難局を保持で切り抜ける
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優勝に望みをつなぎたいアーセナルに対して立ちはだかるのは今季のプレミアの中でも屈指の難所であるセント・ジェームズ・パーク。念願のCL出場権確保に着々と近づいている今、スタジアムの雰囲気はニューカッスルの面々を後押しする素晴らしいものになっている。
そうした後押しを受けたかのようにニューカッスルは序盤からチャンスを生み出す。自陣からのファストブレイクからマーフィーのシュートがポストを叩くと、セットプレーからギマランイスのシュートがキヴィオルのハンドを誘いPKを判定。これはなんとかOFRで無罪放免となり事なきを得たアーセナルだが、危うくスタジアムの空気に飲まれてしまいそうな立ち上がりとなった。
アーセナルの受難はビルドアップでも続く。右のCBに左利きのキヴィオルを起用したことで、アーセナルはボール周りが左循環にこれをニューカッスルに狙い撃ちされてしまい、アーセナルは高い位置からニューカッスルのカウンターを食らうシーンが目につくように。
しかし、逆サイドのプレスは甘く、このサイドにイサクを活用したこともあり、ニューカッスルの左サイドは守備面では連携難がある。セットプレーの流れから右サイドに流れた13分の先制点のシーンではそのニューカッスルの課題が浮き彫りに。サカとホワイトに気を取られたニューカッスルの守備陣はバイタルのウーデゴールを完全に放置。思い切り振り切ったシュートはボットマンのブロックを素通りしてポープの守るゴールを破って見せた。
このゴールからアーセナルは徐々にペースを握る。ビルドアップでもジンチェンコ、ジョルジーニョを軸に左サイドの細かい駆け引きからチャンスメイクができるようになっていく。
もちろん、ニューカッスルも保持から反撃は出来る。中盤のポストからフリーマンを作ると、サイドの奥にボールを送り、ここからハイクロスで勝負。エリア内の高さと枚数を確保できている彼ららしい圧力のかけ方でゴールを狙う。
アーセナルのリードで迎えた後半、ニューカッスルはサイド攻撃とセットプレーからそれぞれ決定機を得る立ち上がり。しかしながら、このピンチをしのいだアーセナルは後半はニューカッスルのハイプレスの間合いを完全に見切れるように。前半以上に前がかりになるニューカッスルに対してロングカウンターから反撃に打って出る。
サイド攻撃を軸としたニューカッスルとロングカウンターベースのアーセナル。次に試合を動かしたのはまたしてもアーセナル。ニューカッスルのサイド攻撃に対して手当てをしたティアニーのボール奪取からのポジトラはマルティネッリの下に。エンドライン側から鋭い弾道でのクロスはシェアのオウンゴールを誘いアーセナルが2点目を奪う。
この2点でアーセナルは試合をうまくコントロールした印象だ。サン=マクシマン、アルミロンとサイドアタッカーを入れ替えたニューカッスルだったが、ブロックの外からのシュートやクロスに終始し、序盤ほどアーセナルのゴールを脅かすことができない。
前線は時間を作りつつ、ブロック守備には全員がきっちりと戻す。チェルシー戦では見られなかったソリッドさを見せたアーセナルがセント・ジェームズ・パークの攻略に成功。優勝に望みをつなぐ勝ち点3を手にした。
ひとこと
いろいろいいところはあるけども、プレスに屈したシティ戦を経て、プレスにつなぐ形で解決策を見せたアーセナルはとてもよかった。
試合結果
2023.5.7
プレミアリーグ 第35節
ニューカッスル 0-2 アーセナル
セント・ジェームズ・パーク
【得点者】
ARS:14‘ ウーデゴール, 71‘ シェア(OG)
主審:クリス・カバナフ