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「Catch up FIFA World Cup QATAR 2022」~2022.12.1 Group F 第3節 カナダ×モロッコ ハイライト~

■序盤の勢いと手札の豊富さを見せたモロッコ

 2位と3位は直接対決の潰し合い、目の前の対戦相手はすでに敗退が決まっているカナダ。明らかにグループFのポールポジションに立っているモロッコは非常に立ち回りが難しい立場である。グループ首位という立場に慣れている国ではないという経験値的な側面でも尚更舵取りがデリケートである。

 突破を十中八九手にしたモロッコが選んだプランは非常にアグレッシブなものだった。カナダの4バックに対して、立ち上がりから思いっきりプレスをかけていく。いきなりエネルギーを燃やすプレスを仕掛けてくるチームが少ない大会だけにカナダは面食らったのだろう。バックラインにCBが少ない4バックを採用したこともあり、モロッコのプレッシングはかなりカナダに刺さる。

 そして、生み出されたのは先制点だ。カナダの連携ミスからあっさりと先制したモロッコ。時間がないバックパスを受けたGKのボージャンが貧乏くじをひき、パスミスしたところをツィエクが無人のゴールに押し込んでみせた。

 先制後もモロッコはプレスの手を緩めない。カナダはプレスに対してたじたじな状況が続きミスを連発。右サイドに追い込まれて苦しいパスの選択から相手にボールを渡してしまったり、中央のパスを刺すことを誘発させられ、モロッコのカウンターの餌食になるなどカナダにとってはどうしようもない時間帯が続く。

 モロッコがカウンターに転じた際にもカナダは間合いの合わないタックルを連発。ボール保持における混乱は最終的にボールを奪われた後にも伝播してしまったようなカナダのパフォーマンスだった。

 カナダは中盤を最終ラインに落とすことで徐々に保持の落ち着きを取り戻していく。モロッコもリードを奪ったことにより、プレッシングのテンポは徐々に落としていく。

 そうなればカナダにも十分に攻め手はある。サイドでのスピード感は手応え十分でモロッコの最終ラインの裏をとり、ゴールに迫っていくこともしばしばだった。プレッシングも敵陣深くから前線が追いかけ回す積極策を披露。今大会の初勝利のために、カナダはアグレッシブなスタンスでモロッコに対峙する。

 そうしたカナダの姿勢をモロッコは利用。高い位置からのプレッシングをひっくり返すように長いボールから抜け出して追加点をゲット。エン=ネシリのゴールでリードはさらに広がることになった。

 プレッシングでカナダのポゼッションの心を折り、ロングカウンターでカナダのプレッシングの心を折る。前半のモロッコは面白いようにプランがハマり、完全に主導権を握る。カナダが左サイドから幸運なオウンゴールで追い上げるが、全体的にモロッコが試合を支配していることに疑いの余地はないだろう。

 後半、カナダは攻めに打って出る。敵陣深い位置まで攻め込むことに加えて、インサイドへのパスのチャレンジを積極的に行っていく。大外のスピード以外の武器も積極的に使っていこう!というのがカナダのプランである。

 しかしながら、モロッコは落ち着きながら対応。引き締まった撤退守備でカナダの攻勢を許さない。インサイドへのパスはカウンターの起点するような前半の流れは見られなかったが、本当に通されたら嫌なところには通させないというスタンスだった。

 そんなモロッコにとって面倒だったのはセットプレー。CKからカナダは決定機を生み出し、モロッコはあわや追いつかれてしまいそうな場面が出てくるように。3枚替えでさらに勢いに乗るカナダ。一方的に攻め続けて同点とするチャンスも十分にあった展開と言えるだろう。

 だが、モロッコはカナダに同点ゴールを許すことはなかった。高い位置からのプレス、ロングカウンター、そして後半の撤退守備。90分であらゆる戦い方とプランへのコミットを見せつけたモロッコが順当な勝利でグループFの首位通過を決めてみせた。

試合結果
2022.12.1
FIFA World Cup QATAR 2022
Group F 第3節
カナダ 1-2 モロッコ
アル・トゥマーマ・スタジアム
【得点者】
CAN:40′ アゲルド(OG)
MOR:4′ ツィエク, 23′ エン=ネシリ
主審:ラファエル・クラウス

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