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「EURO2020ハイライト」~Quarter-final ベルギー×イタリア~ 2021.7.2

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■カウンターを殴り返せるポゼッション

 『事実上の決勝戦』という看板もちらほらあった両チームの対戦。ベスト8に進出したチームのうち、ここまでの試合で全勝しているのはこの2チームだけである。

 立ち上がりから両チームの色はハッキリしていた。保持の時間帯が多かったのはイタリアの方。保持のイタリア、カウンターのベルギーという形で両チームの攻め手は明確だった。イタリアの4-3-3での保持に対してベルギーの3バックはWBが低い位置を取ることを選択。WBは最終ラインに入り横幅を取って守ることでイタリアの保持を撤退気味に受け止める選択をした。

 撤退の選択肢をベルギーが取ることができたのは、ロングカウンターというわかりやすい武器があったから。むしろ、被カウンターにおけるバックスの強度というのはわかりやすいイタリアの課題でもある。ベルギーの撤退+ロングカウンターというのはその課題を十分に突き付けることができる選択だった。

 実際にルカクが右サイドに流れるところから発動したロングカウンターは威力が十分。イタリアが積極的に高い位置を取るイタリアの左サイドの裏に付け込んだカウンターでベルギーはフィニッシュまでたどり着くことができた。

 この構図の試合の場合、保持側が攻めあぐねながらカウンターで沈むパターンはあるあるである。実際にベルギーのカウンターの一撃は重い。ドンナルンマが驚異的なセービングをしていなかったら先制していたいたのはおそらくベルギーの方だっただろう。

 だが、ベルギーがカウンターでイタリアを殴ったように、イタリアもまたベルギーをポゼッションで殴ったのがこの試合だった。ベルギーは3トップを前に残し、後方を5-2という形で受ける。イタリアでまず動いたのはIH。ヴェラッティとバレッラは比較的外側で受けることが多かった。

 イタリアのWGが外に張り、ベルギーのWBをピン止めしているため、こうなるとイタリアのIHに出ていかなくてはいけないのはベルギーのCH。ここを引っ張り出して中央を手薄にすることでイタリアの攻撃は始まる。ここにWGやSBのオーバーラップが絡んでくることでサイドを崩しきる。

 特にストロングだったのは左サイド。カットインできるインシーニェと大外は全て賄えるスピナッツォーラをヴェラッティが操る。おそらくティーレマンスは目が回るほど忙しかったはず。さらには逆サイドに展開された場合にはベルギーのCHはスライドしなければいけない。いくらヴィツェルとティーレマンスが優秀とはいえ、2枚で横幅を賄うのはほぼ無理である。

 イタリアの2得点はいずれも持ち味が出たもの。ポゼッションで高い位置まで持ち込み、即時奪回でのショートカウンターから仕留めたのが1点目。そして、2点目は釣りだしたティーレマンスが空けたスペースにインシーニェがカットインして決めきった。ベルギーは3人前に残すならば、少なくとも殴り合いには勝たねばならなかったが、前半から後手を踏むことになった。

 ベルギーは速攻では破壊力が十分のルカクとデ・ブライネが遅攻では不発。オフザボールの動きが少なく、イタリアをうまく乱すことができない。というわけで暴れ馬のドクが全てを担うことに。狭いスペースでのタッチがよくなってきたエデン・アザールが負傷していなければもう少しやりようはあったかもしれない。

 しかし、ドクの突破からPKで1点返して以降は沈黙したベルギー。ドクの守り方に徐々に慣れてきたディ・ロレンツォや細かく立ち位置を変えながらカバーにいそしむイタリアにはさすがにDNAを感じた。大会随一のハードパンチャーであるベルギーを後半は封じたイタリア。負傷し、大会絶望となったスピナッツォーラの分までてっぺんまで駆け上がりたいところだろう。

試合結果
ベルギー 1-2 イタリア
フースバル・アレナ・ミュンヘン
【得点者】
BEL:45+2‘(PK) ルカク
ITA:31‘ バレッラ, 44’ インシーニェ
主審:スラブコ・ビンチッチ

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