■対角のパスの先のクオリティ
試合前のセレモニーでやたら風船を使ったのだろうが、試合が始まっても風船があちこちに散らばったまま始まったこの試合。試合が始まってもなお選手たちが暇を見ては風船を割る姿はとてもワトフォードの降格が決まりうる試合という緊張感とはかけ離れていたものだった。
中盤は噛みあうフォーメーション同士での対戦となった両チーム。中盤の運動量を活かしたマンマークはすでにワトフォードのおなじみのスタイルといっていいだろう。というわけで中盤のズレを作れないクリスタル・パレスはバックラインからの対角のパスで前進を狙っていく。
対角のパスを使ったとしてもそれだけでは解決策にはならない。大外に優位を取れるマッチアップがなければ、ここから相手のエリアに迫るのは難しい。だが、パレスはその点も悠々クリア。エゼやザハ、オリーズのように目の前の相手を剥がすことができたり、あるいは横にドリブルを行うことでパスコースを作り出したりできる選手がいるため、ワトフォードが厳しくマークする中盤をよける形でも前進をすることが出来ていた。
一方のワトフォードはそのズレを作るのに苦戦。アタッカーにいい形でボールを渡すことが出来ず、攻撃の形を作ることができない。34分のサミルの決定機を除けば、前半のうちにほとんどチャンスを作ることはかなわなかった。
そうした中で先制点を決めたのはクリスタル・パレス。クロスからハンドを誘い、これがPK判定に。このPKをザハが蹴り込んでパレスが一歩前に出る。
その後もパレスの攻撃の時間帯が続く。高い位置からの横断を自在に行うことでサイドの深い位置までの侵入も問題なし。強いていえばアタッキングサードでの仕上げにおいて、もう少しボールを枠に飛ばしたいところ。シュートに精度が伴えば前半でもっとリードを広げることができたはずである。
後半、徐々に攻め込むケースが増えてきたワトフォード。撤退を早めることと、人数をかけて攻めていくことにメリハリをつけて、前半のパレスペースを覆すためのアプローチを行っていく。
しかし、その反撃ムードに水を差したのがカマラの退場。10人になったワトフォードは再び窮地に追い込まれる。4-4-1にシフトして何とか粘りたいワトフォードだが、押し込まれてから出ていくパワーは10人では無理がある。
再び大外のWGから主導権を握ったクリスタル・パレス。離脱していたオリーズの復調気配も含めて、内容的にはほとんど完璧にワトフォードをシャットアウトした。
これでノリッジに続き降格が決まってしまったワトフォード。かなり試合を残した段階でプレミア残留を逃すことになってしまった。
試合結果
2022.5.7
プレミアリーグ 第36節
クリスタル・パレス 1-0 ワトフォード
セルハースト・パーク
【得点者】
CRY:31′(PK) ザハ
主審:グラハム・スコット