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「Catch up UEFA Nations League」~UEFA Nations League Group A2 第2節 チェコ×スペイン~ 2022.6.5

■武器はベタ引きだけではない

 2試合連続のスタメンとなったのはウナイ・シモン、ガビ、サラビアの3人だけ。スペインは大幅入れ替えでプラハに乗り込む。エースのシックを欠くチェコは5-4-1で迎え撃つ形を採用する。

 よって試合はチェコに対してボールを持ちながらスペインが攻略法を模索していく展開がメインとなった。だが、先制パンチを食らわせたのはチェコ。しかも、カウンターというより保持での仕組みでの崩し。

 チェコは保持においてはズィマが列を1つ上げることにより、受け手の選択肢を増やす仕組みを採用している。これによって、受け手を潰しきれなかったスペイン。縦パスを繋いで最短ルートでチャンスを創出したチェコ。クフタの抜け出しからペセクのゴールでいきなりの先制点をモノにする。

 出鼻をくじかれたスペインだったが、やることは継続していく。ボールを持ちながら狙いを定めたのはサイド。WG-SB-IHのトライアングルで相手の最終ラインを寄せていく。相手の最終ラインを寄せたら、逆サイドまでスライド。チェコのスライドの遅れが出たら崩しにいく。

 仮にチェコがスライドを意識しすぎて中央を開けたら、スペインは横断の最中に縦にパスを入れていく。スペインは時折この縦パスを狙っていくが、チェコの守備ブロックは強固。なかなか動かせない。

 チェコは明確にスペインのCBにはボールを持たせることを許容するなど非常にコンパクト。彼らの良かったところは撤退型の非保持だけではなく、あらゆる選択肢を準備していたこと。ハイプレスもスペインを苦しめていたし、先に挙げた先制点におけるボール保持もその部類である。メインプラン(=5-4-1撤退)ではない局面への対応力が高い。ブラジル戦の日本とはこの部分が少し差になるように思う。

 ローラインで対応しながら3トップの裏抜けを軸にカウンターを狙うチェコ。うまくスペインを封じていたかのように思うのだが、僅かな隙を逃さないのもまたスペインである。PA内に入り込んだガビが細く入り込むようなシュートを叩き込んで同点に。僅かな切れ目を逃さない強かさを見せた。

 後半、高い位置からのプレスの頻度を増やしたチェコ。スペインのパスワークを引っ掛ける立ち上がりになる。しかし、5分も経てばスペインはこうした攻撃には慣れてしまう。

 しかしながら、勝ちにいくスペインに対して、チェコは最終ラインを破りながら迎えるチャンスの頻度が増加。決定的な得点機会を徐々に増やしていく。

 そしてついにやり切ったチェコ。抜け切ったクフタがウナイ・シモンを破り、リードを奪うことに成功する。スペインからすると難しい対応だったとはいえ、エリック・ガルシアにはなんとかしてもらいたかったところではあった。

 後半のスペインは左サイドからのクロス攻勢。マルコス・アロンソに加えて、左のWGに入ったアセンシオの二段構えで左サイドの大外とハーフスペースの抜け出しを駆使しながら、敵陣に迫っていく。

 チェコはリードしたこともあり、ハイプレスは沈静化。あとはスペインがゴールを奪えるかという試合になってきた。後半追加タイムまでその時はもつれ込んだが、なんとかクロスを上げ続けてやり切ったアセンシオ。クロスをイニゴ・マルティネスが押し込み、後半追加タイム直前に追いつく。

 土壇場で追いついたスペインは前節に引き続きドロー。撤退だけじゃないところを見せていただけに、チェコにとっては悔いの残る失点となった。

試合結果
2022.6.5
UEFAネーションズリーグ
グループA2 第2節
チェコ 2-2 スペイン
エデン・アレナ
【得点者】
CZE:4′ ペセク, 66′ クフタ
ESP:45+3′ ガビ, 90′ イニゴ・マルティネス
主審:フランソワ・レテキシェ

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