ベラルディの大暴れで負の連鎖はさらに進む
前節、ラツィオに4失点の大敗を喫したミラン。17位のサッスオーロの一戦は再起を期す試合になる。ピオーリ監督は疲労を考慮してかスタメンを何人か入れ替えて臨んだ一戦となった。
スタートは互いに直線的に攻め合う形から。スピード感のある攻撃でまずはゴールエリアに迫る立ち上がりとなった。
試合が落ち着くとボールを保持するのはミランに。2CBと2CHが絡みながらビルドアップを行うのがミランのスタイル。トナーリがかなり自由に動きまわり、クルニッチが中盤にとどまる形でCHがバランスを崩しながらポジションを取る。
中盤にとどまるクルニッチに対してサッスオーロは比較的積極的な守備をみせる。ベースのポジションは4-4-2だったが、これを崩す形で3人目をプレス隊に動員する形で対抗する。中盤からCHの片方がプレスに出てくるか、2トップがアンカーの受け渡しで対応しつつ、右のSHのベラルティがプレス隊に参加して前からプレッシャーをかけていく役割を担う形のどちらかを採用。前線からの積極的な守備でミランにプレッシャーをかける。
ミランの2列目はナローに絞り、前がかりに守備を行うサッスオーロのCH陣の背後に陣取る。そこに縦パスが入るタイミングでSBが高い位置を取りながら攻め上がるというのがこの日のミランの攻めのスタイル。テオの攻め上がりがスピードに乗った状態でできればそれがベストである。
そのテオの攻め上がりからミランが先にネットを揺らす。ジルーが抜け出して久々のゴールを奪ったかと思いきやこれはオフサイド判定で取り消し。わずかな抜け出しのオフサイドであり、先制点を奪ったかと思われたミランにとっては厳しい判定となった。
そのテオの攻め上がりを逆に利用したのがサッスオーロの先制点だ。中盤でボールを奪ったサッスオーロがサイドのベラルディからひっくり返して、エリア内にラストパス。デフレルのゴールを呼び込む。
このサッスオーロの1点目はこの試合の前半の流れを象徴するもの。ミランは2列目に縦パスを入れるが、キープができずにサッスオーロに奪われる。そこからサッスオーロは素早いトランジッションで縦に早くつけて、ベラルディを軸とした攻撃でゴールを奪い取る。ミランはボールの奪われ方が悪い分、晒された守備陣に過負荷がかかり、失点を繰り返すというのがこの試合の前半でよく見られた流れだった。
サッスオーロの2点目においてのベラルディの相棒はフラッテージ。遅攻におけるゲームメイクと前線への飛び出しが光る23歳のイタリア人MFがニアを抜く強烈なミドルでさらにミランを突き放してみせる。
ミランは右サイドの人数をかけた崩しでカラブリアのクロスから、ジルーの正真正銘のゴールで追い上げるが、ミランキラーのベラルディがコーナーキックからの追加点でもうひと暴れ。ミランは大量失点が続く年明けからの不調をこの日も継続するような前半になってしまう。
後半、反撃を期するミランはレオンを投入する。だが、後半早々に仕事をした交代選手はミランではなくサッスオーロの方。HTで投入されたSBのキリアコプロスの縦パスから、降りてきたトラオレがボールを受ける。この動きで対面のカルルを引き出すと、サイドの勝負で抜け出したロリエンテをカラブリアが倒してPK。サッスオーロはさらに相手を突き放す4点目を手にする。ミランはまたしてもバックラインが簡単に晒された結果、失点を許した格好だ。
ミランは直後にセットプレーからレビッチがネットを揺らすが、長いVARのレビューの結果またしてもオフサイドで取り消されることに。それでもレオンが入った左サイドからゴールに迫るシーンは明らかに増えており、こちらも投入の効果は十分に感じられる采配となった。
だが、なかなか結果が出ないミランは3枚替えで4-4-2にシフト。放り込みとサイドの単騎への勝負でよりパワープレー寄りにシフトしていく。
しかし、得点を得たのはまたしてもサッスオーロ。またしてもベラルディのお膳立てから途中交代のエンヒキがゴール。前節を超える5失点目を決められてしまう。
オリギのスーパーゴールで反撃したミランだが、あまりにも5失点の壁は重たい。サッスオーロ相手に負の連鎖を食い止めることができなかった。
ひとこと
ベラルディをはじめとするサッスオーロのアタッカー陣はスーパーだったが、守備陣に過負荷を敷いていいほどバックラインは強力ではないし、前線も守備を軽視していいほど攻撃でコミットできていない感じ。苦しい状態でダービーを迎えることとなった。
試合結果
2023.1.29
セリエA 第20節
ミラン 2-5 サッスオーロ
サン・シーロ
【得点者】
MIL:24′ ジルー, 81‘ オリギ
SAS:19′ デフレル, 21′ フラッテージ, 30′ ベラルディ, 47′(PK) ロリエンテ, 79’ エンヒキ
主審:アントニオ・ジュア