■心を折れなかった清水に反撃、10人で暫定首位に
外国人指揮官を迎えて、共に好調の両チームの一戦。よりアグレッシブに相手に襲い掛かったのは広島の方だった。プレッシングで容赦なく清水のバックラインから時間を奪いに行く。
広島は基本的には人基準のプレスではあるが、マーカーを付けて特定の誰かを捕まえに行くわけではない。ボールの位置と味方の位置を踏まえながら、閉じる場所を都度選手個人の判断で変えていくイメージである。特にCHはそのイメージが濃く、この試合でも松本がどこまで出ていくかの判断を調節していた。
というわけで立ち上がりの清水は蹴りながら様子見。トップのサンタナと左サイドの乾という違う意味でボールを預けられる2人の選手を軸にボールを逃がしていく。
広島がボールを持った時の清水はサンタナがボールを方向に誘導しながらサイドに追い込んでいくイメージである。広島はこれに対して、とりあえずこちらも早めに蹴って対応する立ち上がりになった。
20分もするとやや広島のプレスが清水を飲み込みだすシーンが増えるようになった。保持においても3バックに対するプレス隊の3人目としてSHを持ち出す清水はサイドからボールを運ばれるようになる。左サイドではベン・カリファがハーフスペースを上下にちょろちょろしながらWBのサポートを行う。得点には至らなかったものの、ペースは時間と共に広島に流れていった前半だった。
後半も広島はハイプレスを継続。清水はこれに対して裏にボールを抜けられるかの勝負になっていく。前半終了間際にはペースを握った広島だったが、後半は清水が主導権を握り返す。プレスをかわして右サイドのピカチュウが抜け出し、カルリーニョスの決定機を生みだしたシーンはその一例である。
そして、塩谷のDOGSOも同様。抜け出しに対してノーファウルで止められなかった塩谷が一発退場になり、広島は5-3-1でのブロック守備を余儀なくされる。
広島が10人になったことで押し込むことは問題なくできるようになった清水。フリーになるSBからクロスを上げていくことで攻勢を強める。時間をもらった原と交代で右サイドに入った鈴木唯人を軸にサイドを定めて攻略を狙う。
ただ、清水は10人の守備ブロックを意のままに動かせるようなポジション取りが出来ていたかといわれると微妙なところ。10人相手に押し込んでのパワー勝負に持ち込んでいる感があった。
大迫こそ慎重に時間を使っている印象はあったが、広島のフィールドプレイヤーは軒並みリスタートが早く、まだあきらめると言う雰囲気はなし。清水が心を折ることが出来なかったこともあり、ボールをもてば頑張るという気概は感じた。
それに応えたのは交代で入った川村。左サイドで柏が粘ってキープしたところから、入って来たクロスを角度のないところから押し込んでゴール。10人の広島が先手を奪う。
そして仕上げも川村。権田が飛び出しているところを狙ったハーフライン付近からのロングシュートで後半追加タイムに2点目をゲット。10人で清水との持久戦を制した広島が連勝をキープして暫定首位に浮上した。
試合結果
2022.9.3
J1 第28節
サンフレッチェ広島 2-0 清水エスパルス
エディオンスタジアム広島
【得点者】
広島:83‘ 90+5’ 川村拓夢
主審:福島孝一郎