■プレスの応酬で落ち着かない90分に
第2節のFC東京戦が延期されてしまったため、今シーズンリーグ戦2試合目を迎えた名古屋。対するは連続ドローで開幕2試合を終えている鳥栖である。
立ち上がり、先制パンチを食らわせたのは名古屋。セットプレーから早速先制する。ニアサイドのボールをクリアしようとした福田が自らのネットを揺らすオウンゴールを決めてしまうこととなった。試合は落ち着く前の段階で名古屋に先制点が入った状態でのスタートとなる。
序盤、ハイプレスとロングボールでやや落ち着きのなかった両チーム。特に割り切りがはっきりしていたのが名古屋。鳥栖はボールホルダーには絶え間なくプレスをかけて、ラインを押し上げる形を常に意識していたが、名古屋は安全第一に酒井に蹴り出す形を多用。セカンドボールをSHやCHが拾うことでの前進を狙っていく。
前進により手数をかけていたのは鳥栖。バックラインの3枚の数的優位を生かす形。左のCBのチアゴはややSB寄りのポジショニングで同サイドのWBの岩崎を押し上げる形を見せていた。
鳥栖のビルドアップで面白かったのはCHの動き。名古屋の2トップの背中に取り付くように動いていたのはわざとなのだろうか。フリーになるポジションに立つのではなく、CBの持ち上がりやシャドーが降りてくる動きで近くにいた選手が離れた瞬間に受けることを狙ったように見えた。バックラインからボールを運んだり、降りたりする動きはマークをずらす目的があるけど、鳥栖はそうしたマークの受け渡しの繋ぎ目を常に狙っていた形だった。
遅れて出てきてスペースを空けてしまうなど、やや後手に回っていた名古屋のCHに対して鳥栖は小気味いいパスワークで敵陣に迫っていく。同点ゴールは大外からの抉る動きで。ワンツーであっさり吉田を振り切った飯野には驚いた。大外からラインを下げた鳥栖は空いた福田がミドルで同点ゴールをゲット。オウンゴールの雪辱を晴らす。
前半の終盤から名古屋はCHが出ていくタイミングを早めることで鳥栖の意図するズレを潰す動きを見せていた。鳥栖もこれに呼応して強気のプレスを行ったことで試合は終盤までボールが行き来する展開に。
相手に時間を与えなかった両チームだったが、攻撃では決め手を欠いてドロー止まり。締まった展開で強度も高い好ゲームだった。
試合結果
2022.3.6
J1 第3節
名古屋グランパス 1-1 サガン鳥栖
豊田スタジアム
【得点者】
名古屋:2’ 福田晃斗(OG)
鳥栖:30′ 福田晃斗
主審:上田益也