■決め手を欠く×決め手に届かない
あまりパブリックイメージとしてはないかもしれないが、バーンリーは割と高い位置からプレッシングを仕掛けることが多い。ただ、仕組みとしてどこかに追い込んだりとか、あるいは誰かにボールを持たせたりとかそういう仕掛けを施して追い込むタイプではない。
だけどもとりあえず勢いはある。というわけでポゼッションに自信がないチームはこのプレスに押し切られてしまう。例えば、マンチェスター・シティのようなチームには全く通用しない感じである。
ウルブスはバックスにプレス耐性があるわけではない。というわけでこのバーンリーのプレスを交わして前進することは難しい。しかしながら、そもそもとして彼らは保持にこだわる必要はない。何よりもこの日のウルブズの前線にはアダマ・トラオレがいる。とりあえず彼に向けて裏に蹴ればいい。ウルブスにはその割り切りができる。
ラインを下げる裏へのボールを蹴り、そこからハイプレスでラインを押し上げる。それがこの試合のウルブスの流れだった。そのためにウルブスはウィリアム・サの周りにやたら人を集めてフリーの選手を作る。フリーの選手にボールを渡したら、とりあえずトラオレに蹴る。一度収まれば前に押し上げる時間を稼げるので問題ない。
しかしながら押し込んでからの攻撃はパターンがないウルブス。サイドの大外+ハーフスペースの裏抜けのコンビネーションを組み合わせる。だがこれは2人の関係性のみ。バーンリーはSHが低い位置までラインを下げながらスペースを埋めるため、この2人でのコンビネーションには十分に対応できてしまう。
一方のバーンリーは本当に前進の手段がない。PAに入り込む手段が全くない。かつ、チャレンジングなパスにミスるとウルブスの鋭いカウンターが飛んでくるという状況である。
得点の可能性がありそうだったのはウルブスの方。前半のトラオレ一本槍だけでなく、後半は右から左に流しての勝負。左のWBであるアイト=ヌーリをストロングポイントとして、ピッチを横断しながらここに最終的にボールを落ち着ける。
だが、最後までゴールをこじ開けることができなかった両チーム。互いに小競り合いと深いタックルばかりが印象に残り、内容的にもかなり難しい一戦になった。
試合結果
2021.12.1
プレミアリーグ 第14節
ウォルバーハンプトン 0-0 バーンリー
モリニュー・スタジアム
主審:ジョン・ブルックス