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「Catch up FIFA World Cup QATAR 2022」~2022.12.1 Group E 第3節 コスタリカ×ドイツ ハイライト~

■共にオープンであれば力の差は明瞭

 他会場次第で突破条件がかなり複雑になっているグループE。明快なのはコスタリカ。勝てばOK、引き分けならば日本が負ければOK、敗れればノーチャンスである。一方のドイツは勝っても敗退の可能性がある状況。勝利は最低条件で、場合によっては勝ち点が並ぶ日本とスペインを得失点差で越えなければいけない可能性が出てくる。ドイツは大量得点を狙いにいくのか?いくならどのタイミングで?というのは難しい舵取りになる。

 コスタリカのプランは日本戦とほぼ同じ。5-4-1でのミドルブロックで相手のバックラインにはボールを持たせてOK。ラインを上げつつ、陣形はコンパクトにしつつも人数的な重心は後ろにあるという状況だった。

 そうしたコスタリカ相手にドイツは序盤から容赦なく襲いかかっていく。ラインを上げるということは裏へのスペースがあるということ。ワンツーからの抜け出しで積極的に背後を狙っていたのはグナブリー。左サイドを切り裂いて、エリア内に危険なボールを入れていく。

 左サイドで言うとムシアラも相変わらず強力。狭いスペースを細かいタッチを繰り返しながらスルスル進み、対面する相手の選手に飛び込む隙を与えない。左サイドを拠点とするこの2人に対して、コスタリカはかなり厳しかった。

 ドイツはPA内に人数をかけていたとはいえ、コスタリカの守備陣の方が人は多い。しかしながら、クロスに合わせるドイツの選手にコスタリカはマークをつけられないことが多い。スペースに入り込んでクロスに合わせる動きについていけないのであれば人数など意味がないのだなと言うのがこの試合の学びである。

 ドイツは早い時間に先制点をゲット。左サイドでボールを奪ったドイツが開いたラウムに繋ぎ、仕上げはグナブリー。あっさりとコスタリカの守備ブロックを破ってみせた。

 コスタリカとしては0-0で進めると言うプランが崩れてしまった点でこの失点は重くのしかかる。その上、この失点の起点となったボールロストはキャンベルによるもの。日本戦で低い位置でボールを受けてはぬるっとしたドリブルから突破やファウルを奪い取ったキャンベルがボールの預けどころとしてはちっとも通用しなそう!と言うのもここから先にドイツと戦う上で頭が痛い部分だと言えるだろう。

 コスタリカのボール保持には停滞感があった。ボールを奪い返したらショートパス主体のスタイルに移行するコスタリカだが、キャンベルという預けどころが潰されたままのショートパスは行先不明感が漂っている。下手なパスを中央に刺せば、簡単にカウンターを食らうという恐怖心もあるだろう。ドイツは前に出たコスタリカの攻撃を止めるところから素早く縦に攻撃に打って出ることができるチームである。

 低い位置においてもボールが収まらないことがわかったキャンベルは試合途中で前線に位置を変更。ロングボールを増やしながら押し上げを狙うが、アバウトな選択を早い段階で取る方針はドイツが攻める機会を誘発しているとも言える。オビエドが高い位置でボールを持てるくらいまでいけば、ひとまずショートカウンターの脅威は薄まると言えるが、コスタリカがここまで保持を持っていける機会は数えるほどだった。

 ほぼ、ドイツペースで進んでいる試合の中で前半のコスタリカの唯一のチャンスを生み出したのはフレール。日本戦でワンチャンスをものにしたミラクルボーイがドイツを慌てさせる場面が、コスタリカの前半の最大の見せ場だった。

 後半、ドイツはキミッヒを中盤に移動し、SBにクロスターマンを起用。さらに攻撃を意識し、得点を取りにくるための交代と言えるだろう。中盤でボールの預けどころを増やしたドイツだが、ゴレツカが下がった分中盤のデュエル強度は低下。前半はからっきしだったコスタリカが中盤でもボールを収める機会がだんだんと出てくるようになった。

 徐々にカウンターを受ける機会が増えてきたドイツ。3バック化していた日本戦と異なり、後方はCBが2枚残るという状況もコスタリカのカウンターを潰しにくい要因と言えるだろう。コスタリカの同点弾はまさしくリュディガーとズーレをオーバーフローさせた形での失点だった。

 同点になり明らかに混乱が見られるドイツ。守備陣は広いスペースへの対応を整理できないまま、攻撃陣が前に前にという状況で前後の分断が生まれる。その混乱に乗じて、コスタリカはセットプレーから追加点。エリア内でのデュエルにことごとく勝ち、逆転となるゴールを押し込んで見せた。

 直後にドイツはゴールで落ち着きを取り戻す。ハフェルツの氷のようなフィニッシュは展開と異なり、氷のようにクールなフィニッシュだったと言える。点を決めた後は相手とがっつり喧嘩していたけども。

 後半は裏の会場で日本が逆転というこの2グループにとっては有り難くない状況が発生する。追い落とす対象がスペインに切り替わったことで、コスタリカ、ドイツともに得点が必要な状況になる。

 ともに得点が必要というシチュエーションは明らかドイツに有利なものだった。オープンでの打ち合いになれば両チームの攻撃の威力の差は明らか。コスタリカのPA内での対応の拙さを思い出すようなハフェルツのゴールで逆転すると、最後はサネの抜け出しにフュルクルク。タレントの差であっさり押し切ってみせた。

 得点をとり、後は吉報を待ちたいドイツだったが、他会場からの嬉しい報告はなし。同じ勝ち点4で並んだスペインとはコスタリカをどれだけ叩けたか?という部分で差がつくことになってしまった。

試合結果
2022.12.1
FIFA World Cup QATAR 2022
Group E 第3節
コスタリカ 2-4 ドイツ
アル・バイト・スタジアム
【得点者】
COS:58′ テヘダ, 70′ ノイアー(OG)
GER:10′ グナブリー, 73′ 85′ ハフェルツ, 89′ フュルクルク
主審:ステファニー・フラッパート

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