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「え、SBのところ書き直さなきゃじゃんそれ」〜川崎フロンターレ 2026 編成展望

 もうすでに何名か正式に加入が発表しているが、準備はしてしまったので今年も脳内編成会議をやっていきたい。今年はシーズン振り返りも後ろにくっつけてセットで。それでは早速いってみよう。っていきましょう。

目次

プレータイムから考えるスカッドバランス

 まずは2024年と2025年のプレータイムを見ていただこう。赤字はシーズン途中で入ったもしくは出ていった選手。フルシーズンいなかった印として見てほしい。

2024年

2025年

 2024年が53試合、2025年が51試合ということで2試合分のプレータイムの差があることを加味しながら比較していただけるといいかなと思う。

 51試合のプレータイムをベースに戦力を区分するとざっくり以下の通り。

4000分以上(軸)・・・山口
3000分以上(超主力)・・・脇坂、佐々木、山本、河原、マルシーニョ、三浦
2500分周辺(レギュラークラス)・・・伊藤、ファン・ウェルメスケルケン、丸山、高井
2000分周辺(レギュラー争い)・・・エリソン、橘田、家長、山田
1500分以下(ロールプレイヤー)・・・ウレモヴィッチ、ジェジエウ、大関、田邉、宮城、ソンリョン、小林、ロマニッチ、車屋、大島、アイダル、神田、瀬川山内、神橋、名願ヴェロン、土屋、野田

 まずはあくまでプレータイムを見た感想を述べていく。率直に言えば、川崎は2024年→2025年にかけてプレータイムのバランスは大幅に改善したといえる。特に超主力以上の選手たちにはプレータイムを伸ばした20代の選手が多く名を連ねている。

 昨年は超主力以上の選手は6人中2人がOVER-35。今年は7人全員が20代となっており、プレータイムを積むべき選手はきっちりと時間を延ばせていたし、移籍がなければという前提付きであるが、向こう数年でも稼働が期待できる選手を多く抱えているというスカッドになる。

 かつ、この冬に加入が発表されている選手や獲得を画策しているとされる選手たちは軒並み20代後半。即戦力を継ぎ足すことで短期的なスカッド強化に動いているといえる。あくまでこの表だけを見て話すのであれば、20代後半の主力がいてそこに即戦力が入っていくのだから、2026~27年にメジャータイトルを確保したいチームのムーブといえるだろう。

 ただ、ご存じの通り今年のチームはリーグタイトル争いには絡めなかったわけで、チームがピークを迎えつつあるという表現にはいささか違和感が残るのは確かだろうなと思う。そういう意味ではプレータイムを使った考察は定量的なものだけでなく定性的な分析も添えないと意味がないということである。プレータイム表の分布に問題はないのに結果が出ないときに疑わざるを得ないのは出ている選手たちのクオリティ。そういう意味では主力の能動的な入れ替えも考えられる選択肢の1つになる。

 選手を入れ替えないとしても「主力が20代後半」というところには向き合う必要がある。27~30歳の主力選手たちのプレータイムがここからピークアウトしてしまうのであれば、チームとして新陳代謝が求められることも間違いない。

 そうなれば、再建期を脱する前に次の再建期のループを迎えるということもあり得るということ。ピークを作るための補強を2025年のオフは敢行している印象だが、ここに失敗すると今いる舞台からもう1つ下の順位争いに叩き落される可能性もあるのかなという立ち位置である。

 年齢にフォーカスした話をするのであれば、三浦より下の世代のプレータイムが伸びてこないことは懸念だろう。アンダーの代表活動がなければ1000分が視野に入ってくるであろう大関は問題ないといえる。20歳以下の選手とやや特殊な事情に振り回された名願には目をつぶるとしても、山内、神橋、宮城、田邉の4人の20代前半組が1人もロールプレイヤーとしてすら十分な働きを見せられなかったのは大きな誤算であり、懸念である。

 この年代の選手たちが安定した活躍をすれば、海外に出ていく懸念は強まるが、チームが再投資できるような元手とともに夢を目指してくれるのであればいうことはない。そういうクラスの選手が残るなら残るで当然万々歳なのでそれはそれでOK。いずれにしてもこの世代の選手たちが伸びてこないのであれば、次の再建期の突き上げにしても再投資としてもメドが立たないということになるだろう。

 ざっくりとプレータイム表をベースにした考えは以上の通り。ここからはポジションごとの展望を見ていこう。

GK

安定感のある競争相手が求められる

 今年のオフの動きの特徴は働き盛りの選手たちを引き入れる一方で、後ろの選手の功労者たちに多くの別れを告げたこと。プレータイムがガクっと落ちたソンリョンが契約更新を見送る対象になってしまうというのは外国籍枠的にも年俸的にも仕方ないところだろう。あのクラスの選手を1シーズンよりも長い期間2nd GKとしてベンチに置いておくというのは難しい。

