■やり直しを覚えて大いに暴れ回る
1st leg
1stレグではらしくない戦い方で終盤になんとか追いついて面目を保つことができたバイエルン。 1stレグでのバイエルンの反省は率直に急ぎすぎてしまったことである。縦に早いプレーに精度が伴うことがなくボールロストを繰り返した上、サイド攻撃に糸口を見出せずに停滞してしまった。
2ndレグでは前回の反省を活かした戦い方でザルツブルクと対峙する。この日のバイエルンは後方からズレを大事にするビルドアップを行なっていた。各ポジションの選手たちはザルツブルクの4-4-2ダイヤモンドの間に配置されるような立ち位置に。後方の選手はボールを運びながらズレを探してボールをつけていく。
ズレができなければ後方にボールを戻してやり直し。強引な突破を挑んだ結果のボールロストを避けるように慎重に取り組んでいた。ザルツブルクが苦労したのはアンカー脇付近をうろちょろしているサネとミュラー。
特に機動力のあるサネは相手のプレスが及ばないところにボールを引き出しては、ドリブルでスルスルとライン間を突破。相手を引きつけて近くのレヴァンドフスキとミュラーをフリーにする。立ち上がりのチャンスはこの3人のコンビネーションから。この好機はバイエルンのゴールショーの幕開けであった。
このシャドーの選手たちは非常に厄介。内外問わず空いているスペースに顔を出す。基本はアンカー脇に陣取っているが、ザルツブルクのSBがバイエルンのWBに釣られてしまえば外に流れたりなど臨機応変な対応を見せる。
逆に大外のWBは対面するSBを1枚なら剥がすことができる。ザルツブルクは外では質的優位を使われ、シャドーには空いている場所で暴れ回るという大騒ぎに対応しなくてはいけない状況が続く。対応しにザルツブルクの選手が集まってきたら手薄な逆サイドに展開し、バイエルンは徹底的にザルツブルクを揺さぶる。
先制点は大外の質的優位から。コマンのサイドからレヴァンドフスキにクロスを送ると、ザルツブルクはPKを献上してしまう。続く、2失点目も同じくレヴァンドフスキが倒されてのPK。どちらもザルツブルクの苦しい対応が如実に現れたプレーであった。
常に2つ以上の選択肢を持つバイエルンに対して、ザルツブルクは中盤からボールを跳ね返しての反撃に移行することができず。あれよあれよという間に前半だけで4失点を重ねる。
後半、バイエルンがメンバーを落としDFラインが2人入れ替わったところでようやくザルツブルクはカウンターを成功。1点を返すことには成功。ただし、後半も大暴れするミュラーとサネは捕まえきれずにこの試合だけで7失点。
1stレグの反省を大いに活かして暴れ回ったバイエルンが前半だけで勝負を決めてベスト8に駒を進めた。
試合結果
2022.3.9
UEFAチャンピオンズリーグ
Round 16 2nd leg
バイエルン 7-1 ザルツブルク
フースバル・アレナ・ミュンヘン
【得点者】
BAY:12′(PK) 21′(PK) 23′ レヴァンドフスキ, 31′ ニャブリ, 54′ 83′ ミュラー,85′ サネ
SAL:70′ ケアゴー
主審:クレマン・トゥルパン