■力の差を見せつける完勝
スキッベの来日後、徐々にチームとしての完成度を上げている広島。今節の相手は昇格組の京都である。
試合の展開としては両チームの持ち味を生かすような攻守の切り替えが激しい流れとなった。高い位置からボールを奪うことはもちろんのこと、そこからも縦に早い動きを見せる。
特にその意識が強かったのはホームの広島である。ボールを奪ったら、裏を狙う2トップに目がけて長いボールを蹴る。ポイントは中盤がきっちりボールを持ち上がって、2トップが裏を狙えるタイミングまで待てること。これにより、2トップへの長いボールを単なる放り込みより精度の高いものに昇華することができる。
2トップで突き抜けられなかった時は、WBの上がりを待つという二の矢の手段も。二段構えの戦い方で京都を追い詰める。かつ押し込んだ後も広島は攻め手が存在した。京都はマイナス方向のクロスが空いていたし、ローラインのブロックにも隙がある。というわけで撤退してブロックを構えたらOKというわけでもない。
それを防ぐべく、京都は高い位置から相手を塞ぎにいく。積極的なのはSH。プレッシングから敵陣深い位置に押し込みに行く。しかしながら、逆にそこを裏返されてしまうと一転ピンチになってしまう。裏に走られてしまうとどうしても陣形は間伸びしてしまう。
京都はプレス回避に関しても厳しい。広島に比べると状況は整っていない状態で前線に蹴ってしまうことが多く、跳ね返されてしまうこともしばしば。そして、広島の先制点もそこから。ロングボールを跳ね返されたところをカウンターで狙いうちにして先手を奪う。
広島の2点目はWBを活用する形。2トップから左サイドに展開して、最後はサントス。京都に各局面で差を見せつける形で前半を進める。京都はウタカのチャンスメイクの奮闘により、42分で武富のゴールで反撃することができたが、全体的は劣勢の時間が長く苦戦が続いていた。
後半もペースは広島。前半とは異なり、ある程度京都の攻撃を受け止めつつ、カウンターで背後を狙うやり方に特化する。そして、66分に3点目。角度のないところからのベン・カリファのシュートがオウンゴールを誘い、決定的な3点目を生み出す。
京都は背中をとっている相手には襲いかかる形でプレスにはいったが、高い位置でボールを奪うことができず。かつ、ボール保持でもボールと一緒に人を送り込めない状況が続く。
反撃の機会を得られないまま試合は終了。広島が京都に力の差を見せつける勝利を挙げた。
試合結果
2022.5.21
J1 第14節
サンフレッチェ広島 3-1 京都サンガF.C.
エディオンスタジアム広島
【得点者】
広島:5′ 満田誠, 26′ ジュニオール・サントス, 66′ 麻田将吾(OG)
京都:42′ 武富孝介
主審:福島孝一郎