■美しいゴールとしたたかなギアの入れ替え
共に4-4-2で組み合った両チームだが、そのスタンスはそれぞれで微妙に異なったように見えた。まず、コロンビアは非保持においては4-4-2のコンパクトさを重視。内側を締めて、相手に間のスペースを使わせないことが優先されていた。
逆に攻撃では中央を積極的に使うやり方。後方から中央への縦パスを起点として、ここからサイドに振るというのが思うなやり方。左サイドの10番のカルドナはインサイドに絞ることが多く、その分大外をSBのモレノが担当。内外で担当を棲み分けている印象だ。
それに対してはエクアドルは比較的人を捕まえる意識を強くしての守備が主体。ややマンマーク成分が強めである。特にボール周辺は。ボール周り以外ではマンマーク色はやや落ちるので、相手のライン間に入ってくる動きに弱かった。コロンビアはこれをうまく活用し縦への楔を通していた。
エクアドルの保持はサイドの攻撃が主体。SH-SBの連携でコロンビアのサイドを切り崩し、エリア内にボールを入れることが目標となる。
しかし、そもそものエクアドルの布陣は4-4-2。サイドに人が多い陣形ではないし、そのために陣形を崩してサイドに人をかけることもしない。ただ、中央にボールを入れる手段を持っていない。したがって、攻めルートはサイドに偏っているのに、人の分布だけは中央とサイドで均衡しているという難しい状況に陥ってしまった。3人目なしでサイドを崩すのは難しい。
支配的とは言えないまでも、どちらかといえば試合を優勢に進めていたのはコロンビア。先制点も彼らにもたらされる。にしてもすごいFKからの得点だ。是非見てみてほしい。多くのオフサイドポジションの選手たちをおとりに抜け出した2人で攻撃を完結。見事なプレーブックに基づくセットプレーだった。バスケみたい。どこまで練っていたのかはわからないが、完成度の高いゴールだったのは確かだ。
先制点を取ったことで試合はやや展開を変える。受けるコロンビア、攻めに出るエクアドルの構図はよりはっきりと見られるようになった。しばらくは問題なく過ごしていたコロンビアだったが、エクアドルが75分くらいからエリア内への放り込みのタイミングを早めるとあわやのシーンが出てくるようになった。
速かったのはコロンビアのリアクションだ。『エリア内に上げさせてはダメ』という方に頭を切り替え、ホルダーの自由を奪う方向にシフトチェンジ。数分での方針の切り替えの素早さは国際舞台での経験値を感じる部分だ。大人な振る舞いで前後半にエクアドルをいなしたコロンビアがまずは開幕戦白星スタートを決めた。
試合結果
コロンビア 1-0 エクアドル
パンタナル・アリーナ
【得点者】
COL:42′ カルドナ
主審:ネストル・ピターナ