PKが証明したWG優先ケアの妥当性
アタランタ戦で快勝を飾ったミランは公式戦4連勝。CL出場権圏内の4位にも入り込み成績は上々。トッテナムのホームに乗り込むミッドウィークに向けて、フィオレンティーナを倒して弾みを付けたいところである。
立ち上がり、ボールを持ったのはフィオレンティーナの方だった。SBのドス・サントスとIHのマンドラゴラが2CB+アンカーのビルドアップに参加。低い位置にそれなりに人数をかけながらボールを前に進めていく。
フィオレンティーナがこういうボールの運び方を日ごろどれくらいしているかはわからないのだが、ミランの対応は少し変わったものだった。ミランは両CB+アンカーの3枚に対して、デ・ケテラエルをトップ下に据える変則的なポジションでフィオレンティーナのビルドアップを塞ぎに行く形だった。
しかし、先に述べたようにフィオレンティーナのビルドアップにはIHのマンドラゴラ、SBのドス・サントスが低い位置に顔を出すので、この3枚の中央への絞りの意味合いはあまりなかったように思う。ほかに前進の道を作るのは難しくはない。が、先に述べたようにフィオレンティーナのボール運びが日常かどうか次第という感じである。
よって、当然空いたサイドからボールを進めていくフィオレンティーナ。ミランはWGのニコ・ゴンサレスとイコネの2人がいるアタランタのサイドアタックを警戒。その分、前へのプレスはかかりにくくなっている。中央のCHがサイドにカバーに出ることで何とかDFラインから欠員が出ないようにコントロールしていた。
非保持のフィオレンティーナはイコネが前に出てくるスタンスでチームとしてもハイプレス志向。よって、保持においては縦への早さを重視していたミラン。だが、このプランでは不在のレオンの推進力がなかなか出てこないのがもどかしい形。縦に早い攻撃に対してフィオレンティーナの帰陣が間に合う場面が多かった。
後半、優勢だったフィオレンティーナは保持で解決策に到達。外循環のビルドアップでアムラバトがサイドに流れて攻撃参加することで、ミランのサイドの枚数が1枚ズレることに。これによって、後手に回ったトモリがイコネを倒してPKを献上。WGを警戒するというミランのプランの正当性は失敗した時のPK献上という最悪な形で証明されることとなった。
失点後には攻勢を強めていくミラン。両WBの抜け出しからセットプレーの機会を増やしつつ、徐々にフィオレンティーナのゴールに迫っていく。
60分以降はフィオレンティーナがボールを持つことで試合のコントロールにトライするように。だが、テンポを上げたいミランはこの思惑を排除。中盤が徐々に緩くなり、ゴール前のシーンが増える展開になる。
次にスコアを動かしたのはまたしてもフィオレンティーナだった。低い位置に降りたニコ・ゴンサレスがカルルのつり出しに成功。右サイドに展開すると、カルルの居るはずだったファーにはフィオレンティーナの2人の選手が。ティアウがどちらにつくか迷ったが、当然どちらもケアすることは出来ず。ニアのヨビッチがゴールを決めて追加点をゲットする。
終盤にテオが1点差に迫るゴールを決めるが、追い上げはここまで。ミランの公式戦の連勝は4で止まることとなった。
ひとこと
アタランタ戦で見せた調子の良さはひと段落してしまった感があるミラン。デ・ケテラエルが悪い感じはしないのだが、やはりレオンの不在は大きいのかもしれない。
試合結果
2023.3.4
セリエA 第25節
フィオレンティーナ 2-1 ミラン
スタディオ・アルテミオ・フランキ
【得点者】
FIO:49‘(PK) ゴンザレス, 87’ ヨビッチ
MIL:90+5‘ テオ・エルナンデス
主審:マルコ・ディ・ベッロ