■宿題は据え置き
第2節が終わった時点では突破をかけたガチンコの直接対決のはずだった。だが、他グループの結果で一変。共に突破を決めている両者にとってはただの通過順位決定戦ということになった。
それでもイングランドはキッカケが欲しいところだろう。特にこの試合ではマウントが不在。前と後ろのつなぎ役として代替が難しい彼の欠場でイングランドがどう動くのかは注目ポイントであった。
その答えは前線をひたすら下ろしまくること。ケインもスターリングもサカもグリーリッシュもとにかくボールを受けに来る。全員がボールを運べるタイプではあるから問題ないっちゃないのかもしれないけど、バランスとしてはあんまりよくないし、即興性も否めない。
そんな中でクラブでやったことが活きていた場面も散見された。例えば、開始直後のスターリングをお膳立てしたケインの前線へのパス、マグワイアの持ちあがりからの楔など。個人の良さすら見られなかった第1節、第2節よりはよかったかもしれない。
途中交代の選手の中で際立っていたのはヘンダーソン。攻守のバランスのとり方とサイドの顔の出し方が絶妙で、周りの人と調和したプレーが見られていた。個人的には彼がいるイングランドの方が好き。
イングランドがバリバリよかったわけでもないが、チェコもチャンス創出に苦しんだ。序盤から右サイド偏重でサイド攻略に挑む。中心となっているのはダリダで、トップ下の彼が自在に両サイドを使うことで相手を押し下げたいのだろう。
気になるのはソーチェクのエリア内での攻め上がりのチームの武器としてあまり共有できていないこと。この日のようにシック1人でなんとかするのが難しいCBが相手の時は彼がエリア内に入って、シックを助けたいところ。ただ、チームとしてあんまりソーチェクを押し上げる仕組みができていない気がする。それさえできれば、より強固な守備ブロックが待ち受けているノックアウトラウンドでのサイド攻撃がより武器として磨きがかかるだろう。次の相手のオランダとかすごく効きそうだけど。
イングランドは人の組み合わせのケミストリーが、チェコはレギュラー選手を活かす仕組みが物足りない一戦。ノックアウトラウンドに持ち越した宿題を抱えた両チームはトーナメントでインパクトを残すことができるだろうか。
試合結果
チェコ 0-1 イングランド
ウェンブリー・スタジアム
【得点者】
ENG:12′ スターリング
主審:アルトゥール・ディアス