抜くことができる相手はなかなかに減ってきたし、J1級をきっちり後ろに揃えているチームに対しては背負うことができる場面は極端に減少。前進への寄与も大幅に減ってしまった。

 G大阪戦のゴールは見事ではあったが、今季のリーグ戦のゴールはあれが唯一。プレータイムも昨年の半分以下だ。

 スタッツに現れていないところでは守備の引き締め役としての影響力が下がっているのも気になるところ。特に脇坂以外と組む時は発揮して欲しい資質であるが、追い出すタイミングを掴めないままずるずると下がってしまうことも少なくはない。

 昨シーズンは肩の脱臼でプレシーズンを過ごせなかったというエクスキューズもある。プレータイムを大幅に伸ばすのは難しくとも、与えられた出番できっちりと数字を残す仕事人的な役割でベテランの意地を見せたいところだ。

17 伊藤達哉

強引な肯定という方向性

 特に後半戦は文句なしのMVPという大暴れ。ほぼ何もないところからゴールを生み出して停滞気味なチームに勢いを吹き込んでみせた。

 重心移動で相手と駆け引きしながら足を広げさせて股を通すシュートは特にうまく、GKからするとやや間を外されたようなタイミングでボールが飛んでくるので反応が難しい。ボールもグラウンダーできっちりと隅に決めてくるので、セーブするには体を落とす必要があり多くの動きをする必要がある。

 正対したところからシュートコースを作るところからシュートの精度までの一連に関しては自分が見てきた川崎の選手の中ではトップクラスの可能性がある。抜き切って仕留めることが多い三笘とはまた異なるタイプの決定力のあるストライカーだ。

 守備に関しては前に出ていき過ぎてしまったり、変な方向に追ってしまったり、低い位置で相手を逃してしまったりなどと課題は多い。家長よりは走れるが、判断に迷いがある分同じだけ穴を開けてしまっている印象。2トップや後方のSHとの連携強化は明確に取り組みたいところではある。

 あえて攻撃面でも課題を挙げるとすれば、密集を好んで突撃していくので失敗した時のリスクが高いプレーが多いことだろう。本人が左サイドに流れてプレーすることを好むなど、ポジションを守らない特性も重なり、攻撃が完結しなかった時には右サイドに大きな穴が開くことがある。明確な出張をする家長と比べても右サイドで大外を取るケースは明らかに少ない。

 立ち位置を守りながらのトライも終盤戦では見られたが、これがいいのかどうかは悩ましいところ。密集を破っていってこその伊藤達哉!という理屈と反するところがある選手だと思うので、セオリーに嵌めていくと持ち味が死んでしまう可能性もあるように思う。肯定できるかはダイレクトに成功率に関係する話なので、来年も強引に肯定するしかないパフォーマンスでねじ伏せてもらうのが彼の場合は一番いいのかもしれない。

20 山田新

強引さに収束してしまった感

 開幕戦の名古屋戦ではキャリアハイのパフォーマンスと言ってもいい出来だった。強引に反転するだけではなく、ポストから左右に散らしながらのチャンスメイク。山田に元来足りていなかった利他的なプレーからチームの流れを作り出しているのを見た時には今季は彼のシーズンになるかもと思った。

 しかし、シーズンが過ぎていくごとに徐々に山田は山田に収束。相手を外す強引さをベースにDFとのマッチアップがそのまま直接出るようなパフォーマンスから強引に打開をしていくように。

 こうなると一気にパフォーマンスは袋小路。チームの流れが悪くなり、強引に前線に託すシーンが増える中で前線で空回るというシーンが続々。底はなんとか抜けることに成功したが、そのタイミングで海外移籍となった。

 パフォーマンスが上がりきっていない中での海外挑戦はやや不安が先行していたが、セルティックには半年で見切りをつけられてしまった。ここからどうリカバリーするか。まだ帰ってくるには早すぎるだろう。

23 マルシーニョ

素走りの貴重さ以上の何かが欲しい

 シーズン序盤は攻守に強度を打ち出すスタイルから活躍。しかしながら、シーズンが進むにつれて徐々に守備は疎かになり、左サイドには穴が開くように。

 保持面でも序盤戦は見られていた三浦との連携はすっかり中盤戦には消滅。サイドでの連携よりもひたすら走りながら裏抜けでボールを引き出すという方針にチームが合わせるようになり、三浦が追い越すことで有効な攻撃を打つことができるシーンは減った。

