Fixture
カラバオカップ 決勝
2026.3.22
マンチェスター・シティ
×
アーセナル
@ウェンブリー・スタジアム
戦績
過去の対戦成績

過去5シーズンの対戦でマンチェスター・シティの8勝、アーセナルの2勝、引き分けが4つ。
スカッド情報
- マーク・グエイ(カップ登録規定)
- ヨシュコ・グヴァルディオル(脚)
- エベレチ・エゼ(?)
- ユリエン・ティンバー(足首)
- マルティン・ウーデゴール(膝)
- ミケル・メリーノ(脚)
予習
CL Round 16 1st leg レアル・マドリー戦

第29節 ウェストハム戦

CL Round 16 2nd leg レアル・マドリー戦

今季ここまでの道のり

予想スタメン

展望
後半戦は尖ってナンボのシティ
今季のイングランドの中でもっとも早くタイトルが確定するカラバオカップ。カップウィナーの座を賭けてウェンブリーに集ったのは現在のリーグテーブルの上位2チーム。アーセナルとマンチェスター・シティである。
シティはシーズン後半に新しいことに挑んでいる感がある。変化を感じたのはマンチェスター・ダービーでの敗戦の直後、1月下旬のウルブス戦から。フォーメーション的には一応4-2-3-1と表記しているが、その中身はかなり亜流で尖っている印象である。
特徴的なのは前線の布陣。SHは極端に絞り、インサイドでのプレーにフォーカス。トップ下、トップのハーランドも中央に常駐。さらにはロドリではない方のCHであるベルナルドが前線に加わる。大外に入るのはSB。アイト=ヌーリ、オライリー、ヌネスといった面々が大外を駆け上がりながらプレスに出ていく。
中央に入った4枚は細かく段差をつけながら短いパスワークで前を向く選手を作り、加速していく。インサイドに入り込んでしまえばポジションは相当自由に動き回る。その代わり幅はほぼ取らず、直線的に縦のギャップを繋いでゴールまで向かっていく。セメンヨのレンジのあるシュートや、ハーランドやマルムシュが裏抜けからフィニッシュに向かっていく。
狭い範囲で中央にギャップを作って仕留め切るというのがシティの設計図。とにかく危険な位置に密度が高くアタッカーが集結しているので、守備側が一手遅れると一気に物量で押し切られるケースもある。前を向いた時の攻撃の鋭さは相当に高い。
ロドリの縦パスの精度がかなり高まっており、ここも狭いスペースを強引に打開するという今のモデルを支えている一員。どうしても難しければCBから対角でSBへ展開し、一気に幅を取っていく。
また、プレッシングの密度もかなり高め。CHの一員であるベルナルドは果敢に1つ前に飛び出していき、プレス隊に加わる。2トップは縦関係にならず、トップ下のような位置にベルナルドを置くことでプレスの圧力を上げていく。
SHも大外に出ていくのだが、ベルナルドはかなり強引にこの動きについていく。前線2枚のプレスバックは稀で、むしろSHが絞りながらワンサイドに追い込む意識の方が高い。前の2枚は残り、カウンター時の頭数として前向きな矢印を仕掛けていく。
かなり尖っているプランであるが、マイルドな変化でアクセントを加えるケースもある。トップ下にラインデルスを入れればプレスバックの要素は増すし、SBにフサノフを入れればオーバーラップを抑制して守備偏重。左サイドにドクを入れれば当然彼が幅取り役となる。ドクとオライリーというシーズン中盤戦で好調だったユニットも活用できるだろう。
チームとして中央が難しいということになれば、右サイドに攻撃を寄せてベルナルドとチェルキを中心に細かい保持にシフトするケースもある。尖ったパッケージに人と攻め筋を変えてその試合に適した形に変容させる。それが後半戦のシティのテーマとなっている。
ロドリ周辺を狙い撃ち
今のシティの弱みは基本的には尖っていることの裏返しにある。中央に4〜5人のアタッカーを固めることはやはり現代サッカーではピーキー。ネガトラにおける守備の脆さは顕著で、大外で高い位置を取るSBの背後から一気に進撃する形はやはりクリティカルに効く。
スピードがあるクサノフを入れて最終ラインの広大な範囲をカバーするなど対策も打ってはいる。クサノフ自身のパフォーマンスも重たい役割に応えるように上がってきている。それでもマドリー戦ではヴィニシウスに背後を取られることにフォーカスする形で失点を重ねたり、退場者を出したりしてしまった。守る1人がエラーした時にカバーできる仕組みにはなっていない。
もう1つ、守備面で突きたいのはハイプレス。この守備のシステムは非常に前がかり。前にサイドへ走りまくるベルナルドの網を越えることができれば、中盤中央にはロドリ1人ではカバーしきれないスペースが広がっている。
この点ではマドリーがいい教科書になる。中央の選手はとにかく列を下げてフリーになる。CFのブラヒム・ディアスがロドリ周辺に顔を出したことがマドリー戦ではクリティカルな効果があった。多少後ろに重くなろうが、中盤を越えてスピードに乗った状態でシティのDFラインと対峙することができれば、お釣りが来る。

よって、人選はプレス回避を主体に考えていきたいところ。ウーデゴールとハヴァーツの列を落としてボールを引き出せる2人がスターターとして特性に合っている。その場合はWGは推進力を出せるマルティネッリが適任だ。
逆にギョケレシュ、エゼといった直近の流れを大事にするのであれば、左のWGはウーデゴールロールができるトロサールが適している。いずれにしてもベルナルドが前に出てきた分のスペースを活用することはシティ攻略の第一歩。
もちろん、その手前でプレスに捕まってしまえばシティの重厚なカウンターを食らうことになる。GKを絡めたパスワークでパスコースを確保しながら、ロドリ周辺に狙いを定めた前進をしていきたい。
シティと対峙する時の狙いは明確。トランジッション時のSBの裏、そしてプレスに出てきたベルナルドの背中。この2つをとにかく徹底的に突いていきたい。
圧力は高く、前に出ていける時間の破壊力は高いが、試合の掌握力という意味では波があるのが今のシティ。主導権は揺れ動きながら相手のチームにやってくる。受け切ればチャンスはやってくるはず。
ということで、センターラインを手早く破られないように苦しい時間を耐えられるかが重要。スコアだけ見ればマドリーはいとも簡単にシティを粉砕したように見えるかもしれないが、実際には開始の10〜15分を凌ぎ、プレスをアナライズし、解決策を見つけて先制点を得た。バルベルデのハットトリックに光が当たる試合だし、もちろんそれも重要なのだが、0-0で凌いだ沈黙の立ち上がりも同じくらいマドリーの勝ち上がりには大きな意味があった。
センターラインのギャップを突かれてミドルレンジを仕留められる形は今季のアーセナルの典型的なパターン。彼らのペースになればこの苦手な形が牙を剥くためのセットアップは難しいことではない。その時間帯を凌ぎ、自分たちのペースが来るまで待てるかもこのファイナルでは重要なポイントだ。
カラバオカップの準決勝進出の権利は日程的な意味で「タイトルにつながっているかもしれない地獄の切符」だと思っている。4つのコンペティションが集う最もタフな1月にさらに試合を詰め込むことになるからである。そんな地獄の1月と2月を走り抜けたアーセナルはいまだに全てのコンペティションのタイトルの可能性を残している。
正直なことを言えば4冠を獲るイメージは全く湧いていない。1つずつなんとかモノにしたい。1月と2月にやたらしんどい思いをして過密日程を通ってたどり着いたこの道がタイトルにつながっているように、今は日曜の試合を祈るように待っている。
