■再び遺恨を残した一戦に
全勝のままグループリーグをひた走るブラジル。今節の相手はグループステージで最大のライバルになりそうなコロンビア。そのコロンビアはベネズエラ、ペルーに勝てずにやや苦しみ気味。4位通過のレギュラーションに救われて問題なくグループステージは突破すると思うが、なんとか復調の兆しを掴みたいところである。
共に4-4-2のミラーゲーム気味になったこの一戦。コロンビアが苦しんだのは目の前の相手のプレッシングである。立ち上がりからコロンビアはマッチアップ相手の厳しいチェックに晒され、中盤でのボールロストで危ない場面を繰り返すことになった。
コロンビアとしてはどこで剥がすか、あるいは剥がすためのスペースをどう作るかが重要な要素となっている。少しでもブラジルを引き出して、コンパクトな陣形を敷くことを防ぎたいところ。だが、低い位置でのつなぎはロストのリスクになる。
そういった難しいバランス感覚が実ったのは先制点の場面。もちろん、ルイス・ディアスのアクロバティックなゴールが一番の主役であることに疑いの余地はない。しかし、ブラジルのプレッシャーの外側でコロンビアが大きな展開ができたことで、余裕をもってクロスを上げる時間を作れたのも事実。押し引きが上手く実ったコロンビアだった。
先制点以降はこういった駆け引きは取らず、ロングボールに徹する安全第一の作戦を敷くコロンビア。ブラジルは左サイドの2トップ脇にフレッジを流しながらボールを前進させる。ブラジルの攻撃の目的は結局ネイマールに前を向かせることになるのだが、そのための左サイドでの循環である。
ブラジルはネイマールがカットインする状況までは作ることができていたが、それ以降はコロンビアの守備はかなり整備されていた印象。同サイドや中央を締め、逆サイドに流すという比較的被害の少ない選択肢に誘導していたように見えた。割とネイマール以外の選手たちは裏を狙う傾向があったので、近めで受ける選択肢をネイマールが作りにくかったのもあるだろう。いつもに比べればややドリブル開始時に上手く絡めとられた印象を受けた。HTにフィルミーノを入れたのも中央にボールの預けどころを作るためともいえるだろう。後半半ばのチャンスシーンはフィルミーノがいたからこその物といえるだろう。
それでも粘っていたコロンビアにとっては同点シーンは不運だった。偶発的に審判に当たったボールのせいで楽に左サイドに展開されてしまったことで、簡単にクロスを上げさせることにつながっていた。これまではうまく封じていた攻撃パターンなだけに悔やまれる部分。とはいえ、ボール保持チームが変わっていないのだから、審判の運用は正しいは正しいのだけど。ゴールが認められるまでコロンビアはおよそ6分間の抗議をしたが実らなかった。
その抗議で長引いた後半追加タイムがブラジルの逆転弾を呼ぶのだから難儀なものである。ラストプレーでは圧倒的フリーだったカゼミーロがCKでニアに入り込み決勝弾を決める。コロンビアにとってはこの上ない悔しい敗戦。大一番をモノにできなかった上にブラジルとの遺恨を残す結果となった。
試合結果
ブラジル 2-1 コロンビア
エスタディオ・ニウトン・サントス
【得点者】
BRA:77′ フィルミーノ, 90+10′ カゼミーロ
COL:14′ ディアス
主審:ネストル・ピターナ