 山口はシーズン序盤に比べれば落ち着きと安定感が出てきてはいたし、余裕をもって準備ができるようになったことでチームを救うようなスーパーセーブを見せた試合もあった。その一方でロングキックの精度やクロス対応、セービングにおいても試合ごとにムラが少なくないのが現状。それを象徴してしまったのがミスにミスを重ねてしまった感があった浦和戦だ。

 安藤が果たした役割はまた少し異なりロッカールームでの緊張感と士気を高める役割。適任なのはおそらく早坂のレンタルバックかと思う。安藤の背中を見てきた早坂であれは、気持ちを切らさずにチームの士気を上げる役割をこなしながら、虎視眈々と出場機会を狙うことを両立できるはずだろう。

補強候補①:山口と争うことができる正GK候補(優先度:高)→スベンド・ブローダーセン
補強候補②チームの士気を上げることができるGK(優先度:中〜高)

CB

ウレモヴィッチにどこまで期待をかけるか?

 スカッドのプレータイムベースでの話では「バランスがいい」と話したが、これはあくまで年齢だけに着目した話。ポジションごとにプレータイムを見てみれば今の川崎の課題は浮かび上がってくる。

 注目したいのはCB陣がプレータイムを積むことができていないということ。20代の主力のプレータイムが伸びているという話をしたが、SBとマルチな佐々木を除けば、このポジションで柱となる選手がいない。

 この点は上位陣との明確な違いといえるだろう。CB専任の選手としては丸山の2663分が最高だ。川崎よりも上位のチームは例外なく3000分を超える柱となる選手がいる。間違いなく川崎にとって足りない部分だ。

各チームの主力CB
鹿島(44試合)・・・植田(3854分)、テヒョン(2663分)
柏(49試合)・・・古賀(4005分)、原田(3155分)
京都(44試合)・・・鈴木(3503分)、宮本(2882分)
広島(59試合)・・・佐々木(4941分)、荒木(4631分)、中野(4568分)、塩谷(4459分)
神戸(56試合)・・・山川(4627分)、トゥーレル(3479分)
町田(51試合)・・・昌子(4361分)、ドレシェヴィッチ(3390分)、岡村(3276分)
浦和(45試合)・・・ホイブラーテン(3836分)、ボザ(3776分)

 現状では川崎には2026-27シーズンには国際大会の予定はないので、目標としては3500分以上の選手が1人、3000分以上の選手が1人を生み出せるスカッドというのが現実的なところだろう。

 従来は枚数こそいるが稼働ができない状態の選手が多かったが、車屋とジェジエウの放出により単純に枚数も足りなくなった。シンプルに補填は必要だろう。

 獲得が決定的と報じられている谷口はその2枠を埋める最有力候補になるだろう。高井、ジェジエウに比べて上背がないことは小型化傾向が強まるスカッドにおいては不安要素といえなくもないが、市場に出ているDFの中で中期的な川崎での活躍を期待できる実績と年齢のバランスが絶妙。2年越しのラブコールを実らせたのは大きいはずだ。

 2枠の候補を谷口以外にも外で今のスカッドの中で来季の飛躍に期待をかけられるのはウレモヴィッチ。彼への期待値がそのままスカッド投資への積極性にかかわってくる。クロスの跳ね返しの安定感を見せていた時期もあったが、ルヴァンカップの柏戦の一発退場以降は相手に対する積極性が失われ、持ち味であるアグレッシブさが据え置きになるという逆側の揺り戻しを食らってしまった印象だ。

 このウレモヴィッチが間合いをつかみ主力として独り立ちができるかどうか?が重要なファクターとなる。個人的にはハーフシーズンでテストを行い、2026年の夏にある程度翌シーズンの期待値が見えてきて、そこでスカッドを判断するというのが現実路線となるように思う。いずれにしても大けがしてしまったベテランの丸山に過剰に負荷がかかる展開は避けたいところだろう。

補強候補③:3500分のプレータイムを計算できるCB(優先度:高)
補強候補④:3000分のプレータイムを計算できるCB(優先度:低〜中)

SB

佐々木の運用が大きく情勢を左右する

 SBのテーマは昨年と同じ。佐々木をこのポジションで計算するのであれば問題はないだろうが、ここまで書いたところでファン・ウェルメスケルケンの退団が決まってしまいました。VWSと書いてファン・ウェルメスケルケンと変換できるように登録したのに。ああ、それなのに。

