1st leg
大一番で今年初の複数得点に成功
1st legでビハインドを背負ったチェルシー。勝ち抜けのためには少なくとも2得点が必要。2023年になって複数得点がないチェルシーにとっては非常に難しいミッションになる。ましてや、相手が年内全勝中のドルトムントであれば複数得点の難易度の高さは尚更だ。
試合はチェルシーが高い位置からのプレスを主体にして主導権を握る。2CB+アンカーでビルドアップを行うドルトムントに対して、チェルシーはフェリックスをトップ下に置く形で対応。後方も含めて相手のフォーメーションとの噛み合わせが良好な形で立ち上がりを迎える。
チェルシーはプレッシング、ビルドアップの両面でなかなかいい手応えを感じれなかったのが年明けからの課題になっていたが、リーズ戦ではプレスできっかけを掴んでいる。ドルトムント戦でも彼らのこの手応えは継続していると言えるだろう。
捕まったドルトムントは選手を下ろしながら解決を図る。降りて起点になれるブラントが早々に負傷交代してしまったのは大きな痛手だろう。それでも、エムレ・ジャンがDFラインに降りる形から相手を動かしていく。レイナが最終ラインに落ちるシーンすらあったのはドルトムントの中盤に与えられた裁量の大きさを示唆するものだろう。降りる動きに限らず、中盤は横のレーン移動もかなり自由に行っていた。
チェルシーはこれに対して前線を1トップ+2シャドーの形にシフトして対抗。サイドにボールを追い込むなど引き続きハイプレスのフィーリングは悪くない状況だった。自陣にボールがある形からの前進は正直まだまだ感があるので、このプレッシングが刺さるかどうかは今のチェルシーにおける生命線のように思う。
30分過ぎから再び敵陣にドルトムントを釘付けにするチェルシー。アデイェミの不在によるロングカウンターの威力低下もチェルシーにとっては追い風で、なかなかドルトムントは自陣を脱出できなかった。相手陣でのプレーを続けるチェルシーは前半のうちに先制に成功。決定機を決めきれなかった前線の中でようやくスターリングが大仕事を果たす。
後半もチェルシーはいい流れは継続。PKを獲得したシーンは他の部分にフォーカスがいく話だと思うが、右サイドからのボール奪取からスムーズに左サイドの奥にチルウェルが走り込む時間を稼いだ。余談だが、この形を自陣から繋いでコンスタントに作ることが今後のチェルシーの課題になるだろう。
蹴り直しを許されたハフェルツのPKが決まり、チェルシーはついにトータルスコアでリード。前節のリーズ戦とほぼ同じ時間帯でアドバンテージとなる得点が決まったことになる。
ドルトムントの失点後のリアクションは理想的なものだった。敵陣でのプレータイムを増やし、ハイプレスからその時間を維持することに努めていた。ただ、チェルシーの不振は点を取れなかったことにある。撤退守備での我慢は比較的この不振の期間でもできていた部分。クリバリを中央に置く守備ユニットに自信を持てていたのは大きい。横移動を難なくこなしていたククレジャはストッパーとして非常に頼りになるパフォーマンスだった。
ここからチェルシーは段階的な撤退を行う。中盤と前線を二役できるギャラガーを投入し、中盤の網を強化。中盤で引っ掛けて裏を狙うスターリングに一直線という掛け合わせはなかなかに相性は良さそうだった。同じ役割を求められたであろうプリシッチになってからはゴールを狙う脅威はだいぶ減ったように見えた。さらに時間が進むと当たり負けしないザカリアを中盤に投入し、さらに網を強化する。
チェルシーにボールを落ち着けられる選択肢はなかったため、敵陣でのプレータイムは最後まで確保できたドルトムント。決定機を逸してしまったベリンガムはなんとしても殊勲の同点ゴールが欲しかったはずだが、最後までケパの守るゴールを破ることはできなかった。
試合は2-0。2023年初めての複数得点を大一番で引き当てたチェルシーがドルトムントを逆転で下し、ベスト8進出を決めた。
ひとこと
リードを奪うことができれば今のチェルシーはそこそこ戦えそうである。プレスの整備、そして3バックによる撤退守備の強化という2つが1stレグからの2週間でギリギリ間に合ったのは大きかった。ドルトムントは終盤の前線のパフォーマンスを見るとブラント、アデイェミあたりの負傷が尾を引いていたのは否めない。
試合結果
2023.3.7
UEFAチャンピオンズリーグ
Round 16 2nd leg
チェルシー 2-0 ドルトムント
スタンフォード・ブリッジ
【得点者】
CHE:43′ スターリング, 53′(PK) ハフェルツ
主審: ダニー・マッケリー