■2列目の向こう側でのプレーに成功
第1節となったベルギー戦ではとにかくジューバへの放り込みを敢行しまくったロシア。この試合のロシアはベルギー戦と比べると前進の際のジューバへの放り込みは自重。サイドからその分丁寧に前進する。3-1-5-1というやや変わった布陣はサイドからの前進とジューバ周辺に人を集めるという2つの狙いの詰め合わせだ。
左はゴロビン、右はマリオ・フェルナンデスを中心に突破を狙うロシア。攻撃に傾倒した3-1-5-1ならばボールサイドとエリア内に人を両方配置することが可能である。サイド突破からジューバへのハイボールは仕上げに使うイメージ。そして、そのこぼれ球を拾うために2列目の人員も確保している形。ジューバの競り合いがシュートではなく、落としを優先していることからも、この傾向は伺うことが出来るだろう。
対するフィンランドはデンマーク戦と同じく速い攻撃で反撃。ロシアの2列目の5枚をスピードに乗った状態で超えることが出来ればチャンスを作ることはそこまで難しくはない。むしろ、フィンランドはデンマーク戦よりも簡単にチャンスを作ることが出来ていた。
特にロシアが手を焼いたのはそのデンマーク戦で得点を決めたポーヤンパロ。抜け出しのスキルが高く、あわや先制点という場面では冷や汗をかいたロシアサポーターも少なくないはずだ。
ロシアの被カウンター時の対応は脆弱さが覆い隠せず。スロバキアにめちゃめちゃにされたポーランドくらいには中盤にスペースがあった。ポーランドと違って攻め手がまだ機能していたのは救いである。
自陣の広大なスペースを犠牲にしても点が欲しいロシア。マリオ・フェルナンデス負傷後はジューバへの楔から中央でのパス交換をメインの手段に切り替え。そうなると狭いスペースを攻略するための細かいスキルが要求されることになる。それにこたえて見せたのがミランチェク。ジューバの落としから細かいタッチで相手をいなすと、狙いすました左足でゴールの隅に正確に押し込んだ。
前半終了間際にリードしたロシア。後半のテーマは「5」をフィンランドに越えられるリスクをどうとるか?である。初めはWBをやや下げることで対応してみたものの、アンカー周辺のスペースをカバーできる人員が増えたわけではなく、フィンランドの攻撃をスローダウンさせられたわけではないのであまり効果はなかった。
その後、作戦変更に至ったロシア。最終的な結論はフィンランドにボールを持たせてしまうことだった。2列目の位置をそもそも下げてしまうことによって、フィンランドがスピード感をもって列を越えることを防ぐことに成功する。
手を焼きながらも最後は2列目よりあちら側でフィンランドをプレーさせることに成功したロシア。フィンランドを下し、グループ2位通過の有力候補に躍り出ることになった。
試合結果
フィンランド 0-1 ロシア
サンクトペテルブルク・スタジアム
【得点者】
RUS:45+2′ ミランチェク
主審:ダニー・マッケリー