■機会の差がもたらすご褒美
9月シリーズでスウェーデンを下し、W杯出場に一縷の望みを繋いだギリシャ。迎えるスウェーデンとのリマッチに向けて、ジョージアとの一戦は是が非でも落とすわけにはいかないという状況である。
試合は非常に慎重な立ち上がりになった。ギリシャは時折前からプレスに行くこともあったが、WBが極端に前に出ていくシーンは限定的。WBが前に出ていく際は最終ラインがきっちりスライドして4バックを形成。4-4-2っぽく変形して全体の陣形の秩序が整っている状況へのスライドがセットである。
ジョージアもギリシャに積極的にプレッシングを行わなかったため、試合は攻守の切り替えが少ない展開に。ジョージアは4-1-4-1気味のブロックで、1トップを明確に前に残しての守備をする。
そのため、ギリシャは1トップの脇でボールを受けるポイントを作り、ジョージアのIHを吊り出すような動きで陣形を縦に広げにかかる。縦に引き伸ばして作ったスペースにギリシャはライン間にボールを入れることで前進していく。
だが、ジョージアは守備における撤退が非常に早い。ギリシャが運ぶまでの時間ですでにMFも含めてPAを固める形で人海守備を完成させる。そのため、得点の機会として最も多かったのはセットプレー。FK、CKのシーンがジョージアのGKであるロリアを最も脅かした場面と言ってもいいだろう。
ギリシャもなかなかチャンスは作れなかったが、ジョージアの拙攻はそれ以上。ギリシャがバックスにプレスをかける機会が少なかった分、後方は安定して保持することはできていたけど、そこから先に進む手段を見つけられず。シュートまで持ち運べるシーンとしてはギリシャのパスを中盤で引っ掛けてのショートカウンター。だが、ミタウカゼ1人ではうまく中盤の守備を限定するのは難しく、なかなかこちらも多くの機会を得ることができない。
敵陣に運ぶ機会が多かったギリシャは後半には対角パスを駆使しながら陣形を横に広げる。前半と比べればさらに攻撃の機会と敵陣まで迫る頻度でジョージアに差をつけていった印象である。
PAに運ぶ機会が結局この試合の勝敗を分けた印象だ。試合を決めたのはPA内でのジョージアのハンド。後半追加タイムにかかるところでようやく先制点を決めたギリシャ。優位に進めながらもスコアレスドローというシナリオも現実的だっただけにギリシャの面々には安堵の表情が見られる。
ダメ押しの2点目を決めたのが途中交代のペルカス。ジョージアのミスを見逃さずに抜け出して、決定的な2点目を決める。粘るジョージアに冷や汗をかいたギリシャだったが、最後はPAに迫る頻度の差でご褒美をゲット。逆転での出場権獲得に望みをつなぐ勝利となった。
Pick up player:コスタス・ツィミカス
割とここまでは味方に怒られるシーンが多かったけど、この試合ではビルドアップの立ち位置で味方に指示を出しながら相手を引き出す工夫を行っていた印象。審判にはスローインの時に前に出てきすぎで怒られていたけど。
試合結果
2021.10.9
カタールW杯欧州予選 第7節
ジョージア 0-2 ギリシャ
アジャラベット・アレナ
【得点者】
GRE:90′(PK) バカセタス, 90+5′ ペルカス
主審:ドナタス・ラムサス