■ダイナミックな選択はわからなくもないが…
9月シリーズでは検討を見せたコソボだが、3連戦の後ろ2つはあえなく連敗。スウェーデンとのアウェイゲームは上位進出を賭けるラストチャンス。敗れてしまえば、2位争いからは数字上で弾き出されてしまうことになる。
4-4-2に迎え撃つことが容易に想像できるスウェーデンに対して、コソボがどう立ち向かうのか?と言うのがこの試合の最も注目のポイントだった。コソボが選択したのは4-4-2。スウェーデンと噛み合わせる形だった。
コソボの視点からいえば一見ロジカルに見えるこの選択。だが、個人的にはちょっと色々悪手だったかなと思った。まず、スウェーデンはここ最近の列強国と同じくとりあえず3-2-5への変形を行うチーム。4-4-2で迎え撃ってもコソボは単に目の前の相手を捕まえればいいわけではない。
加えて、スウェーデンはEUROの段階で特にこの3-2-5の移行をスムーズに行っていたチームの1つ。ひとりひとりが決まったポジションを取るのではなく、それぞれが周りの動きに合わせて上下動し、バランスを維持することができる。
スウェーデンの保持が誰がどこに入るか決まっておらず、移動が多いとなるとコソボにとっては判断の負荷がかかる感じ。それならば5バックにしてとりあえずレーンを埋めてしまうやり方もありだったかなと思ってしまった。
スウェーデンはサイドから安全にボールを運搬。左サイドのフォルスベリを軸に、内外を使い分けながらコソボ陣内に迫っていく。先制点こそVARサポートによって導かれたPK判定など苦戦はしたが、主導権を握っていたのはスウェーデンだった。
コソボは保持においても正直いえば残念だった。こちらも変形しながら相手の4-4-2の穴を開けるやり方が輝いているチーム。だが、今回の試合ではその持ち味がほぼ出ず。直線的なロングボールから進んでいこうとすることを優先していた。
確かにスウェーデンのバックスは機動力が足りていないので、早めに攻め落としてしまえば!というのもわからなくはないのだが、如何せん前線の空中戦の勝利が悪すぎる。全体の押し上げもままならないままに、蹴るのでセカンドボールもスウェーデンに。
56分のシーンなど、長いボールでサイドに展開できた時はチャンスになったものの、コソボはそこに至るまでの状況を作り出すことができなかった。一方、そんなコソボを尻目にスウェーデンは得点を積み重ねていく。後半に生まれたイサクとクアイソンの得点はいずれもダイナミックでスーパーな得点。この試合のコソボのFWにやって欲しかった働きをスウェーデン側のストライカーがやって見せた。
3-0で完敗となったコソボ。突破の可能性は完全に消滅。どうせ散るならロングボール主体ではなく、保持での変幻自在さの部分でスウェーデンに通用するかを見てみたかったところ。どうみても不利なフィジカル勝負に突っ込んで行ったのは、この予選でコソボを見守っている身としては少し勿体無いように思えた。
Pick up player:アレクサンデル・イサク(SWE)
FWの個でワンチャンスを狙っていたコソボをワンチャンスで仕留めることで返り討ち。チームの核となるFWであることを示した。
試合結果
2021.10.9
カタールW杯欧州予選 第7節
スウェーデン 3-0 コソボ
フレンズ・アレナ
【得点者】
SWE:29′(PK) フォルスベリ, 62′ イサク, 79′ クアイソン
主審:マルコ・ディ・ベッロ