■呆れ顔のマーシュと復調のルカク
前節のアーセナル戦は敗戦に加えてエイリングを一発退場で失い、踏んだり蹴ったりな結果となったリーズ。強豪3連戦のトリとなるのは週末にFA杯の決勝を控えているチェルシーである。
ややメンバーを入れ替えてきたチェルシーに対して、もちろん目の前の試合に全力のリーズ。立ち上がりから強気のプレッシングでチェルシーの人を捕まえにいく。対するチェルシーもプレッシングには積極的。3トップだけでなく、CHも相手を捕まえにいきながらリーズのビルドアップにプレッシャーをかけていた。
どちらのチームのプレスにも共通しているのは、相手を同サイドに閉じ込めて脱出させないこと。逆に言えば、ボール保持側は閉じ込められているサイドから脱出できるかどうかがポイントになるということである。それができれば保持側は開けたスペースからチャンスが作れる。
プレス攻略においてより優れていたのはチェルシーだった。リーズはラフィーニャの奥行き頼みの一点突破になっているのに対し、チェルシーは安定したルカクのポストワークからマウントを経由して、大外のジェームズまで運ぶルートを確立する。
先制点もこのルートから。左サイドから中央を経由し、逆サイドで深さを作ったジェームズがマイナス方向に走り込んできたマウントのミドルを演出して見せた。流麗な崩しでチェルシーが早い時間帯に先手を奪う。
取り返したいリーズだが、前節と同じくまたしても熱さが間違った方向に。弁解の余地のないコバチッチへの危険なタックルをかましたジェームズが一発退場になってしまう。2試合連続の前半での主力の退場にはベンチのマーシュもただただ呆れることしかできない。
というわけでここからはさらにチェルシーペース。ルカクのパワーとスピードはただでさえリーズのバックラインを苦しめているというのに、左右のボール運びが安定し、チェルシーはリーズのPA陣内に迫れるようになったのだから溜まったものではない。
さらにリーズはハリソンが負傷交代。頼みのアタッカーをさらにもう1枚失うことで完全に手詰まりになる。
迎えた後半もペースは変わらない。一方的に攻め立てるチェルシーは前半に引き続き右サイドから。チャロバー、ジェームズ、マウントを軸に右サイドからエリアに侵食していく。対する左サイドはフィニッシャーに専念することでエリア内に侵入。右サイドから作った攻撃をプリシッチが仕上げた2点目のシーンでは一歩も動けなかったメリエの心が折れる音が聞こえてくるかのようだった。
状況はさらに悪くなる。最後の頼みの綱と言っていいラフィーニャが負傷で無念の交代。もはや気になるのはこの試合の勝敗よりもリーズには次節出場可能なアタッカーがどれだけいるのだろうか?という点である。
そして、最後はルカクが仕上げ。PA内でフェイントを重ねてシュートコースを作り出して撃ち抜いたところを見ると徐々に調子を上げているように見える。ゴールだけでなく90分のパフォーマンスでFA杯出場に向けて好アピールを見せたルカク。チームも3位固めに向けて視界良好の勝利となった。
試合結果
2022.5.11
プレミアリーグ 第33節
リーズ 0-3 チェルシー
エランド・ロード
【得点者】
CHE:4′ マウント, 55′ プリシッチ, 83′ ルカク
主審:アンソニー・テイラー