■数的不利は問題にならない
タジキスタンのフォーメーションは一応4-2-3-1としてみたが、より守備的な形といってもいいだろう。ボールを持っていないときはボールサイドと逆側のSHが最終ラインに降りる形で実質的に5バックを形成していた。
タジキスタンは日本に対してはCBがボールをもたせて完全撤退。というわけで日本が撤退したタジキスタンの守備ブロックを崩すためのトライを行っていく試合となっていた。日本のフォーメーションは4-2-3-1としていたが、保持においては割とはっきりと松木と山本が両IHのように前に張っていた。
IHは大外に張るWGとCFの間の前線のハーフスペースに立つ形。特に松木は左のハーフスペースからタジキスタンの最終ラインの裏から飛び出すような形で先手を奪いに行く。
最終ラインから前線に張る選手たちへの裏抜けを活用しながら、押し込む機会を作る日本。セットプレーから馬場のアシストを受けて松木が先制点を奪う。
その後も安定した保持を行う日本。アンカーの松岡の近くには1トップのイスモイロフがいたが、横にボールを振っていくうちにフリーになる形を作ることが出来ていた。
守備面では1トップの佐藤を先頭にプレスでルートを規定。まずはサイドを決めて後方が呼応する形でのハイプレスを仕掛けていく。タジキスタンは意外とボールを持ちながらなんとかしたがっていたので、GS共通して行われていたサイド限定+後方押し上げのコンボはだいぶ効いていた。特にタジキスタンの左サイドに追い込む形から日本は何度もボール奪取を決める。
ボール奪取の流れから佐藤がPKを獲得したかと思いきや、これはOFRで覆ることに。その直後に今度は山本がPKを得るが、間があいたVARのチェックの影響か松木がこのPKを外してしまう。
後半、4-4-2と強気にきたタジキスタンに対して、再度プレスのスイッチを入れた日本はようやくプレスから追加点。GKのミスを誘い佐藤が試合を決定づける2点目を手にする。
セーフティリードを得た日本は早い時間に攻撃陣を入れ替える。中島は1トップで相手を背負いながら存在感を発揮。オフサイドではあったが、内野と松岡と連携したネットを揺らしたシーンは見事。自身は終了間際に実際に得点を決めて見せた。
日本は三戸の退場というイレギュラーな事態はあったものの、ボールを持つ機会が増えたタジキスタンが4-4ブロックを攻略できそうな気配はなし。4-4-1で問題なくしのぎ切った日本が決勝トーナメント進出を決めた。
試合結果
2022.6.9
AFC U-23アジアカップ
グループステージ 第3節
U-23日本代表 3-0 U-23タジキスタン代表
ブニョドコル・スタジアム
【得点者】
JPN:11‘ 松木玖生, 56’ 佐藤恵允, 90+4‘ 中島大嘉
主審:アリ・シャバン