 シュートタッチも含めて、終盤戦はボールコントロールが難しくなってしまったことを考えれば、レギュラー落ちも考えられる状況ではあったが、結局彼と代わった選手がより実効性が高いかは微妙なところ。なんだかんだ、足の速い選手が裏を目掛けて素走りを繰り返すということは効果が高く、真似をするのは簡単ではないし、それなりに決定機は作っている。

 ただ、足の速さという専売特許を盾にレギュラーを守るようなシーズンにはしてほしくないところ。いつかは足は遅くなるのだから、速さだけに頼らない正対した状態からのスキルを磨きながら、スピードが輝きを失った時の準備を進めていくべきだろう。

 紺野が右サイドに入るとなると来季は伊藤がマルシーニョのサイドで競争相手になる可能性は十分にある。そうなれば昨季と同じ緊張感でプレーしていればレギュラー落ちの線も出てきてしまう。強力なライバルと渡り合うためにしっかりと準備をしてシーズンに臨みたいところだ。

24 宮城天

大事な時にいなかった

 シーズン序盤戦は限られた流れの中でゴールを決めてジョーカーになるかと思われたが、終わってみれば不完全燃焼だったと言えるだろう。45分よりも長いプレータイムを得ることができるのは東京V戦のみと信頼度の低さは明らか。

 パフォーマンス以上にいてほしい時にプレーできる状況じゃないというのが歯痒いところ。4月と5月のもっともリーグ戦の過密になる時期にいなかった分、そもそもどういう戦力に位置づけられるのかとか、あるいはフィットを実戦で進めるというような手の打ち方ができなかった。

 大事な時にプレーできる状態かどうか?というのはサッカー選手にとっては実は重要な要素でもある。その点で信頼を得ることができなければ、たとえ瞬間的に道が開けても先発をキープし続けることにはならない。400分にも満たなかったパフォーマンスの大きな要因の1つを取り除き、来季こそWGの競争に割って入りたい。

36 持山匡佑

ついに始まる本格稼働

 ついに来季からは本格的に競争に加わってくる大卒ルーキー。本当にほんのりしか見れなかったので来季はたくさんプレーすることを期待したいところ。

38 神田奏真

殊勲のACL準決勝

 彗星の如くゴールを決めた2024年の鮮烈なデビューからすると、2025年のプレータイムは物足りないところだろう。それでもACLでの準決勝でのプレーはお見事。大舞台できっちりと仕事をするのは偉大なストライカーに必要不可欠な要素。ロングボールの的になったりなど、どこか起用法が噛み合わないところやあるいは負傷しているのかな?という時期もあったりなど、順調なシーズンではなかったが、どうやらレンタルはなさそうなので、まずは競争で生き残りを果たしたい。

91 ラザル・ロマニッチ

資質は十分、制御は不十分

 山田の後釜として活躍が期待されたセルビア人FW。ただ、加入当初に早速負傷で出遅れてしまうと、そのままリズムを掴めないシーズンになった。

 相手を背負うポストやそこからゴール前に入っていく動きは万能型ストライカーの資質を感じさせるし、フィニッシュもタッチは良好。守備に関してもエリソンに比べれば持ち場を守る意識があるのは確かだろう。

 気になるのはギア操作の拙さ。必要な時に必要なだけの出力を制御する力があまりないように見受けられた。

 わかりやすいのは京都戦のように警告を受けているにも関わらず強引なプレスであっさりと2枚目をもらってしまうシーンとかであるが、個人的にはルヴァンカップの準決勝の2nd legの柏戦も気になったところ。難しい状況での投入となったのは確かだが、展開的にはたとえ数的不利でも追ってもらわないとどうにもならないところ。延長に入ったら勝ち目がなくなる中で淡々と過ごしてしまったのは残念。個人的にはこの試合のパフォーマンスのせいで終盤戦のスタメンで推しづらかったところはある。

 万能型のエースになれる資質はある。だが、その資質を出すための出力の制御に課題がある。2025年は土屋と同じくスクランブルな投入が中心となってしまった分、チーム側の責任もあると思うので、擦り合わせを完了させて2026年は大暴れと行きたいところだろう。

   これにて2025年シーズン終わり!土曜日からは2026年シーズンが始まるぜ!

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