Fixture
明治安田生命 J1リーグ 第10節
2023.4.29
アビスパ福岡(6位/4勝3分2敗/勝ち点15/得点12/失点10)
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川崎フロンターレ(15位/2勝3分4敗/勝ち点9/得点9/失点10)
@ベスト電器スタジアム
戦績
近年の対戦成績
直近10試合で福岡の3勝、川崎の6勝、引き分けが1つ。
福岡ホームでの戦績
直近10戦で福岡の3勝、川崎の6勝、引き分けが1つ。
Head-to-head
- 直近5試合のリーグ戦での対戦では川崎が4勝。
- しかし、直近4回の福岡遠征で川崎が勝利を挙げたのは1回だけ。
- 直近9試合のリーグ戦での対戦でアウェイチームが勝利したのは1回だけ。
- 福岡遠征唯一の勝利も、アウェイ唯一の勝利もどちらも去年。福岡がコロナで編成に苦しんでいた試合。
- 直近12試合のリーグ戦の対戦において、ホームチームが無得点に終わったことがないカード。
スカッド情報
- 井手口陽介は右足間接外果骨折により長期離脱中。
- 中村駿は前節の札幌戦で負傷交代。
- ジェジエウは左膝外側半月板損傷により長期離脱。
- 離脱中の山村和也は合流済みだが、レアンドロ・ダミアン、瀬川祐輔と共にベンチ外が続く。
- 左ハムストリングの肉離れで8週間の離脱予定のマルシーニョは部分合流。
- 田邉秀斗は左膝側副靭帯損傷で長期離脱。
- チャナティップ・ソングラシンは清水戦で負傷交代。
予想スタメン
Match facts
- リーグ戦では直近2試合勝ちなし。
- 3試合勝ちなしになれば今季初めて。
- 今季の勝利は全てホームゲームで挙げている。
- ホームでは4試合全勝、アウェイでは5試合で勝ちがない。
- ホームゲームの成績はリーグトップ。4試合を全て1点差で勝利している。
- ここまでリーグ戦での勝ち点は15。昨シーズンの同時期は8でありほぼ倍増。
- 直近2試合の公式戦の勝利はいずれも80分以降のウェリントンのゴールが決勝点。
- 山岸祐也は直近5試合の公式戦の出場で6得点を挙げているが、得点を挙げた3試合はいずれもドローに終わっている。
- リーグ戦では3試合勝ちなし。
- 今季のアウェイゲームでは全て失点を喫している。
- しかし、今季のリーグ戦の2つの勝利はいずれもアウェイで決めたもの。
- 退場者が出たG大阪戦を除けば勝敗のついた公式戦はいずれも1点差で決着している。
- マルシーニョは昨シーズンの福岡アウェイでハットトリックを達成している。
- 上福元直人が出場した直近3試合の公式戦はいずれも負けていない。
予習
第7節 京都戦
第8節 新潟戦
第9節 札幌戦
展望
スタイル変更が展開のアップダウンを生み出す
まず、今季の福岡で触れておきたいのは圧倒的なホームでの戦績だ。Match factsのところで述べた通り、今季のホームは4戦全勝。ここまで得ている15の勝ち点のうち、12はホームで得ているものである。現状ではリーグ最強の内弁慶ということだろう。
昨季は先行されてしまうと一気に辛い展開になっていたのだが、今季は逆転勝利も多い。直近の3試合で見れば京都戦は逆転勝利を決めているし、札幌戦も2点のビハインドを同点まで戻すことができている。逆に新潟戦では2点のリードを伊藤涼太郎に台無しにされてしまうなど、非常にアップダウンの多い展開が目につく。
そうした戦績的な揺らぎはスタイルからも読み取れる。多くの場合、福岡のフォーメーションは4-4-2なのだが、例年ほどバックラインへのプレッシャーを放置しない印象。CBから前にプレスをかけに行き、中盤もそれに合わせて高い位置にラインをあげる。
特に中盤は人を潰しに行くというよりはゾーンの位置を高くするという意識のように見える。全体がラインを上げながら、プレスに追従形でコンパクトに相手のDFラインから時間を奪っていく。
リトリートを強いられた時はきっちりと撤退してブロックを組むことができるため、布陣を組み直す時間を作ることができれば自陣での守備の強度は保証することができる。前線とSHに厳しい守備の負荷が課されているのは以前までの福岡と同じだ。
ボール保持においてはショートパスを繋ぐ意識はやや上がったようにも思えるが、基本的な大枠はそこまでは変わっていないように見える。まずはCFにボールを当てて、全体の陣形を押し上げつつ、サイドに展開して人数をかけた状況からクロスを上げる。この形が鉄板だ。
