停滞感先行のスコアレスドロー
ボール保持の時間を多く過ごしていたのはクリスタル・パレス。バックラインが慎重な保持からスタートし、隙があればエバートンのライン間にボールを刺していくという形。そのためにはまずは2トップの外を迂回しながらエバートンの隙を探っていく形である。
対するエバートンの前進のプランはシンプル。ロングボールの的となっているのはショーン・ダイチには待望だったであろうキャルバート=ルーウィンである。ロングボールには絶対的な強さを持つエースの復帰により、エバートンの前線の収まりは段違いにアップする。
だが、エバートンはこの形をうまく活かせず。ボールを収まった後の前進のパターンを用意できずに苦戦する。ガーナーあたりはもう少しゆっくりとボールを前に進めたかった感じがしたが、エバートンのボール保持はやたらと忙しくなってしまっていた。
30分にはようやく保持の時間を確保することができたエバートンだが、パレスのブロック守備を前にどのようにボールを動かすかの迷いが先行。ポゼッションの回復が主導権の回復にはつながらなかった。
対するパレスも思い通りの攻撃ができていたとは言い難い。いい形で右サイドにボールを入れることができず、オリーズの存在感は非常に希薄。苦しい状況でも無理やりボールを前に運ぶ役割を果たしてくれるザハの存在が恋しくなるように。42分にようやく右サイドにいい形で入るまではパレスの攻撃は空振りが続くこととなった。
後半も試合はなかなか動かない。エバートンはキャルバート=ルーウィンへのロングボールを軸に組み立てる。競りかけるだけでも十分効果があるロングボールはパレスを押し下げる効果があるが、相変わらず打開の一手にはならない。
一方のパレスはサイドまでボールを運ぶことができてはいるが、そこからの単調なクロスが延々とエバートンに跳ね返される展開が続いていく。試合はどちらの主導権でもなく早めのクロス×ロングボールの応酬でチャンスがないまま、ただただ時間が過ぎていく状況が続いていく。
80分のエバートンのホルゲイト退場すら、この試合の起爆剤にはならず。保持が多いパレスならばこの状況はおいしいかなと思ったが、エバートンが10人だなと痛感するようなシーンは特に訪れず。数的優位を活かせないまま試合は淡々と進んでいき、スコアレスドローでの試合終了のホイッスルを聴くこととなった。
ひとこと
数的優位すら試合を動かさない膠着。両チームの停滞感が漂ってくるスコアレスドローだった。
試合結果
2023.4.22
プレミアリーグ 第32節
クリスタル・パレス 0-0 エバートン
セルハースト・パーク
主審:ジョン・ブルックス