終盤に突如として現れた伊藤涼太郎
両チームのからを考えれば、新潟がボールを持ちながら試合を進めることは想像に難くはない。中央と左サイドを中心にライン間に縦パスを入れるスタンスはいつも通りである。パスワークは小気味よくテンポは十分。さらにはポゼッションの時間も確保できる流れもできていた。
意外だったのは福岡側のスタンスである。4-4-2をベースにがっちりと構えるかと思いきや、高い位置から積極的に相手の保持を咎めていくスタンス。速いパスワークに素早いスライドでついていき、強度の部分で互角に渡り合う。
先制点を手にしたのはアウェイの福岡。ルキアンの左サイドの粘りから右サイドに展開し、紺野の仕掛けからPKを獲得。新潟はプレスで捕まえたという手応えがあった場面であったが、抜けられてしまい痛恨の結末を迎えてしまった。
先制しても福岡は高い位置からのプレスを怠らず、思ったよりも速いパスワークを促し続ける展開に。特に降りていく選手への積極的に捕まえにいくスタンスを継続したのが意外だった。新潟はパスのリズムはいいのだが、がっちりと入り込むためのもうひとアクションが物足りない。
40分にはようやくパスワークが効いた崩しを見せることができた新潟。しかしながら、ゴールを決めてさらに点差を話したのはセットプレーから追加点を決めた京都の方だった。
後半、新潟は序盤からいきなり課題を克服。左サイドの太田の抜け出しから伊藤が追撃弾を奪い取る。
ゴールをきっかけにテンポを上げていく新潟。これに対して福岡も対応。手早い攻めこみからカウンターを返すと、押し込んだ後は紺野を活用した右サイドからチャンスメイク。堅実にやり返す。
終盤の展開は保持の新潟が攻め立てながらも押し切れない、保持側が攻めあぐねるサッカーにおいてよく見る光景だった。その雰囲気を変えたのは伊藤。ミドルシュートで一気に反撃ムードを盛り立てると、さらに2分後に決勝点を奪い去って後半だけでハットトリックを達成する。
なんの変哲もないよくある終盤の展開に伊藤が魔法をかけて新潟が劇的な逆転勝利をゲット。福岡としては終盤にかけて重たい一撃を食らい続ける辛い展開となった。
ひとこと
後半3得点が入る気配がなかった展開に突然現れた伊藤が見事という一言に尽きる試合だった。
試合結果
2023.4.15
J1 第8節
アルビレックス新潟 3-2 アビスパ福岡
デンカビックスワンスタジアム
【得点者】
新潟:47′ 90+3′ 90+5′ 伊藤涼太郎
福岡:17′(PK) 紺野和也, 32′ 小田逸希
主審:谷本涼
