Fixture
プレミアリーグ 第27節
2023.3.12
フラム(7位/11勝6分9敗/勝ち点39/得点38 失点34)
×
アーセナル(1位/20勝3分3敗/勝ち点63/得点59 失点25)
@クレイヴン・コテージ
戦績
過去の対戦成績
過去10回の対戦でフラムの1勝、アーセナルの7勝、引き分けが2つ。
フラムホームでの対戦成績
過去10戦でフラムの1勝、アーセナルの7勝、引き分けが2つ。
Head-to-head from BBC sport
- フラムは2012年以降のプレミアでのアーセナル戦9試合で勝てていない(D2,L7)
- 直近4試合のホームでのアーセナル戦でフラムは全敗。
- アーセナルは31回のプレミアでのフラム戦で3回しか負けていない。しかし、その3回は全てクレイブン・コテージで喫したもの。
スカッド情報
- ジョアン・パリーニャは2試合の出場停止で欠場。
- セドリック・ソアレスはレンタル元クラブとの対戦により出場不可。トム・ケアニー、ライヴィン・クルザワ、ニーケンス・ケバノは引き続き欠場。
- ELを病欠で欠場したマルティン・ウーデゴールとキーラン・ティアニーは様子をモニター。
- 鼠蹊部を負傷したレアンドロ・トロサールは出場微妙で、足首の負傷をしているエディ・エンケティアは欠場。
- アルテタはガブリエル・ジェズスのカムバックが近いことを示唆しているが、復帰を急がせる気はない。
Match facts from BBC sport
- ブレントフォード戦の敗戦で4戦無敗に終止符。
- ワールドカップ後に得た20ポイントより多く勝ち点を獲得しているのはアーセナル、マン・シティ、マン・ユナイテッドだけ。
- 直近5試合のホームでのリーグ戦で1敗のみ(W3,D1)
- ジョアン・パリーニャが不在の試合は今季3試合で全敗で9失点を喫している。
- マノー・ソロモンはプレミアで5試合連続で得点した初めてのフラムの選手になるチャンス。直近5試合の公式戦ではいずれも得点を挙げている。
- アレクサンダー・ミトロビッチは直近8試合の出場でゴールがなく、クレイブン・コテージでのゴールは10月20日が最後。
- リーグ戦5連勝を狙う。
- アウェイでの成績はリーグベスト。13試合で10勝。
- アウェイでの25得点はリーグハイ。
- 今季のプレミアで記録した11のクリーンシートのうち、8つがアウェイで決めたもの。
- 先制点を相手に許した試合のうち、5つで逆転勝ちを収めておりリーグハイ。
- 今季のプレミアで90分以降の決勝点は3つ記録しており、そのいずれもが直近8試合で記録されてもの。
予想スタメン
展望
変わらないで済む幸せ
フラムのスタンスや得意な分野は前回の対戦から大きく変わっていない。これは基本的には彼らにとっては幸せなことのように思う。なぜならば、残留というプレッシャーが重く背中にのしかかっているチームは変わらざるを得ない場合もあるし、監督交代という荒療治でこうした変化をより能動的に加速させる形で具現化していくチームもあるくらいだからだ。
今季の残留争いはプレミアの歴史に残る多くのチームが巻き込まれる勢いではあるが、フラムの名前がそこに含まれることはないだろう。ということで、少なくともチームを無理やり変えなくてはいけないという立ち位置にはならなさそうということである。欧州の舞台は少しずつ遠ざかっている感じはするが、トップハーフでのフィニッシュを堂々と決めそうな現状は多くのファンの予想を上回るものといえるだろう。
変わっていないフラムのスタンスを復習しよう。ベースとなるのはミドルゾーンにおけるプレッシングである。中盤の5枚でボールハントをしながらなるべく相手陣に近いエリアでプレーをするイメージである。
中盤でボールハントするというと直近で戦った相手としてはエバートンが思い浮かぶ。だが、少しフラムとはイメージが違う。4-1-4-1と4-2-3-1というベースのフォーメーションの違いはもとより、フラムにはエバートンほど強引にボールを狩りに行くことはない。どちらかというと網を張って跳ね返すというニュアンスに近い。
なので、流れるような攻撃に出る迫力はエバートンに比べると劣る。その一方で、エバートンのように簡単に陣形を崩すことが少なく、無理なく守ることが出来ているといえるだろう。
最近はこうした中盤の網を警戒してか、フラムと対戦する時にロングボールを活用して意図的に中盤を飛ばすチームも出て来た。例えば、フォレストがそれにあたる。中盤を越えるようなロングボールを使えば網には引っかからないだろうという算段である。
しかし、フォレストの前進手段の中心はライン間で受けるギブス=ホワイトである。ロングボールは彼らの本流ではない。結局相手の網を越えるのと引き換えに自らの持ち味を失ったフォレストはフラムに力負けをする。相手の長所を消すメリットを自らの良さを消すデメリットが上回った形である。
逆に言えば無理なく中盤を越えることができるチームであれば彼らと相性が良いということだろう。前節対戦したブレントフォードはこの条件を満たすチームである。トニーへの長いボールで無理なく中盤を越えることができる。フラムはこれをされてしまうと苦しいところがある。
保持においてはやや停滞気味だった2列目にソロモンという新星が登場。公式戦で5試合連続のゴールという好調ぶりで今、ノリに乗っている選手である。ミトロヴィッチのコンディションはまだ安定していない感があるが、新しい戦力の突き上げで得点力が担保できている状況は大きい。
左サイド側の舵取りが難儀
フラムに対しては先に挙げたように徐々に対策を打つチームが出てきている状況だ。しかしながら、アーセナルはあまりそうしたことをするタイプのチームではないだろう。真っ向勝負で挑むことになるはずだ。
そうした前提において触れておきたいのは2試合出場停止処分を受けているパリ―ニャが不在であること。ブレントフォードが気持ちよくプレーできたのは中盤の防波堤として君臨するパリ―ニャの不在による側面もあるだろう。よって、彼らが張っている中盤の網目はいつもよりも目が粗い状態だ。アーセナルからすれば真っ向勝負しやすい状況は整っている。
中盤からの縦パスで前を向く選手を作れたらそこから先はかなり自由度が広がる。CBにはPA内を専念して守らせたくはない。大外もしくはハーフスペースへの走り込みでロビンソンを置き去りにすることができればリームを外に引っ張ることができる。シンプルに裏を使って背走させるか、リームをサイドに引っ張り出すか。いずれにしても最終ラインに横を守らせる負荷をかけていきたい。テテよりはロビンソンの方が狙い目にできるはずだ。
逆転勝利の劇的さで打ち消されている部分はあるが、セットプレーでの失点と先制点を奪われる頻度の高さはアーセナルの要改善項目である。ドラマチックな勝利は見るものの心を震わせるものだが、本格的に週2での運用が始まるならば、苦しい状況に自ら持って行く状況は避けたいところだ。
流れの中での守備でいえばまずは大外からミトロヴィッチに向けてのクロスを入れさせるのは限定したい。高さでアドバンテージを取れる分、フラムは気軽にクロスを上げることができる。大外から積極的にクロスを上げるテテの存在は非保持においても厄介だ。
ソロモンが問題なくスタメン起用されれば、自由に動き回るウィリアンとテテが同じサイドにいることになる。今季は見違える輝きを見せるウィリアンをどこまでついていくのか、アーセナルの守備陣はテテのオーバーラップと天秤にかけながらバランスを取ることを求められるだろう。