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「Catch up FIFA World Cup QATAR 2022」~2022.11.27 Group F 第2節 クロアチア×カナダ ハイライト~

■先制点の懸念と数年の停滞を吹き飛ばす圧巻の攻撃陣

 敗れてしまえばカタールに続き2チーム目のグループステージ敗退になったしまうカナダ。絶対に負けられない一戦となる。初戦がドローで、3戦目にベルギーとの試合を控えるクロアチアにとっても状況としては似たようなもの。互いに勝ち点3を奪い合うサバイバルマッチだ。

 先にネタバレをしてしまうと、この試合はクロアチアが圧勝する。のだけど、手放しで「クロアチアすごいな!めっちゃ強いな!」と賞賛することができないのは開始早々に決まったカナダの先制点のせいである。起点となったカナダのGKからのフィードはそこまで狙い澄ましたものではないのだけど、クロアチアのバックラインが自動的にロングボールに対して下がった対応をしたせいで簡単にカナダの前線はスペースを得ることができていた。

 ボールが収まったカナダはサイドに展開し、ファーのクロスを入れてあっさりと先制。前節は勢いを持った入ったものの手にすることができなかった先制点を早い時間帯に得ることに成功する。

 クロアチアのバックラインの淡白な対応はこのシーンに限らない。バックラインはカナダの前線にアプローチするよりもリトリートを優先。そのせいでクロアチアはMF-DFラインが間延びしており、かなり簡単にカナダにチャンスを与えていた。グバルディオル、ロブレンの対応ははっきり言って不可解であり、この部分だけでも決勝トーナメントでは致命傷になるレベルと言えるだろう。試合が進むにつれて落ち着いた部分ではあったが、彼らの能力が低いわけではないので、なんでもそもそもそうなった?の部分がよくわからない怖さはある。

 しかしながら、この日のクロアチアは守備面での懸念をあっさりと打ち消すレベルのボール保持を見せる。カナダは2トップが中盤の受け渡しをしながらCHと連携し、相手を捕まえにいくがこの部分で劣勢に陥ってしまったのがクロアチア優勢の原因だろう。

 モドリッチ、コバチッチ、ブロゾビッチの3人のCHはクロアチアの中でかなり自由に動き回る裁量を与えられている。どの選手も低い位置でプレーができる選手であり、ビルドアップにおいては比較的均質的。それぞれがポジションを入れ替えても無理なくプレーをすることができる。

 そうした均質性ゆえにクロアチアのCHはポジションの入れ替えに寛容である。彼らの実績もそうした自由度の高いプレーの許容に寄与しているのは間違いない。この動きに対してカナダの中盤はついていくことができなかった。受け渡すのか、ついていくのか?の判断の連続に完全に後手に回ってしまい、クロアチアは中盤がフリーでボールを受けることができていた。

 中盤がフリーで持つことができたことで自在に前線に展開ができたクロアチア。左サイドに張るペリシッチもかなり高いパフォーマンスを見せたと言えるが、なんと言ってもこの日輝いていたのはクラマリッチ。右に張るというよりはストライカータスクで圧倒的に輝きを放っていた。

 クラマリッチはボールを収めると卓越したボールコントロールでカナダの守備陣を無力化。難しいボディコントロールから際どいコースのフィニッシュまでなんでも来い!というイケイケのものだった。動き直しを繰り返しでフリーになり続けるモドリッチを相棒に、カナダ陣内で大暴れを続けてみせた。

 アタッキングサードでの攻撃の流麗さだけで言えば、この日のクロアチアは大会最高クラスだったと言える。後半もこのペースは変わらず、クロアチアは流れるような攻撃で得点を重ね続けている。

 カナダの守備は(前半のクロアチアほどではないにせよ)確かにコンパクトさに欠けていたとはいえ、ここまでやられるのは完全に想定外。この日のクロアチアに当たってしまったのは不運で片付けてもいいレベルなように思う。後半は3バックにシフトしたことでやや押し返すことができていたが、それでもクロアチアペースをひっくり返すことができなかった。

 守備への若干の不安を見せつつ圧倒的な攻撃力でカナダをペシャンコにしたクロアチア。不安定さを伴う爆発力がトーナメントでどう転ぶかは読みにくいが、EUROやW杯第1節で感じた消化不良感を払拭する躍動したフットボールを彼らが見せたことだけは確かである。

試合結果
2022.11.27
FIFA World Cup QATAR 2022
Group F 第2節
クロアチア 4-1 カナダ
アル・バイト・スタジアム
【得点者】
CRO:36′ 70′ クラマリッチ, 44′ リヴァヤ, 90+4′ マイェル
CAN:2′ デイビス
主審:アンドレス・マトンテ

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