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「先行時の盤石な試合運びが光る」~2023.5.16 UEFAチャンピオンズリーグ Semi-final 2nd leg インテル×ミラン マッチレビュー~

1st leg

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ルカク登場がパワーバランスを変える

 ユーロ・ダービーの第一ラウンドを制したのはインテル。1st leg での2点のリードに加えて、ほぼ手中に収めているCL出場権、そして直近のリーグ戦の勝利といずれもインテルは満足な結果。ともに準決勝に到達した両チームでありながら、先に挙げた3つの要素はいずれも今のミランが手にしていないものである。

 一発逆転を狙いたいミランは2ndレグで復帰したレオンに期待がかかるところ。逐一彼の練習参加の有無は報じられていた印象でそれだけ気にかけられていたということだろう。既報通り、2nd legにフィットしたレオンの存在はミラニスタの希望である。

 さて、ミランは2点の差を埋めるところからスタートしなければいけない。インテルのビルドアップは最終ライン+アンカーに必要とあらばIHとビルドアップには多くの人数を割くのが特徴であり、これを高い位置からふさぎに行くには相応のリスクを負う必要がある。ミランとしては悩ましいところだろう。

 結果的にピオーリが下した決断はインテルのビルドアップに対して、ジルーをサポートするように2列目が交互に出ていくが、特に枚数を合わせる感じはしない。牽制はするがハイプレスというリスクを冒さないのがミランのスタンスだった。

 序盤はインテルがバレッラの抜け出しからチャンスメイクを行うが、徐々に試合はミランのポゼッションが優勢なフェーズに移行していく。ミランはインテルの2トップの脇から侵入しようとするが、インテルのIHが横にスライドしながらWBと結託してサイドの封鎖に挑む。

 前半はこのミランのサイド攻撃とインテルのサイド封鎖をめぐる攻防が主役になる展開だった。人数をかけてサイドの進撃をくいとめるインテルに対してミランになにができるのかを問われる流れとなった。

 ミランがひねり出した展開としてはサイドからのクロスでギャップを作る形。右サイド手前の位置からファーサイドのジルーというPAの手前といえる部分からエリア内で勝負できる部分にクロスを置いていく。もちろん、クロスを入れる前にえぐることができれば最善。トナーリが左サイドのエンドライン側から入り込んだシーンはミランのアタッカーにエリア内でスペースを与える手段となっていた。

ただ、インテルのサイド封鎖は強固。レオンとテオの左サイドにはこうした突破が期待されていただろうが、スペースが限定されていたためあまりこういった機会を多くは作れなかった。レオンがもともとそういった閉じた攻略が得意ではないのか、コンディションの問題が強いのかは判断しにくい。けどもカウンターでスペースがあるときにはそれなりに切り裂けていたので、前者の要素が全くないということはないように思える。

 インテルは時間の経過とともに中盤の守備の感覚をつかんできたようだ。サイドからなかなかチャンスを量産できず、焦るミランが縦に入れたパスを網にひっかけてカウンターというシーンがだんだんと増えていく。セットプレーからのジェコの決定機など、ボールを持たずともインテルはチャンスを構築していた。

 一方のミランは前半の終盤に再び相手を押し下げるところまでたどり着くフェーズに戻ってくるが、これも決め手にはならず。インテルはムヒタリアンの負傷は計算外だっただろうが、ブロゾビッチの投入とチャルハノールのスライドでプランの遂行には大きな欠陥がなく運べたのは救いである。前半は両チームとも得点がない状態でハーフタイムを迎える。

 0-0で半分を終えるというのはリードしているインテルにとっては理想的といえる展開だろう。ミランはついに枚数を合わせる形で前から捕まえに行くスタイルを解禁する。インテル陣内に入り込んでくるミランに対して、インテルがはがすことができるかどうかを問われるという前半とはまた違った盤面での勝負に試合は入っていく。

 立ち上がりはミランの勢いに少し面食らった感があったインテルだったが、時間の経過とともに徐々に裏返していく場面が目立つようになった。ミランとインテルの陣取りをめぐる綱引きは平行線のまま終盤を迎える。

 そのパワーバランスを変えたのがルカクである。敵陣深い位置で相手を背負ってのポストプレーから陣取りゲームの主導権を一気に引き寄せることに成功する。そして、決定的となるラウタロ・マルティネスのゴールをおぜん立て。試合を一気に決めてしまう。

 ミランとしてはトータルでの3点差は事実上の白旗だろう。盤石に残り時間を過ごしたインテルがユーロ・ダービーに完全勝利。ファイナルの1つ目の席を確保した。

ひとこと

 先行したチームのしたたかな試合運びが目立ったゲームだった。インテルはポルト戦でもベンフィカ戦でも先制点を得たことで試合をしたたかに運んだ印象があったが、このミランとの準決勝もその系譜に連なる試合だったといっていいだろう。

試合結果

2023.5.16
UEFAチャンピオンズリーグ
Semi-final 2nd leg
インテル 1-0 ミラン
スタディオ・ジュゼッペ・メアッツァ
【得点者】
INT:75′ マルティネス
主審:クレマン・トゥルパン

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