■押し込んで陣地回復の手段を奪う
正直、序盤の20分はなかなかに見るのがしんどい内容だった。互いに様子見ということもあるのかもしれないが、後方からのアバウトな放り込み、サイドからのクロスというぼやけた前進からのボールロストを繰り返すことで、まともに攻撃ができなかった両チームだった。
その20分を吹き飛ばすようなインパクトを与えたのがカスターニュが決めた先制ゴール。ゴール右隅に突き刺したスーパーミドルはここまでの20分はこれのための準備だったかのように思わせるほどだった。
時間が経つにつれて両チームは徐々に狙いたい前進の形が見えてくるように。レスターはサイドでの旋回が目立つ。IH、SB、WGの3ポジションを軸に横と縦のポジションを入れ替えながらポゼッション。特にWGタイプではないマディソンを大外に配置した右サイドにおいては動きながら、大外をさまざまな選手が使う形で利用していた。
左サイドもオフザボールが中心。今日もデューズバリー=ホールの裏への抜け出しが効いており、両サイドの攻略を中心に徐々にレスターがペースを握り始める。
そして追加点はレスターに。ファウルを犯した瞬間から『あ、これはやばいかも』と思うような位置だったFK。直接FKでの得点はもはやマディソンが期待に応えた形と言ってもいいくらいだ。
ブレントフォードもサイドに配置したFWへのロングボールからレスターがポジションチェンジで空けやすいSBのスペースを狙っていくことで前進をすることはできていた。ただ、ショートパスでの前進の手段は見えてこないので、レスターに押し込まれると厳しいものがある。
立ち上がりはプレスのラインを上げながらレスターに対応できたため、敵陣に攻め込む反撃ができていたブレントフォードだったが、追加点が入ったあたりから徐々にラインが下がり始め、自陣に押し込まれるようになってくる。そうなるとロングボールを受ける陣地回復役の両FWも当然苦しくなる。
後半も厳しい戦いが続くブレントフォード。イヘアナチョのキープを活かしながら味方とつながることができていたレスターとは異なり、トニーの孤軍奮闘に応えられる味方が出てこない。この日のシュマイケルはサイドにボールを付けるトライを積極的に行うなど、いつもよりかは幾分か余裕が合ったように思う。
ブレントフォードは85分にウィサの反撃ゴールで1点差に迫るが、これ以上は得点を伸ばすことが出来ず。前半で作った2点のリードを活かしたレスターが逃げ切り勝利を決めた。
試合結果
2022.3.20
プレミアリーグ 第30節
レスター 2-1 ブレントフォード
キング・パワー・スタジアム
【得点者】
LEE:20′ カスターニュ, 33′ マディソン
BRE:85′ ウィサ
主審:ダレン・イングランド