アタッキングサードにおいて存在感を放っているのは紺野。FC東京から新加入でやってきたレフティーはC大阪に旅立って行ったクルークスの穴を埋めるかのように右のSHのレギュラーとして君臨。カットインからのクロスやシュートで得点に絡む活躍を多く見せている。
新たに手にしたこの右サイドのアタッカーを主軸にルキアン、山岸、そしてウェリントンといったカラーの異なるアタッカーで得点をとりにいく。終盤に純粋に高さでアドバンテージをとれるウェリントンというパワープレーは2023年のJリーグでも依然有効なのは対戦相手にとっては有り難くない話だろう。
マルシーニョの復帰が叶えば理想的だが・・・
福岡の割には失点の多い試合が続いているのはやはり高い位置からプレスに行くオープン志向の展開を好むようになったことと関係があるだろう。撤退することができれば強固な守備を組むことはできるが、それはあくまでも撤退のための時間を稼げた時の話。それができない時はカウンター対応のようにDFがスペースがある状態で相手の攻撃を受け止めないといけない。
福岡のバックラインは基本的には前方向へのストップは得意だが、横や背後を使われるとスピード的に振り切られてしまうシーンもなかなか多い。そうしたバックラインのアジリティを問われるようなシーンが増えてくると守るのは苦しくなる。
よって、保持側にはそういった状況を引き起こす工夫がある。川崎からすれば部分練習に合流することができたマルシーニョが稼働できる展開が理想と言えるだろう。彼が純粋なスピードで違いを作ることができれば、川崎は簡単にアドバンテージを確保することができる。
だが、さすがにマルシーニョが福岡戦に間に合うというのはいくらなんでも復帰が早まりすぎている感が否めない。彼なしのプランを考えると川崎はなかなか厳しくなる。
前節の浦和戦では川崎は車屋、高井、上福元の併用でビルドアップの安定感を手にすることができた。その一方で、そのビルドアップの優位を前線に繋げるところでスムーズさを欠いていたように思う。
ただ浦和に比べれば、福岡はサイドに出てきたCBの潰し性能には甘さがある。なので、中央からサイドにCBを引っ張り出すという浦和戦の戦い方をそのままトレースするスタンスはそれなりに効くかもしれない。いずれにしても川崎は相手のCBを外に引っ張り出した後のエリア内の選択肢を作れるかどうかという課題は解決する必要がある。
さらに車屋、高井、上福元の守備ブロックを継続採用するかも悩みどころだ。上福元はシュートストップのところで難を見せてしまったし、高井と車屋の潰しの性能にはもう一段上のものが求められる。ここにソンリョンや大南を戻せば、その分ビルドアップの安定感は失われることになるだろう。難しいトレードオフに直面しているように思える。
撤退守備における福岡はサイドではSHが厳しいプレスバックで枚数を確保。大外に起点を作るだけでは陣形を左右に揺さぶることはできない。
プレスバックの守備に甘さがあるのは左右を比べれば右の紺野の方だろう。だが、こちらのサイドはマルシーニョがいなくなった後、川崎が攻撃の構築に苦しんでいるサイドでもある。左WGでプレーが多い遠野はワイドよりもインサイドでのストライカータスクに傾倒しているように思う。
となると重要なのは川崎のLSBだろう。保持においては大外を1人で賄える馬力のある佐々木は面白いかもしれない。気になるのは非保持における紺野とのマッチアップにおいては佐々木の優位が見込めるかはわからないところ。高さというわかりやすいファクターがあれば登里よりも佐々木を優先したいのだが、福岡はそういうわけではない。
いずれにしてもこのサイドの攻防は非常に重要になってくる。福岡に主導権を握らせればファーへのクロスやカットインからのミドルの餌食になるし、川崎が左サイドの攻撃構築に成功すれば、福岡のエリア内にグラウンダーのクロスを入れ込むスペースを作ることができるだろう。機能不全だった左サイドの復権が川崎の勝利の近道になる。
【参考】
transfermarkt(https://www.transfermarkt.co.uk/)
soccer D.B.(https://soccer-db.net/)
Football LAB(http://www.football-lab.jp/)
Jリーグ データサイト(https://data.j-league.or.jp/SFTP01/)
FBref.com(https://fbref.com/en/)
日刊スポーツ(https://www.nikkansports.com/soccer/)