保持での平定は難しい
未勝利沼から脱出後、連勝を飾ったチェルシー。ドルトムントも下し、徐々に自信を取り戻しつつある。
この日も復調のトレードマークの3-4-2-1を採用。気になったのはエバートン側の対応である。彼らはベースとして4-5-1で組まれることが多い。だが、この試合においてはドゥクレがトップにスライドし、2列目が4枚で組まれるケースが非常に多かった。
前から積極的なプレスで行こう!という意識を持っているのはわかる。だが、エバートンのそのプレッシングの意識がうまく働いているようにも思えない。3-4-3に対して4-5-1→4-4-2へのシフトは逆効果だろう。ドゥクレが前に出て行ってもチェルシーのバックラインに対して枚数を合わせることはできない。
その上、エバートンはチェルシーの前進を助けているWBに蓋をするのも遅れてしまう。よって4-4-2への変形によってあまりエバートンにとっていいことが起こらない格好になっている。
エバートンは徐々にプレッシングを自重するようになってくるが、そうなると今度はチェルシーの前線がエバートンのサイドの裏を狙い撃ちにする。フェリックスは左右を動き回りながらエバートンの陣形を押し下げるように。エバートンはとにかく帰陣を早めることでエリア内を固めることで対応する。
序盤は裏抜けのギャップからチャンスを作れていたチェルシーだったが、徐々にエバートンが下がった形がデフォルトになり膠着。かといってエバートンが特にチャンスを作れるわけでもなかったため試合は小康状態に。スコアレスのままハーフタイムを迎える。
後半の立ち上がりは打って変わって撃ち合いの様相。エバートンにも十分にチャンスはある展開になったが、その分チェルシーにもスペースがある状態でボールが前に運べるようになる。
この展開の恩恵をまず受けたのは動きが欲しかった方である。WBのラインブレイクに徐々に無理な対応が続いていたエバートンのバックライン。エンソの裏へのロブパスでラインを下げてしまうエバートンのDFに対して空いたバイタルに入り込んだフェリックスが技ありのゴールでようやく先手を奪う。
エバートンはそれでもタイトにチェックをしながらボールを追いかけ回す展開を選択。チェルシーは引き続き後方にスペースがある状態で攻撃をできることになるが、エバートンの猛烈な勢いを保持で落ち着けることもできなかった。
その結果、セットプレーから同点ゴールを奪ったエバートン。もはや、エバートンのセットプレーのトレードマークになりつつある「ファーのターコウスキ」からの折り返しをドゥクレが決めて追いつく。
振り出しに戻った試合だったが直後にチェルシーはジェームズがPKを獲得。ハフェルツがピックフォードの動きを見つつ、冷静に流しこみまたしてもリードを奪う。
エバートンは終盤はやや焦り気味だった。強引に裏へのパスを狙ってはゴールキックになり、相手のボールからリスタートを許すという悪循環に。このままのスコアで終わるかと思われた90分手前に試合は動く。得点を決めたのは途中交代のシムズ。裏抜けからクリバリを剥がし切り、貴重な同点ゴールを奪う。
終盤に追いつかれて逃げ切りに失敗したチェルシー。公式戦の連勝で積み重ねた勢いは一旦落ち着いてインターナショナルブレイクを迎えることになる。
ひとこと
前進するのはスムーズになったチェルシーだったが、展開を落ち着かせるのは難しかったチェルシー。泥に引き摺り込むのがうまいエバートンに終盤に絡め取られてしまった。
試合結果
2023.3.18
プレミアリーグ 第28節
チェルシー 2-2 エバートン
スタンフォード・ブリッジ
【得点者】
CHE:52′ フェリックス, 76′(PK) ハフェルツ
EVE:69′ ドゥクレ, 89′ シムズ
主審:ダレン・イングランド