 ただ、いずれにしても佐々木の主戦場をどこにするかは重要なポイントになるだろう。残留すれば超主力であるこの選手の主戦場をRSBとするのであれば、強化の重要度は準レギュラークラスを連れてくるだけで済むだろう。

 CBに負傷者が出たり、あるいは3バックでスタートするのであれば、来季も佐々木はCB計算になる可能性もある。丸山と高井が揃っていなくなるまでは佐々木のCB起用に踏み切らなかったことを見ても、長谷部監督はおそらく便利屋として使うのではなく、シーズン序盤にある程度起用法を固めてそこから動かすのは非常事態のみという考え方をしているのではないかなと思う。今季は佐々木のSB固定に再トライをするとここでは予想している。

 他のポジションを優先するのであれば松長根のレンタルバックに賭けるということもできる。スカッドバランスで述べた勝負所の設定とは若干食い違いがあるプランだとは思う。今の川崎のSBは大外からのクロス精度、対人守備の強度、ビルドアップの貢献と求められることが結構多い。特にビルドアップでのサポートは来季想定される編成を踏まえても逃げられない。けど、あまりこういうタイプは補強で来てくれる感じはしないけども。

 SBは三浦にも海外ソースでの移籍交渉の話が出てくるなど入れ替えが想定以上に出てくる可能性があるポジション。佐々木固定の中で入れ替わった分の選手を補充する形になるのではないだろうか。

補強候補⑤:右の大外を任せることができるSB(優先度:中〜高)
補強候補⑥:三浦の退団に備えたLSB(優先度:中)

MF

来季の方向性を占う可能性

 3人の主力、ジョーカーとして限られたプレータイムで存在感を出す大島、そして早稲田からの加入内定が決まっている山市。いざとなれば脇坂と大関を回すことができることも踏まえれば、少なくともリーグ戦に専念するハーフシーズンでは人の入れ替えは必要ないように思う。

 少し気になるのは来季の川崎が大幅なモデルチェンジをしないケース。要は前線にドッカンドッカン蹴っ飛ばすようなサッカーをひたすらする向きに舵を切った場合である。そうなった場合、足元からの組み立てを多少軽視してでも空中戦に耐性があって、刈り取り型のダイナモは1枚欲しい。知念とか神戸のCHとかそういうイメージ。人を取るのであれば入れ替えが出てくるところであるだろうなと思っている。

 逆に言えばこのままの陣容であれば来季はもう少し前進においてショートパスを使うケースを増やして欲しいところ。この布陣で進むかどうかを個人的には来季のサッカーの方向性を占う要素の1つにしている。

補強候補⑦:高さのある刈り取り型CH(優先度:低)

前線

追加よりも整理が先

 昨季の形を崩さないのであれば1トップ+トップ下+SH2枚というのがこのチームの基本線ということになる。とりあえずはこの方向性で考えていきたい。

 脇坂と大関の2枚をキープできるのであればトップ下タイプに補強の必要はないだろう。夏に再点検をするまではこの2枚で進んでいけるポジションだ。

 SHは何となく健康じゃない時期が長かったんだろうなという宮城とその宮城の不在時に存在感を高められなかった名願にはこの環境のままで序列を素直にあげられるかは微妙なところ。多くの批判を受けながらも結局裏に走ることを繰り返せるマルシーニョを追い落とすような戦力が出てこなかったのも事実。

 伊藤を左に回すオプションもあったことを踏まえると右に突き上げがなかったこともまた然り。紺野の獲得は伊藤のサイドを変えることも視野に入れる形になるだろう。

 既存戦力に退団がないのであれば、紺野で補強は打ち止めになるだろう。プレータイム的にも2000分クラスを保証してくれるタレントが1枚加われば、ハーフシーズンを週1で戦うには十分だ。

 1トップの面々は逆にサバイバルの可能性もある。エリソンとロマニッチの序列がクッキリする半年になりそうだし、神田はこの冬か次の夏にチームに残って序列争いに挑むか武者修行に向かうかを判断することも考えられる。ベテラン、外国人、20代前半の若手とやや極端な序列ではあるが、入れ替えがなければ特段手を入れる必要はなく、どちらかといえば整理の方が重要になるだろう。後ろ重視の補強になると明言した竹内GMのコメントも裏付けとなる。

補強候補⑧:左か右でレギュラーを争えるWG(優先度:中〜高)→紺野和也✅
補強候補⑨:退団があったポジション・キャラクターに応じた前線(優先度:低)

 なんでだろうな、契約満了って。おしまい。

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