フリーズで2点のリードを溶かす
この試合はいきなり負傷者からスタートというなかなか両チームにとって苦い立ち上がりとなった。ウォーミングアップから気になっていたというリシャルリソンが5分と経たないうちにピッチを去ると、直後のプレーでベラ=コチャップが腕を負傷する。
サウサンプトンの保持の文脈はここ数試合のものを引き継いだものだった。小気味いいパスワークで縦パスとリターンパスを繰り返しており、オールド・トラフォードで見せた揺さぶり方と同じスタンスを活用している印象だった。ラビアの配球力を生かせるいいやり方のようにも思う。
サウサンプトンが作り出すアップテンポな試合のリズムはスパーズにとっても悪くないものだった。右サイドから裏抜けするソンを活用してのチャンスメイクが目立っていた。
右サイドはリシャルリソンに代わって入ったクルゼフスキのフィーリングが良さそうな感じ。エンドライン側を抉るようなドリブルは久しぶりに見られた印象で、キレの良さが光っていた。その外側を回るポロもクルゼフスキを警戒する恩恵を受けており、プローの外からシュートチャンスを迎えていた。
30分台に再び両チームに負傷者が発生。無理なく代わりの選手をポジションに当てはめることができたトッテナムに比べれば、メイトランド=ナイルズをCBに入れざるを得なくなったサウサンプトンの方が苦しい状態に追い込まれた印象だ。
前半終盤には右の大外を回るポロがようやく先制点をゲット。それ以降の時間帯はやたらバタバタして自陣に釘付けになったスパーズだが、なんとか前半をリードで折り返すことに成功する。
後半頭に早々にサウサンプトンは追いつくことに成功。右サイドのラビアからウォルコットが裏抜け。アダムスが折り返しをポールにぶつかりながら流し込む。このゴールを皮切りにサウサンプトンが攻勢に打って出る。ウォード=プラウズのFKなどトッテナムのゴールが脅かされる場面が続くように。トッテナムはプレスを受けると根を張ってしまったようにフリーズ。前半の動きが嘘のように保持ができなくなってしまう。
しかし、この時間をなんとか凌いだトッテナム。正気を取り戻しボール保持に邁進し、右サイドのクルゼフスキからのクロスをケインが決めて勝ち越す。続く74分にはペリシッチがこぼれ球をミドルで沈めて追加点。一気にトッテナムがリードを広げる。
だが、セインツは3枚替えでプレスに打って出ると再びトッテナムはフリーズ。ウォルコットの反撃ゴールで勢いに乗ると、交代で入ったマーラやスレマナがトッテナムの守備陣を切り裂いたエリア内に入り込む。
なんとか弾き返す時間帯が続くトッテナムだが最後までは粘りきれず。後半追加タイムにサールがPK判定を取られてしまい、これをウォード=プラウズが沈めてサウサンプトンが同点に追いつく。
終盤に2点差を溶かしてしまったトッテナム。CL出場権確保に向けて手痛いドローを喫した。
ひとこと
攻撃陣は調子が出てきたように思うが、プレスを受けると突然フリーズする悪癖はなんとかしたいところ。
試合結果
2023.3.18
プレミアリーグ 第28節
サウサンプトン 3-3 トッテナム
セント・メリーズ・スタジアム
【得点者】
SOU:46′ アダムス, 77′ ウォルコット, 90+3′(PK) ウォード=プラウズ
TOT:45;1′ ポロ, 65′ ケイン, 74′ ペリシッチ
主審:サイモン・フーパー