■オマーンの4-4-2フラット採用の意図は
中盤をダイヤモンドにする4-4-2が今予選のトレードマークとなっているオマーン。しかしながら、最終予選でホーム全勝という今大会最高難易度と言っていいサウジアラビアとのアウェイゲームで、中盤をフラットに変更する決断を下す。
2トップに早いボールを当てるオマーンの攻撃を見ると保持面であまり効いている感じはしなかったので、やはりこのシフトチェンジはサウジアラビアの攻撃に対抗するためのものと考えるのが自然だろう。
サウジアラビアのビルドアップはCBとCHの4枚にGKを加えたもの。やや右サイド側のカンノが上下することでズレを作ろうとしていた。これに対して、オマーンはカンノにマークをつけつつ、内側を固めることでサウジアラビアの内側をまずは封鎖する。出し手には厳しくチェックには行かないけど、受け手には厳しくチェックをするというメリハリをつけながらオマーンはサウジアラビアを封じる。
それならばということでサウジアラビアは大外を使う。攻め上がりとなればサウジアラビアは左サイドのアッ=シャハラーニーが登場。サウジアラビアはビルドアップで相手をなるべく引き込みながら大きな展開で一気に縦に進めるという緩急の付け方でオマーンを揺さぶる。
しかし、オマーンはこれに対しても準備をしてきた。5レーンを意識した大外を活用した攻撃に対しては、2列目のSHが位置を下げながら最終ラインを5枚にして対応するように。SHは最終ラインに落ち過ぎても重心が下がってアウトだし、もちろん間に合わなくなってもアウト。シビアな状況判断が求められる役割だった。
おそらく、オマーンが4-4-2フラットを採用したのはこの最終ラインの人数調整が容易だからだろう。よって、サウジアラビアの5レーンアタックを意識したフォーメーション変更というのがこの試合のオマーンの意図と見る。
サウジアラビアの先制点はオマーンが最終ラインの人数を揃えることができなかったところから。厳密にはオマーンの戻りは間に合っていたのだが、遅れてしまった分あっさりかわされてしまい、アシストとなるクロスを許してしまう。ある意味、アル=ブライカーンの決めた先制点はオマーンのこの試合の対策の有効性を示したものと言ってもいいだろう。
オマーンは後半になると4-4-2ダイヤモンド採用時のような同サイド偏重な攻撃を見せたり、中央ワイドのプレーエリアを問わずに2トップをサポートできるアルアグバリを投入することで攻撃に厚みを持たせたりなど、サウジアラビアのゴールに迫るクオリティは十分に見せていた。
ラストワンプレーのCKも惜しくも枠外。最後の最後まで得点のチャンスを作っていたオマーンだったが、サウジアラビアの牙城を崩すことはできず。冷や汗をかいたサウジアラビアだったが、なんとか逃げ切りW杯本戦出場に王手を賭ける一勝を挙げた。
試合結果
2022.1.27
カタールW杯アジア最終予選 第7節
サウジアラビア 1-0 オマーン
キング・アブドゥッラー・スポーツシティ
【得点者】
KSA:48′ アル=ブライカーン
主審:ナワフ・シュクララ