■後半頭に緩めたペースが命取りに
EUROを見る限りは両チームの力関係はウクライナが優勢。ところが、この試合は立ち上がりからスコットランドの方が試合のリズムを掴んで進めていたといっていいだろう。
スコットランドがまずリズムをつかんだのはプレッシング。トップのアダムスとダイクスがCBをマークし、中盤から出て来たマッギンがアンカーのステパネンコを監視する。
この日のスコットランドは珍しくWBが高い位置からプレスに行く。サイドを止められた上にビルドアップ時の重要なポジション3か所を抑えられたウクライナはとりあえず長いボールを蹴らされる格好である。
スコットランドは最終ラインからマクトミネイの持ち上がりを積極的に行うことで同じくマンマーク気味だったウクライナの中盤を乱しにかかる。ここを起点にサイドの深い位置をえぐることができればWBからクロスを上げるという自分たちの形に持ち込むことができる。
しかし、ウクライナも黙ってはいない。左サイドのジンチェンコ、ツィガンコフを中心にスコットランドのプレスを破るための移動を開始する。マッギンだけでは太刀打ちできなくなったスコットランドは徐々に重心を下げることを優先するようになっていく。
15分もすればペースはウクライナに。すっかり前プレのきっかけを失ったスコットランドを押し込み続ける。ウクライナに先制点は少し意外な形から。抜け出したヤルモレンコから前半のうちに先制点を奪う。徐々に裏に抜けるパターンを使いだしたタイミングであっさりとウクライナは結果を出して見せた。
ビハインドになったスコットランドにとっては逆転を期したいところではあるが、後半の頭に少し受けてしまったのが致命傷に。おしこまれたままウクライナに追加点を許してしまう。
そのあとの動きを見れば決して余力がなかったわけではないのに、後半頭にネジを巻きなおして高い位置から行くことを放棄してしまったのが残念である。少ない機会では反撃の勢いは限定的。60分のヒッキーのクロスの精度が足りなかったりなどもったいない部分も多々あった。
マッギンにもっと前を向く機会を早めに作り、同点に持って行ってウクライナを慌てさせられれば勝負はわからなかった。2点リードを許した後のプレスは手ごたえがあっただけにもったいない。
終盤は4バックに移行したスコットランドは1点を返すものの、それが精いっぱい。リードをキープしたウクライナがとどめとなる3点目を試合終了間際に決めて決勝進出を確実なものにした。
試合結果
2022.6.1
カタールW杯欧州予選 プレーオフ 準決勝
スコットランド 1-3 ウクライナ
ハムデン・パーク
【得点者】
SCO:79′ マクレガー
UKR:33′ ヤルモレンコ, 49′ ヤレムチュク, 90+5′ ドフビク
主審:ダニー・マッケリー