■原則を破った先制点で逃げ切り
立ち上がりから攻めていたのはチリ。攻めるときの人数調整は中央でアンカーが降りてくる形である。最近はSBをCB化するか、もしくはWG化するかで人数調整をするチームが多い気がする。だが、チリは中央で人数を増やし、サイドを押し上げるやり方。というか中央での調整するからこそのアンカー採用なんだろうなとも思う。
したがって、大外は両サイドともSBが担当することが多かったチリ。逆に両WGは内に絞ることがタスクを担っていた。右はCFのバルガスとWGのメネセスがレーンを入れ替えることもしばしば。左のWGのブレアトンは独力でも重戦車的な突撃してくる感じである。
これに対してボリビアは守備の人数対応に追われることに。バルガスをCB2人で挟み、そのほかの場所はマンツー。WGをSBで監視する。チリのSBが上がってきたら、ボリビアはSHを下げて対応。相手のトップの人数によって4-6人で人数を調整していくイメージである。
この原則が破られてしまったのが10分のチリのカウンター。帰陣が遅れたボリビアの守備陣に対して、カウンターで襲い掛かったチリ。最後はブレアトンが決めて先制に成功する。
ビハインドに陥ったボリビア。保持においては結構時間をかけるタイプ。内側に絞るアルセを軸に内側に入れるパターンと、裏を狙うパターンの両にらみでチリのブロック攻略を狙う。チリはこれに対して内を閉じたポジショニングで迎え撃つ。無理にプレスに行かずに、網を張って迎え撃つスタイルである。ひっかけてからのカウンターを視野にボリビアの保持に反撃する。
特に後半はライン間をコンパクトにしたチリ。ボリビアは徐々にライン間で捕まってカウンターを食らうきっかけとなるボールロストが増えてきた。かといって外にボールを回すと、チリは今度は同サイドに圧縮するように内を切る。こうなるとボリビアは素早いサイドチェンジが出来ない。
両チームともラインの表でも裏でも駆け引きはできるチームである。ライン間にボールを入れたり、後ろ向きに相手を背走させたりなど、DFラインを動かせるアプローチまではできていた。しかしながら、そこからシュートの状況を作る部分の丁寧さには欠けていたように思う。特にビハインドのボリビアにとってなかなか追いつくきっかけがつかめずに苦しい状況になった。
最終的には6バックまでの変形も視野に入れつつ逃げ切ったチリ。ボリビアは序盤の失点が大きく響く結果となってしまった。
試合結果
チリ 1-0 ボリビア
パンタナル・アリーナ
【得点者】
CHI:9′ ブレアトン
主審:ヘスス・ヒル・マンサーノ