クリーンシートで追走開始
8位とここまで出遅れが効いているチェルシー。CL出場権を逆転で手にするためには年末年始の過密日程から連戦連勝を重ねて行きたいところ。代表組が数多くいる環境とはいえ、中断期間という時間を得ることができたポッターの次の一手を構築できたが問われることになる。
立ち上がりからチェルシーは非常に勢いがよかった。ハイプレスでボーンマスを捕まえにいけていたし、ボールは奪ったら積極的に縦につけて一気にシュートまで行くシーンもしばしば。ボーンマスを飲み込めていたので、少なくとも立ち上がりの振る舞いとしてはチェルシーのこのやり方は成功なのだと思う。
ボーンマスは5-3-2のフォーメーションを組み、ブロック守備でガッツリ迎撃の様相かと思いきや、特にそういうわけでもない様子。高い位置に出ていく素振りを見せており、フォーメーションに比べれば前がかりな守備をしていたとも言えるだろう。
だが、このボーンマスのプレスにはコンセプトが見えてこない。どちらにボールを追い込むのか、それとも目の前の人を潰し続けるのか。いずれも中途半端。人をきっちり捕まえないのならば、せめてジョルジーニョだけでもきっちり管理したかったところだが、彼まであっさりとパス交換からフリーにしてしまう場面が目立った。
その結果、ジョルジーニョをフリーにする形からチェルシーに先制点を奪われてしまうボーンマス。縦パスから攻撃を一気に加速させると、最後はハフェルツがゴールを沈めてみせる。チェルシーの攻撃で際立っていたのは右サイドの加速。ハフェルツが右に流れる動きを見せたり、あるいはジェームズが帰ってきたりなどいろんな要因はあるが、右のハーフスペースへの縦パスから攻撃の活路を見出す場面が多かった。
マウントの2点目もボーンマスのプレスをひっくり返す形からだった。ザカリヤへのワンタッチのパスとフィニッシュの精度で違いを見せたマウントが仕組みにクオリティを上乗せした追加点だったと言えるだろう。
ボーンマスが前半で試合を捨てずに済んだのは、チェルシーに3点目が入らなかったことと、保持における振る舞いはチェルシーに通用しそうだったこと。CBがGKを挟みつつ4バック化しながらショートパスを繋いでいくスタイルはリスクも大きかったが、チェルシーのプレスにかかるシーンは少なく敵陣まで小気味よくリズムを刻むことができていた。
チェルシーのハイプレスもまたどこに追い込んでいけばいいか?のところが不明瞭だったこともあり、ボーンマスにも得点のチャンスは残されている気配はあった。ただ、できればもう少しセットプレーでの得点のチャンスは大事にしたいところである。
後半、ボーンマスは4-4-2にシフト。おそらく攻勢に出ようというフォーメーション変更なのだろうが、変化は限定的。なかなかペースを引き込めない。後半も自分たちのペースに引き込んでいたチェルシーだったが、アクシデントでジェームズが再び負傷交代。この日というよりもチームと選手の今後を考えると頭が痛くなる状況だった。
じわじわと自分たちの時間を増やしていくボーンマス。保持のテストをしていたのかもしれないが、チェルシーが意固地になってショートパスで繋ぐことにこだわっていたおかげで、ボーンマスのプレスからのショートカウンターは比較的高い頻度で発動することができていた。それでも、チェルシーはロングカウンターからチャンスを作れていたので、好機としてはトントンかチェルシーがやや優勢と言えるだろう。
終盤にはそこそこゴールに迫ることができていたボーンマスだが、クロスとセットプレーの精度が足を引っ張り続け、決定的なチャンスを作ることができない。相手にも助けられたチェルシーは最後までゴールを死守することに成功。クリーンシートで上位追走を開始することに成功した。
ひとこと
ジェームズの怪我は残念だが右サイドの活性化はいいポイント。後半のトーンダウンは懸念ではあるが、チェルシーのリスタートには悪くない感触を抱いた。
試合結果
2022.12.27
プレミアリーグ 第17節
チェルシー 2-0 ボーンマス
スタンフォード・ブリッジ
【得点者】
CHE:16′ ハフェルツ, 24′ マウント