■前節とは一変した試合展開
チェンライとの第1戦目の試合はだいぶ緩いムードで神戸がひたすら得点を重ねる形で進んでいったが、この試合はだいぶ前回の対戦とはテイストが変わったように見受けられた。まず、目についたのは後方からボールをつなぎながら前進させていくためのプランを両チームともに準備していたことである。
先に主導権を握ったのはチェンライ。この日のチェンライは保持では4-3-3と3-4-3の中間。6番のスクジッタムマクーがアンカーのように振る舞いつつ、時にはCBのラインに入る列落ちを行う。
前進に寄与する頻度が多かったのは右サイド。SHの廣田はかなり絞る役割を重視しており、大外は早い段階でSBの加藤が上がっていく。対面のボージャンを出し抜くようにオーバーラップを仕掛けて右サイドからクロスを上げる。
低い位置でのビルドアップは27番のヴェルズーラがサポート。CBが横幅を広く取りながらビルドアップを行う。チェンライにとって誤算だったのは、神戸が徐々にハイプレスの勘所を抑えられるようになってきたこと。具体的には右のCBのインペーンのところを狙い撃ちにしてビルドアップを詰まらせることができるようになってきた。これによりチェンライは15分ほどでペースを失ってしまう。
神戸は4-2-3-1でのスタートでチェンライの非保持の4-4-2に挑むことになった。両CHの役割はアシンメトリーでアンカーの扇原が最終ラインとの接続役、山口は左に流れつつ時折降りる役割として分業する形だった。
イメージとしては左で作って右に流す形。左サイドからの対角のパスで右に張る郷家に長いボールを送ることで前進することが多かった。しかしながらここからなかなかエリアに迫ることができない神戸。サイドの深い位置に人数をかけての崩しを行うことが出来ず、単調なクロスをエリアに送り込むケースが増えてしまう。
後半も両チーム保持における前進に光を見出すことが出来ず。右サイドでの加藤のオーバーラップがガクンと減ったチェンライは左サイドから高いラインの攻略にかかるが、出足が早い菊池を前にワンタッチでのパスを強いられてしまい、精度が高まらない。
一方の神戸もロティーナらしいサイドの多角形の関係性を作ることが後半も出来ず。後半途中で入った槙野がストライカー役としてエリア内でやたらイキイキし出すというのはなかなかに面白かった。
後半追加タイムは頭部の負傷と主審の雑なタイムマネジメントがやたらと目立つ展開に。前回は神戸の大量得点で終わった試合だったが、今節はスコアレスドローに終わった。
試合結果
2022.4.28
AFC Champions League グループステージ
第5節
チェンライ・ユナイテッド 0-0 ヴィッセル神戸
ブリーラム・シティ・スタジアム
主審:ビジャン・ヘイダリ