後半のブーストで核不在のフラムを逆転で下す
連敗を重ねて完全に欧州カップ戦争いから振り落とされてしまったフラム。目標はトップハーフの死守に切り替わりつつある。FA杯の敗退も単なる1敗ではなくウィリアンとミトロビッチの出場停止という深いダメージを後に残す負け方だった。
互いにプレッシングを積極的に行ったこともあり、試合は長いボールの応酬でスタート。バタバタした時間が過ぎると、ボールを握ったのはフラムの方。ボーンマスはすぐにプレッシングを控えるようになる。4-4-2のミドルゾーンでブロックを組むといういつものボーンマスのスタイルだった。
フラムはコンパクトなブロックに対して、インサイドになかなかボールを入れることが出来ずに苦戦。いつものような中央からのボールのキャリーができない。もっとも、中央で体を張れるミトロビッチや降りてボールを受けることが出来るウィリアンがいないので、インサイドにスペースがあったとしてもいつも通りにはいかなかったようには思うが。
それでもフラムは外循環のボール回しから先制ゴールをゲット。左サイドの大外から裏を取りつつ、マイナスのクロスをアンドレアス・ペレイラが決めて先制する。インサイドでの解決策がどっちみちなかったフラムにとって、外から攻撃の形を作れたことは大きかった。
先制点後にボーンマスはプレスのラインを上げたが、フラムは外循環を積極的に使いながらプレッシャーを逃がして対抗。ペースをボーンマスには渡さない。
ボーンマスが徐々にテンポを引き戻すことが出来たのはむしろ保持の局面である。アンソニー、ビリングなどの左サイドの選手たちで引く形を作り、その背後をソランケが取る形での前進が非常にスムーズ。ソランケは年明けくらいから絶好調。相手を引きちぎる凄みはないが、体を寄せられてもバランスが崩れず、敵陣まで確実にボールをキープしながら運べる。陣地回復に苦しむチームにとっては一家に一台のような選手である。
ボーンマスはテテの裏側から攻め込むことで徐々にテンポを奪うように。序盤はなかったレノが脅かされるシーンは時間の経過とともに増えるようになる。
そして、後半のスタート。2枚のSHを入れ替えたボーンマスは総攻撃を仕掛けていく。サイドからファーを狙ったインスイングのクロスを主体にフラムのラインを下げると、エリア内に作り出したスペースからひたすらシュートを連発。後半の立ち上がりからフラムはいつ失点してもおかしくない時間が続く。
致死性のシュートを何本も打たれていたので決壊するのは想定通りといえるだろう。決め手になったのは右サイドのタヴァニア。レノのパンチングでのクリアにラインを上げれなくなったフラムをよそに、ミドルシュートでブロックの外からシュートを打ち込む。後半の起爆剤になったタヴァニアが文字通り結果を出す一撃を決めた。
追いつかれたのでフラムは前に出て行くスタイルを再開。だが、そうなるとボーンマスにとってはカウンターのチャンスが広がる。ソランケが輝くような展開に転がっていくということである。
オープンになった終盤戦、結果を出したのはボーンマス。左サイドを切り裂いたところから最後はソランケが押し込みこの試合初めてのゴールを奪い取る。
残りの時間は攻めつつ逃げ切りにいそしんだボーンマス。前線の核不在のフラムを横目にエースの活躍で貴重な勝ち点3を積み上げた。
ひとこと
ソランケの躍進もさることながら、タヴァニアが安定して出番を確保できれば、よりサイドを広く使う攻撃ができるようになる。終盤の救世主になれるかどうか。
試合結果
2023.4.1
プレミアリーグ 第29節
ボーンマス 2-1 フラム
ヴァイタリティ・スタジアム
【得点者】
BOU:50′ タヴァニア, 79′ ソランケ
FUL:16′ ペレイラ
主審:ピーター・バンクス